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Episode:16 捕縛

修正:あとがきの内容が間違ってました。

地球世界において、霊操とはイグナチオ・デ・ロヨラの著作であり、そこに書かれた霊的修行の方法のことである。


この世界にはそれと同じ名前を持つスキルが存在する。

【霊操術】というのがそれだ。

これは先に書いた霊的な修行という意味ではない。



霊を操る術。



これがこの世界の霊操術の意味である。

ネクロマンシー、死操術に近いがこれは霊を操ることに特化した術であり、それは霊に魔術さえ使わせる。


死操術と近いといったが、これは見かけ上だけといっても過言ではなく、本質は逆と言っていい。

死操術が肉体に仮の魂を入れるのに対し、

霊操術は魂を仮の肉体に入れるのだ。


霊とは肉体から完全に剥離した魂が、転生するまで漂っている状態の存在を言う。


この霊をただ捕まえるだけでは三次元方向ではない方向に魂が転生をするために移動してしまうので、そのうち消えてしまう。


そこで霊操術は霊的な意味で最低限な肉体を作りこれを霊の依代とする。

また、仮の肉体に魂と結びつこうとする性質をつければ、魂の結びつきの力つまり魔力を使うこともできる。


ここで重要なのが霊操術は霊、正確には霊を宿した仮の肉体を操るすべを持っていることである。



ハガネの部屋に侵入してきた者はハガネが眠っているのを確認し忍び寄る。


が、その動きは侵入して、数秒で止まる。

彼は金縛りにあったかのように動かない体を動かそうとしたが、ふと視線すら動かないことに気付いた。


冷や汗が止まらない。


彼は標的を前になぜか動けない事実に恐怖し焦っていた。



ハガネは夢も見ていない睡眠からミーアによって起こされた。

ハガネは心地よい睡眠から目覚めさせたミーアのコメントが映る位置を睨んだ。

すぐに忍者の抜き足差し足のような格好で固まっている姿をハガネは見つけ驚いたが、霊的な糸が彼に絡まっていることを【霊視】というスキルてま見て納得する。


霊操術において、霊に自立的な行動をさせない場合、術者の命令を伝える糸を霊につける。その糸は霊的に触れることのできる糸だ。

これを利用して、常に静止する命令を伝えるようにした網を使って触れた霊を捕縛することができる。


ハガネは【霊操術】の霊にしか効かないという制限を外し糸を張っていたのだ。

侵入者はこの糸に触れ、静止させられたのだろう。


ハガネは侵入者に自分に命令を聞かせるための糸をつけ、それ以外の糸を外した。

もし追撃があるならば危険な行為だが侵入に追撃をすることはほとんどない。


侵入者がしていた覆面をハガネが取ると彼の、いや彼女(・・)の紅い目とポニーテールのように結んだ長い黒髪が露わになる


侵入者は黒髪赤眼の少女だったのだ。


ハガネは冷徹な人間である。相手が美少女だろうが容赦はしない。

「情報だけ吐かせて殺すか。」

『否定、それよりも盗聴器でもつけて、これを命じた人間の下に送り返したほうがいいでしょう。』

ミーアが否定したのは殺すことのみだ。情報を吐かせることは決定事項だった。


盗聴器とはミーアの情報収集能力の制限という縛りに伴い作られた、タグのようなもので、それをつけられた人間が知った情報を知ることが出来るルールになっている。


「ここは古典的に拷問でもしようか?」

『否定、時間はそれほどありません。【操術】で行ってください。』


【霊操術】や【死操術】などの制限を解除し統合した結果【操術】というスキルになっていた。

これは操る物の依代や代入物を作り出し、あらゆるものを操るというスキルだ。

このスキルは思想や思考、記憶すら操ることを可能にする。


ハガネは少女が止まったままであることに今気付いたかのように(・・・・・)ハガネは拘束を解いた。

少女がしゃがみ込み、荒く息をする。

「私を(ハァ)、どうするつ(ハァ)もり・・・?」

少女はしゃがみ込みながら上目遣いでハガネを睨む。

その姿に意図せずとも普通の男性に保護欲を掻き立たせるものだったがハガネはそれになんの反応も示さず、情報を吐くよう命令した。

少女の瞳から光が消える。

「お前の名前は」

「サーシャ。家名は無い。」

家名が無いというのはそういう部族か孤児ということを示している。この場合はどう見ても後者だった。

「裏の名は」

「名乗ってはいない。ただ鴉と呼ばれていた」

「誰の命令で来た」

「ヘクト・ラ・メイ子爵。」

「そのパトロンは」

「・・・いることは知っている。」

「誰かは知らないか、厄介だな。」

どうせ、大貴族に擦り寄って階級をあげたいのだろう。

幾つかサーシャにミーアの助言も貰いながら質問を続けた。



「取り敢えず、俺に操られた記憶を俺と戦闘してギリギリ生き延びたことにすればいいんだよな?」

『肯定。』


その結果サーシャがどのような立場に陥るのか知っていながら、それは考慮の対象にすらならない。


そう会話しながらサーシャに【剣術】を使って傷を付けていく。

服にも体にも傷もないのに生き延びたというのはそのメイ子爵にも信じられないだろう。

だが、鬼畜である。

ミーアは消す記憶の選択と書き加える記憶の製作をする。


鴉は夜空に逃げ帰って行った。

サーシャの登場です。

子爵さんの家名が貴族風ではないのはミドルネームを考えた時に"ダ"にしたらヴァスコ・ダ・ガマしか思い付かなくなってしまったから二文字になりました。

二文字で貴族風にはできません(笑)

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