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Episode:8 脳筋

サブタイが思いつかなかったが、これはひどい。


扉が開け放たれると現れたのは、先程の甲冑をつけた男よりさらにガタイのいい暑苦しそうな男だった。顔に入った傷跡がよく似合う。

「ヤバいぞ、アイツ剛腕のバルゴだ。」

「マジかよ、ここ、唯一の準一級冒険者のか!」

「きっと、弟子を傷付けられた仕返しにきたんだ。」

男は体の大きさにあった大声を張り上げた。

「俺ぇの仲間を傷つけた奴はぁ何処だぁ!!」

周りの目線がハガネに向かう。

本当はハガネがやった証拠はないのだが、客観的に状況を見てハガネがやったと彼らは考えた。

しかし、ハガネの頭には別のことが浮かんでいた。

傷つけた(・・・・)か、あの状態から生き残る。この世界の回復魔法は予想より優れているようだな。)

ミーアはそのことにも気付いていたが、自分の失態についてのほうが頭(?)にあった。

『反省、仕返しに他者が来るとは思っていませんでした。彼らがアタッカーとタンクだった時点で訓練用のパーティーか他のメンバーがいる可能性に気付くべきでした。』

そんなハガネたちの考えなど気にせず、バルゴというらしい男はハガネの胸倉を掴もうと突進してきた。巨体での驚くべきと言っていいスピードは多くの人間を恐れさせるだろう。

『「(断定、)野蛮な」』

ハガネとミーアばつぶやいた。(ミーアのコメントはハガネ以外に見えないが)

アッパーに近い形でハガネに向けられた腕をハガネは少し体を引くことで避けた。


ハガネは攻撃を避けられてできるすきに攻撃を打ち込もうと左脚に力を入れ、右脚を動かし、ガードすらしていない顎に膝蹴りを加えた。


様子を見るためにハガネが一度後方に引く。


バルゴは右脚を踏み込んで倒れそうになっていた体勢を立て直した。


「効いたぞ、少しな!」

体勢が良くはなかったとは言っても膝蹴りが顎に決まったのだ、脳震盪を起こすレベルのダメージを負った筈だったが、バルゴの言葉は強がりには見えなかった。

「明日決闘をしろ、来るよなぁ!」

決闘は冒険者同士のいざこざを収めるときも、原則両者の合意のもと成立するものである。よって、強制できないはずだが、バルゴはハガネに強制するかのように言った。


決闘とは、浮浪者が多く荒くれ者も多い冒険者は依頼の奪い合い等もあり、揉めることも多い。また、その全てでどちらが悪いということを決めることはできないということはこの時代の科学力や捜査力などの観点からも明らかである。

冒険者ギルドは揉めごとは個人で解決すべきとして、決闘という方法を示した。

決闘による揉めごとの解決は簡単である。


負けた方が悪い。

これに尽きる。


平等性を確保するため、階級の数字に違いがある時は相手と同じ等級までであれば代役をだせる。

決闘にも幾つかルールがある。

一つは、通常決闘と呼ばれる最も一般的なルールである。

これは、どちらかが負けを認めるか気絶などにより戦闘の続行ができないと審判が判断したとき、そして次の瞬間に相手を殺せると判断される状態になったとき勝敗が決まる。殺したとしても故意出なければペナルティは特に無いが、忌避すべきとしている。

二つ目は初撃決着決闘で、その名の通り攻撃が決まったとき、勝敗がつく。

その性質上、負けた側の死亡は仕方ないとされる。

後は、死亡決着決闘くらいだが、この死亡決着決闘はほとんど行われない。どちらかが死亡するまで闘うことにあまり意味はないからだ。


特にルール選択がないということはだいたい通常決闘である。今回もそうだろう。

バルゴの押し付けのような提案にハガネは少し考える。

(面倒ごとの解決のためにも、この世界の戦力把握のためにも決闘はいいのではないか?)

『賛同、ただし一対一であると釘を刺しておいた方がいいでしょう。あと、決闘場所はここにするとも言った方がいいでしょう。どう見ても相手は脳筋ですが、念には念を。』


「いいだろう、だが当然一対一でここで行う。十人単位で来られると面倒だしな。時間はそうだな、早朝でいいだろう。」

十人単位のところは相手に何十人で来ても勝てないぞという挑発と、釘を刺す意味をもっている。

バルゴは脳筋なようだが、挑発されたとは分かったようで、顔を赤くした。

「逃げんじゃねぇぞ!」

という捨て台詞にしか思えない言葉を残してバルゴは出て行った。

今話で決闘まで行こうと思ったのに、約束しただけ。

宿も借りないといけないのに・・・σ(^_^;)

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