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Episode:20 襲撃

 ハガネが新しい宿屋に着くと突然喋り出した。無表情ないつもの顔の口角が釣り上がり三日月型に口が歪む。

「ククッ、ああ、忘れていたぞ。呪剣?いい名じゃあないか!そうだ、俺は何をしに異世界に来た?そうッ!無双するためだっ!なにをコソコソと裏方みたいなことをしていたんだ!」

『問、大丈夫ですか?主に頭。焦燥、まさか呪剣に影響されたんですか!』

 ハガネはそのままのテンションで答える。

「俺が?影響される?この程度の呪剣に?フッ、ありえないな。俺にはもっと強力な呪いがかけられている。その呪いを越えるような呪いでなければ

 ・・・ッ!!


 まさか、もう反応しているというのか!!」

 ハガネが左手を抑えて呻きだす。

 美人がそんなことをしている姿はシュールでった。


 ようやく発作が収まったかのように、荒く息をするハガネは、【創造術】で作り出した黒い布を外套にして羽織り、別に作った仮面を付けて、

 夜の街に飛び出して行った。


 なお、仮面を付けたのはハガネだとバレないようにするためであり、そのくらいの冷静さは残っていた。


 ハガネの左目は黒く光り(・・・・)夜空の闇色にその軌跡を残す。魔眼を制限を解除して複数同時に発動させた結果黒くなったのだ。


 中世風な屋根の瓦をその凄まじい脚力によって砕きながらハガネは空を駆ける。


 貴族街に入ろうとして、警備の兵士が光の魔道具を向ける。否、向けようとしたときハガネは既に剣を振り切った状態で兵士の背後に回っている。

 ハガネはすぐに飛び去った。

 その後、死ぬのを忘れていたかのように兵士の首が落ち、血が吹き出しあたりを血で紅く染めた。


 ミーアがサーシャから得た情報でヘクトの場所はわかっていたので、文字通り一直線に向かう。


 ヘクト・ラ・メイ子爵は通貨混乱期に金を稼いだ成金貴族の一人である。

 元が商人である成金貴族たちはその地位を示すため、元からの貴族の真似をし大きな豪邸を建てる。このことが成金貴族の名前の由来であるが、ヘクトもその例外ではなかった。


 子爵しては大き過ぎる彼の豪邸にハガネは辿り着いた。残念ながら数名の兵士は亡くなることになったが、戦って死ぬことが彼らの役目なのだ。

 ご理解頂きたい。


 ヘクトの豪邸はその大きさの割に人気が少ないようにハガネには感じられた。


 門に近づくと二人いる門番の兵士が片方だけ近寄ってくる。ハガネが彼の首を刎ねるともう一人の兵士は怯えて腰を地面に付けた。

 そこにハガネは剣を向ける。

「フフッ、俺の力に怖気付いたか。これで兵士とは笑えるな。」

「いやだ!死にたくないッ!!命だけは!」

 兵士が命乞いをする。

「ああ分かった(りかいした)。」

 その言葉に兵士の顔は見えないのでわからないが、態度がホッとしたことを示していた。

「だが、断る。」

 鎧ごと兵士の首が切れ、スゥと滑り落ち地面に転がる。


 ハガネはヘクトの豪邸に入って行った。


 サーシャの情報を元にだいたいのヘクトの位置は判っているが、所詮だいたい。ドアを切り捨て中を確認する作業が続く。

 住み込みのメイドの寝室に当たったりしたが、ヘクトの部屋を探し出すことができた。


 ヘクトは意外にもまだ起きていた。

 廊下から聞こえる喧騒を聞いていたのだろう。ヒーローを迎える悪役のように、机の前に座っていた。


「ハガネはお前か!」

 ヘクトはお怒りの様子である。

「ああ、そうです。」

 さっきまでの中二病は何処かへ行き、いつものハガネだった。

「殺せ!こいつを殺すんだ!」

 ヘクトが叫ぶと数人の男が横にあった扉から現れた。


 ハガネは右手に持った剣で前の方にいた男を二人を素早く切り捨て、

 ハガネが入ってきた扉から遅れて現れた男の首を正確につま先で蹴る。男は急所を攻撃され一撃で気絶する。

 剣と足で残りの男たちも全滅した。

 今度こそ一人になったヘクトはスプラッタな姿に顔を青くしながら、ハガネにいう。

「なぜ、私を襲う!」

「なぜ?それはあなたに心当たりがあるのではないですか?」

「そ、それはすまなかったと思う、そうだお前そこまで強いのだ私の元で働かせてやろう。これで、この話は終わりにしよう。まだ足りないならさらに金を払おう。悪くないと思わんか?」

 理屈っぽく言っているがヘクトが言っているのはただの命乞いだ。

「そうですか、では前金としてあなたの全財産の2/3を渡してください。」

「全財さ、そんなの法外もいいとこだ!出せても50,000,000jzだ。」

 出せてもと言ったが50,000,000jzは日本円でだいたい一億だ。

「あなたは交渉できる立場にあると思っているのですか?交渉は同じ立場の人間がすることですよ?」

 だが、それをハガネは良しとしなかった。

 ハガネは剣を縦に振り、ヘクトの眉間が切れる。

 ヘクトの顔を伝うのは傷から出た血液だけではなかった。

「もう一度言います。あなたの全財産の2/3を前金として渡しなさい。」

「わ、分かった。命より重要ではないからな。」

 そう言ってヘクトは契約魔法を発動し、契約書にサインする。ハガネもサインしたことを確認し、トランスファーカードでか彼の所持金額の2/3、400,000,000jzほどハガネに渡した。

「これで、ハガネは私の配下だ。命は助かるんだよな。」

「何を言っているんですか?助ける訳ないじゃないですか。」

「なに!?貴様まさか裏切る気か!」

「裏切る?助けるなんて一言もいってませんが。」


 ハガネはヘクトの答えも聞かず剣を振った。


 よくある手口だが、これはとても有力な方法だ。

 人間という生物は死が近い、極限状態のとき少しでも救われそうな道があればそれを信じてしまう。

 その盲信は相手の言うことをよく聞けなくなることに繋がる。それを言い訳にする方法。これは相手を助ける約束を違えた場合なんのペナルティもなければあまり効果はないが、ペナルティがあれば、相手を契約させる上で信用させやすくなる効果的な方法だ。


 ヘクトの使った契約魔法というのは口約束などをシステムの契約書にする魔法だ。

 ちなみに、この魔法で特に契約不履行のペナルティを決めなかった場合、即時に従属させられることがペナルティになる。

 ペナルティをなくす設定もできる。



 ヘクトの始末はしたが、彼の机や棚からは彼の不正行為を示す書類がたくさん出てきた。

 奴隷の裏取引の記録などもあったので悪役になることはないだろう。

 悪役扱いになったとしても何かするつもりもないが。

感想の返しでも申し上げましたが一般人キャラ(ツッコミ)が現れば最初の中二病にハガネさんは固定される予定です。

俺口調などは変わるかも知れませんが。

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