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Episode:23 強襲

ハガネたちは王都の周囲を囲っている壁を通って王都にはいる。


この壁は先の推定危険度A1のモンスターとの戦闘後に対策として築かれたものだ。


壁の内側にはまだスペースが残っているが、その周りには掘っ建て小屋のような家々が立ち並んでいる。スラム街と呼ばれるその街には王都内に住めない人間、泊まることのできない人間が住んでいる。


ハガネたちが冒険者ギルドに入ると、中は騒然としていた。人数もいつもよりずっと多い。


いつかのように奥から人が現れる。

やはり、ベルギットだった。


「静まれっ!!」


ベルギットの大声が響く。


〈何があった。〉

『解、アルゴジアと名付けられた危険度がA3以上のモンスターが現れ、王都に向かっています。冒険者たちはその討伐に向かわされるようです。』

〈危険度Aのモンスターってこの人数で倒せるのか?〉

『解、たぶん倒せないでしょう。だから、王都の兵士も加わるようです。』


ベルギットは説明を始める。

「知っての通り、王国より兵士は元より、王都駐在の冒険者たちにも討伐への参加を要請があったのだ。我々冒険者は推定危険度Aのモンスターの討伐に向かわなければならない。これは冒険者としての義務である。」


〈冒険者に義務ってあるのか?〉

『解、冒険者の心得みたいな本に書かれています。国より要請があったとき、それを冒険者ギルドが妥当だと判断した場合、発生します。また、義務自体は法律のようなものがいくつかあります。一般人に正当な理由なく暴行してはならない、などです。』


「アルゴジアは爆発を起こすガス状の麻痺毒を吐く。それの麻痺の対策として、タッグ以上の人数で戦闘を行う。また爆発には、防御を得意とするメンバーで構成された別働部隊を作り、諸君らを守る。なお、別働部隊の編成及び指揮は担当の元冒険者の職員が行う。それと、タッグの組み合わせはこちらで組ませてもらった。以上だ」


元からパーティーを組んでいればそのパーティーでいいようだ。サグは防御は得意だが、別働部隊には加わらないらしい。


そして、ハガネのタッグだが。

「ぅえ!?ハガネさんって、あの怖い人じゃないですか!?」

ハガネを恐れていた。

「あんまり、そういうのやめてほしいけど。自分はハガネ。」

「はいっ!あと私はメリアです!」

少女はメリアと言うらしい。


容姿を言うと、銀髪碧眼に長い耳(・・・)にはそれを覆うようなイヤリング?が付けられていて、ミーア曰く魔力を感じるから魔道具らしい。

活気な印象の顔には芯の強さが感じられる。

セミロングの髪は小さくても二箇所後ろで縛っているので、一応ツインテールだろうか?

服装はそこそこある胸を完全に隠すデザインだ。滑らかであるにも関わらず、どこか機械的な服にはいくつかの蛍光色のラインが引いてあり、よく見ると光っている。よくあるSFゲームの装備のようだ。

武器は長杖でこれまたSFっぽいデザインだ。


「近接を持ってないように見えるけど、いいの?」

「はい、近接もこれでやりますから!」

そう言ってメリアは取り出した長杖を構える。

彼女の身長くらいの長さに今は見えるが、さっきまで腰に差していたはずだ。

伸びた・・・?


『解、メリアの杖は腰から抜き取ると同時に長くなり始め、少なくとも1.5倍以上にはなっています。』


ハガネは本人に聞くことにした。

「メリア、その杖伸びなかったか?」

「はい、この杖伸縮できるんですよ!性能もいいのでずっと使ってます。」


長い耳については聞かないことにした。なぜか嫌な予感がしたからだ。


その後、ハガネはメリアと少し雑談した。

アルゴジアが王都に到着するのは2日後らしいので、明日、タッグの練習をすることになった。


***


ハガネとメリアは今度は森に着ていた。なぜ昨日の草原ではないのか。それは森の方が個体で強力なモンスターが多いからだ。


危険度Aのモンスターが発生するのは広い未開地が多い。これは人による狩りが行われにくい場所では強いモンスターが現れやすいということの延長だ。


草原と比べ、狩りが行われにくい森では強いモンスターが発生する。


アルゴジア戦は当然一個体との戦いとなる。だから、一匹を相手に戦う想定をした方がいい。ハガネとメリアもそう考えた。


ハガネたちは早速モンスターを見つけた。

六本足の猫だが、湿っていそうな光沢のある肌をしている。

『推定、ミルキャトです。危険度はB2全ての爪に毒があり、歯には麻痺毒があります。』

ミルキャトは六本の足を起用に使って木の根を乗り越えこちらに向かってくる。


ミルキャトは突然止まり、そこに何かあるように避けて通る。

魔力を見る魔眼を発動すると、そこにある壁が見て取れた。

メリアが展開したのだろう。


ミルキャトが後ろの四本を曲げ、飛びかかろうとする。

ハガネが、横薙ぎで対処する。

ミルキャトは顔を逸らし、ハガネの剣はミルキャトの皮膚に浅い角度で当たる。

岩を削いだような嫌な音がなり、剣は弾かれる。

ミルキャトはそのまま飛んできたので、ハガネは体を横にして避ける。

しかし、その前にミルキャトは再度展開されたメリアの魔法の壁にぶつかった。


メリアはそのあと攻撃することにしていたようで、魔法が飛んできた。

ハガネもぶつかったミルキャトを見て剣で攻撃しようとした。

既のところでハガネが身を引き、メリアの攻撃を回避する。


メリアの攻撃はミルキャトを仕留めた。



ハガネとメリアは戦闘の悪かったところを話し合い、幾度か練習して王都に戻った。


***


王都のスラム街が焼けていて、暗くなった大地を照らす。

その炎の中、黒い影が浮かんでいた。

夜空で煙は見えないが昼であれば立ち上る煙が見えただろう。


「アルゴジアが王都に来るのはもっと後だったはずだ!」

メリアは悲痛そうな顔をしていた。

メリアが走り出し、それにハガネは付いて行った。

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