第3章影の来訪者
フードの人物はゆっくりと歩み寄り、廃屋の中央に立った。
光の差し込む隙間から、一瞬だけその口元が見える。
年齢はわからないが、落ち着いた声に似合わぬ、何か得体の知れない気配をまとっていた。
「その飾り……まだ光を保っているとは」
フードの少女視線は、カイの胸元にある銀の飾りに釘付けだった。
「知ってるのか?」カイが問い詰める。
「知っているどころか、それを託した者の一人が私だ」
セラの息が止まる。
「じゃあ、あなたは……味方?」
少女は少し間を置き、静かに首を振った。
「私は味方でもあり、敵でもある。状況次第だ」
カイの眉間に皺が寄る。
「ふざけるな。俺たちは信じられる相手じゃなきゃ、背中は預けられない」
少女はため息をつき、腰から古びた巻物を取り出した。
「これを見ろ。そこに飾りの本当の名と、封印されている存在のことが記されている」
カイが受け取って開くと、古代文字がずらりと並び、その中央には黒い瞳を持つ巨大な人影の絵が描かれていた。
「……これは、“主”じゃないのか?」
人物は小さく頷く。
「そうだ。そしてその“主”は……人間だった」
廃屋の空気が一気に重くなる。
セラの唇が震え、言葉にならない声が漏れる。
カイは飾りを握りしめた。
「つまり、この戦いは……ただの魔物退治じゃないってことか」
少女はカイを見据え、冷たい声で告げた。
「選べ。飾りを捨てて逃げるか、それとも……すべてを背負い、“主”を討つか」




