第5章白光の刃、影を裂く
廃屋を包み込む眩い白光。その中心に立つカイの胸元で、銀の飾りが脈打つように輝いていた。
フードの少女――細い輪郭と、かすかに覗く艶やかな唇。その声は、冷たくもどこか熱を秘めている。
「その光、逃げ道ではない。討ち払うための刃だ」
外からは、黒い影が押し寄せてくる音。獣たちの咆哮と、地面を引き裂く音が交互に響いた。
セラは飾りから伸びる光の揺らぎを見つめ、声を上げる。
「カイ、あれ……形になっていく!」
白光はやがて、カイの右腕に沿って長い刃の形を成した。
重さはない。だが、振るえば空気ごと切り裂きそうな鋭さがあった。
「試すのは……今しかないな」
カイは深く息を吸い、扉を蹴り破った。
闇の中から飛び出してくる影の獣。
その瞬間、白い刃が一閃――。
獣の頭部が音もなく霧のように崩れ、夜気に溶けた。
「一体……消えた?」セラが目を見開く。
「ただ斬ったんじゃない。“存在”ごと断ち切ったんだ」フードの少女の声が背後から届く。
しかし、その力には代償があった。
斬撃を放った瞬間、カイの視界が一瞬白く霞み、足が震える。
「……なるほど、これが魂を削るってやつか」
次の瞬間、十数体の影が一斉に襲いかかってきた。
カイは刃を構え、セラは背後で魔力の矢を放つ。
フードの少女も動いた――細身の体からは想像もできない速度で影の群れをすり抜け、短剣を振るう。
「名は?」カイが叫びながら影を斬る。
「リィナ。……名乗るのは、これが最後になるかもしれないけど」
その笑みはわずかに寂しげで、だが確かな覚悟を帯びていた。
三人は闇の群れを切り裂きながら、夜の森へと駆け出す。
その背後で、さらに巨大な影が姿を現す――“主”の影が、森を覆い尽くしていた。




