新魔王は異世界転生後間もない赤子なのにも関わらず問答無用で攻めてきた異世界転移勇者を此方も問答無用でボコります
「あれが……魔王城……っ!」
ハジメ・イチジョウ達、リュミエール王国の新魔王討伐を掲げる一団は、遂に魔王城が見える位置まで侵攻して来ていた。
幾ら一番魔王城に近いとはいえ、周りの魔物や魔獣のレベルの高さは凄まじく、進行速度には限界があった。
城へと近付くにつれて空は淀み、遂には陽が射さない程の曇天になっていた。
「勇者ハジメ様、ご安心下さい!我々がついております!」
リュミエール王国が誇る王国騎士団の副団長の一人、『ブラン』がハジメを勇気付けようと真っ直ぐに見つめながら言葉を発する。
「はいっ!とても心強いです!」
(僕が不安を感じていたらダメだ!この人達は、助けを求めて藁にも縋る想いでこの僕を召喚した……!僕がこの人達の、この世界の希望になるんだ……!)
副団長のブランは『ブラン・リュミエール』。ヘリオスの四男だった。彼は騎士としての実力とその甘いマスクで男女共に人気の高い人物だった。
ブランの白銀のロン毛が風に靡く。とはいえ魔王城の方角から来る風……心地良いモノでは無かった。
(此度の侵攻に兄上達は出陣していない……。異世界転移で賜り物を授かっているとはいえ、ハジメ様は未だに戦闘は未経験……。此処は私が皆を導き、確実に勝利を手にしなければ……少なくとも、我がリュミエール王国は滅ぼされてしまう……ッ!)
魔王討伐は実質、ハジメの『賜り物』に全てを懸けた作戦だった。作戦とも言えない代物かもしれない。ブランの兄達が出陣していないのは、『出陣しても意味が無い』からである。多少の戦力にはなるが、『八王』との一対一でも全く歯が立たない程の実力。ならば、全ての子を戦で失うよりは、末っ子一人を行かせた方が良いというヘリオスの判断だった。
認められるかは不明だが、侵攻失敗後の降伏すらもヘリオスは視野に入れていた。
そして、ブランはそれを充分に理解していた。だからこそ、絶対に負ける訳にはいかない。
魔王城。魔王軍では、リュミエール王国での異世界転移魔法の使用、異世界転移勇者の出陣と接近、更にはブランが出陣している事すらも、全てが既に周知されていた。
しかし、イーラを含めた魔王軍の面々に慌てる様子は一切見られなかった。
イーラは侵攻を知ると即座に魔王軍全員に対し
『俺が出るッ!!お前達は敵を迎え討つ必要は無いッ!!普段通りに過ごせッ!!以上だッ!!』
と声高らかに宣言していた。
「……イーラ様?
此度の敵の侵攻への対応……貴方様が自らご出陣なさる必要は無いかと……」
メイガイラは『異世界転移』の脅威を痛い程に理解している。転移された勇者の力量は分からずとも、元々の前世の肉体を所持している『異世界転移』の方が有利なのは明白だった。加えて此方は未だ赤子なのだから。
『……今の魔王軍は、未だ幹部すら決まっていない状態だ。指揮系統の整っていない現状で軍を指揮したとして、大打撃は避けられない。相手が異世界の人間なら尚更だ。
……それに、新たな魔王であるこの俺が自ら出陣し、勇者とやらをこの手で直接葬る事にこそ意味が有るッ!!俺に、魔王軍に歯向かう事の愚かさを人間共に思い知らせるのだッ!!』
コレはベリアデスの乱の僅か三日後の出来事だった。元の地位よりも各々の強さと適正を反映させようとすれば、三日で決めるのは不可能だった。
「それはそうなのですが……護衛の一人もつけないというのは流石に……。
万が一にも、イーラ様のお身体に何かあれば……魔王軍は軍としての機能が完全に停止し、崩壊してしまいます……」
『……』
イーラは考え込む。確かに『魔王』を失えば確実にバラバラになってしまう。そして、イーラを倒せる程の実力者ならば、それは大打撃を生むのに等しい。更には他の国々も異世界転移を行い、魔王軍は全滅の一途を辿る事になる……。
「わたくし、前魔王様の軍ではただのメイドでしたが、実は戦闘も出来るのですっ!!イーラ様、何卒このわたくしめを――」
『それは、出来ない』
「――っ!!何故です!?」
『メイガイラの力を誰も知らないのであれば、この程度の事態でそのカードを切るべきでは無い。
俺だけが知っている現状が好ましい。幹部にもさせず、戦闘にも出さず、最終兵器として俺の傍に居てくれ……』
「……っ!!勿体無いお言葉っ!!
このメイガイラ、何時何時でもイーラ様のお傍に……っ!!」
メイガイラは幸せそうに片膝をついた。
「――ってそれはそれとしてですね!?
イーラ様お一人では絶対に行かせられません!!」
『……はぁ。分かった分かった。誰かは連れて行くから安心しろ』
「……」
(メイガイラがジト目で見てくる……信用していないな?)
イーラは誰を連れて行くべきかを考えていた。
『……よし。決めた。行ってくる』
「……お気を付けて」
イーラが念話で教えずとも、イーラの心が読めるメイガイラには相手が誰か分かっていた。分かっているからこそ、納得して送り出した。
イーラが部屋を出ると、メイガイラは窓の外を見ていた。
「……まぁ、本当に危なくなったら……このメイガイラが勇者を瞬殺して差し上げます……♡」
メイガイラの金色の右眼が怪しく光り煌めいていた。
『――と、いう訳だ。俺に着いてきてくれ、フルブルプル』
「……承知。
……仕方ないから、フルブルプルがお供します」
『……なんか喜んでないか?』
「……別に」
一見すると分からないが、イーラには確かにそう感じた。
フルブルプルが自然にイーラを抱き抱えようとするも、イーラは片手で制止する。
『これから異世界転移勇者を殺しに行くんだ。フルブルプルに抱き抱えられていては、俺の威厳が無くな――』
イーラは無理矢理抱き抱えられる。
「……魔王城を出るまでだから……何も問題ありません」
そのままフルブルプルは外へと歩いて向かう。すれ違う者達に見られるのがとても恥ずかしいらしく、イーラの耳は赤くなっていた。
『……もしかして、三日前にメイガイラに抱っこを止められて奪われた事を根に持っ――』
「……持ってないです」
(……いや、声に不満が滲み出ているぞ……?)
やっと、城の出入り口が見えてきた。
『よし、行くぞッ!!』
「……承知」
外に出ると、イーラはフルブルプルの手から飛び立つ。後ろを着いていくフルブルプルも翼の類は使わずに宙を舞うように飛ぶと、不満そうなジト目でイーラの背中を只々眺めていた。
「……ッ!前方ッ!魔王城より飛行物体が接近中!数は――」
――ドォォォォォオオオオオオンッ!!!
「ッ!!敵襲ッ!!敵襲ーーーッッッ!!」
馬に乗りながら手持ちの望遠鏡のような物で索敵をしていた者が馬ごと吹き飛ばされる。
土煙が晴れると、白銀の髪に真紅の瞳の赤子が宙に浮いていた……。
「……赤ちゃん?」
ハジメが口を開いた瞬間、イーラは極限まで抑えていた魔力を解放する。
ハジメは元々現実世界の人間であり、魔力を感じ取る力は持ち合わせていない。
しかし、ブランを始めとする他の者全員は、その赤子の圧倒的な魔力を感じ取り、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
あまりの魔力に失神・失禁・嘔吐・逃亡・戦意喪失しその場に座り込んでしまう者で溢れ返り、まともに戦えそうなのは最早ブランだけだった。
ハジメは魔力感知が出来ないのが幸いし平然としてはいたが『賜り物』が使えないのであれば戦力外でしかない。
「勇者ハジメ様ッ!彼奴が新たな魔王です……ッ!見た目が赤子だろうと油断してはなりませんッ!手心を加えてもいけませんッ!確実にッ!今此処で仕留めますッ!」
「――っ!あの赤ちゃんが……っ!」
相手が赤ちゃんという事に酷く抵抗を覚えるが、宙に浮いている事が、『ソレ』が人外の存在である事を強く意識させる……。ハジメには好都合だった。
振るった事など一度もない剣を、背中の鞘から引き抜くとイーラへと剣先を向ける。
「……ぼ、僕は勇者ハジメっ!
貴方を……倒しますっ!」
フルブルプルは魔力を極限まで抑え、上空でハジメとブランを観察していた。万が一、イーラに危険が迫れば助けに行ける距離を保っている。
「……『アレ』が異世界転移勇者?
……とても強そうには見えない……それに魔力も感じない」
「やぁぁぁっ!!」
勢いも無く覇気も感じさせない頼りない声を出しながら、ハジメは剣を振るう。魔力や魔法の類も感じない、ただの素人の一振り。
イーラは『ソレ』を避ける事も無く、剣はイーラを切り裂かずに触れた瞬間に逆に折れてしまう。折れた剣先が地面へ突き刺さった。
「そ、そんな……っ!?」
(やはり……このハジメ様からは魔力すら感じない……。異世界転移は……失敗か……ッ)
ブランは諦観しつつも自身も剣を抜き、刀身に魔力を込めていく。
『……貴様、我を舐めているのか?』
――ギロッ。
「ひっ!」
イーラがわざと威圧的な口調でハジメを睨み付ける。剣が折れた事、赤ちゃんが喋っている事、ハジメはパニックになっていた。数日前までは普通の高校生、無理もない。
「ハジメ様!お下がり下さい!今は撤退をッ!私が時間を稼ぎます――ッ!」
ブランの剣が激しく光ると横へと薙ぎ払う!!すると、剣先の延長線上が首の近くに迫った瞬間、刀身が急激に伸びイーラの首筋、頸動脈を間合いに捉えるッ!!
「……その程度じゃイーラ様は倒せない」
またもイーラは身動き一つもせずに光の剣を迎え討つ。首筋に刀身が触れた瞬間、ブランの白銀の光の魔力が盛大に爆ぜるッ!!しかし皮一枚すら切れないッ!!全身全霊を腕に込めるがビクともしないッ!!
「くッ……!私の全力を……何もせずに受け止めて……ッ!」
『貴様に用はない――散れ』
ほんの一瞬、イーラが細く、糸のような黒い光を放つとブランの剣は呆気無く折れ、黒い光が横に払われるとブランの身体が真っ二つにされた。
――ベチョ。
ブランの上半身が地面にずり落ち、切断面が地面に着くと汚らしい音を立てた。
「ゴプッ…グフ…ガバッ…ゴボッゴポポポゴパァ」
美男子だったとは想像出来ない程の無様な表情で、口から血の泡と血反吐を吐き散らし苦しんでいた。
「ぶ、ブランさんっ!」
(僕が弱い所為で……っ!)
ハジメが初めて経験する『人間の死が近付いている瞬間』。それは彼の呼吸を荒くし、思考を巡らさせ、魔王イーラへの明確な敵意と殺意を芽生えさせる。
そして『それら』がハジメの、異世界転移勇者ハジメの『賜り物』を遂に覚醒させてしまう事になる。
『……来るか』
イーラはハジメの放つ空気が変わった事に敏感に気付いた。勿論、フルブルプルも同様に。
「……準備は万全……何時でも助けられる」
(このハジメと呼ばれていた勇者は異世界転移者……。名前からしても俺と同じような世界からの……。
……だが、此処は異世界ッ!!俺は魔王で、お前は勇者……ッ!!俺は魔王軍の為にも、此処で!!確実に!!俺一人の手で!!『異世界転移勇者』であるお前を殺さなければならないッ!!)
フルブルプルもそれを理解しているからこそ、準備以上の行動は控えている。
「行くぞ、魔王ォォォオオオオオオオアアアアッ!!」
ハジメは折れた剣を力一杯握り締め、魔王へと距離を詰める。その踏み込みと迫力はまさに勇者そのものだった。
――すると、剣が虹色に光り始める。近くで腰を抜かし座り込んでいた兵士はその光を見て驚愕する。副団長であるブランの魔力よりも眩しく輝き、ブランよりも高い魔力を放っていたのだ。
そして、ブランの兄達をも超える程だった。
ハジメの『賜り物』は『虹』。全ての属性を備えもつ魔力の付与。それはあらゆる属性への耐性と特効を兼ね備えた、チート能力ッ!!
「喰らえェェェェエエエアアアァァァァァッッッッ!!」
思い切り振りかぶり、再び首筋を、頸動脈を狙う!!
先程とはまるで違う一撃。まともに喰らえば頭が胴体とお別れしてしまうだろう。
「……イーラ様」
『心配するな、フルブルプル。
我は魔王イーラ。異世界転移勇者ハジメよ。貴様はゆっくりと――
――休むが良い』
ハジメの剣を迎え撃つかのように、右の腕から黒い光を放出させると、黒い光は剣の形へと変化していく。それを掴み、思い切り薙ぎ払うと互いの剣が激突する――ッ!!
――ガギィィィン!!キンッ!!キン!!ガンッ!!ガギン!!ガッ!!ガガガッ!!ガギィッッッ!!!
何度も何度も打ち合う度に凄まじい音が空気を揺らし、黒と虹色の斬撃が周りを破壊していく。
「す、凄い……!副団長よりも……強い……!コレなら……!」
「頑張って下さい、勇者様!!」
兵士達に希望が芽生え始めていた。
しかし、フルブルプルは既に気付いていた。
この戦いに、自分の助太刀は不要だという事に。
「……フルブルプルはお掃除をしておく」
フルブルプルのハニーイエローの瞳が光を放つ。曇天の空が更に黒く、濃く変わっていった。
「――はぁ!はッ!ハッ!はぁッ!く、クソッ!あんな化け物に勝てる訳――ッ!?」
四方八方へ逃げ散っていたリュミエール王国騎士団の団員達は、突然の光に空を見上げる。
「な……んだよこれッ!?」
曇天の雲の合間を、ハニーイエローの稲妻が凄まじい轟音を轟かせながら『その時』を待っていた。
「……逃亡者全員補足……土に還れ」
――バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂッッ!!
ハニーイエローの魔力がフルブルプルの周囲で弾け爆ぜると、逃亡していた兵士達の頭上の稲妻も共鳴し、弾け爆ぜ――
――ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッッッ!!!
――ババババヂヂヂヂヂィィィィィィィィッッッ!!!
逃げ出していた兵士全員の頭上へと雷が降り注ぎ、一瞬で骨すら残さずに跡形も無く消失した。
逃げ出した兵士だけを狙ったのは、イーラがヴァルヴァトスの逃亡を許さなかった為。彼の思想に忠実従ったが故の行動だった。
フルブルプルの落雷は大地を穿ち、激しく揺らした。
「くッ!こんな揺れなんて、僕には関係無い――ッ!!」
ハジメとイーラの剣が幾度も激しくぶつかり合う。そして、『その時』は遂にやってくる。
「これで決める――ッ!!」
『……貴様の敗因は「力」を使いこなすのが遅過ぎた事……。
そして……我に立ち向かうのが早過ぎた事だ。我々魔王軍の絶対的な地位の確立の為の礎となるがいい……!!』
互いの魔力を極限まで込めた最後の一撃!!
――ガギィィィィィィィィンッッッ!!!
高濃度の魔力と魔力の衝突による衝撃の強さに、兵士達は飛ばされないようにするのがやっとだった。
そして、兵士達はその光景を目の当たりにする。
ハジメの剣は粉々になり虹色の魔力は四散、魔王の黒い光の剣が掲げられると、無情にもそのまま振り下ろされてハジメを袈裟斬りにした。
「ゴプッ……」
血を吐き両膝をつく。自身でも見た事の無い量の血が、口から、斬られた場所から鮮血となり溢れ落ちていく。
ハジメの剣は最初に折れた部分から脆くなり、破損した。
もしも最初から『虹』を使いこなせていたならば、未だ剣は折れていなかった。ならば破損もしていなかっただろう。文字通り『力を使いこなすのが遅過ぎた所為』でハジメは敗北する事になった。
「……ぼ、ぼぐは……ッ!!も、もどの、せ、せがいに……ッ、はぁ、ハァ、……ッ!!ゴプッ!!ゲホッ、ゴボッ!!……はぁ、が、かッ、がえらなぎゃ……いげないんだッ……ァァァッ!!い、いぎで…ハァ…ッ…がえっデッ……!!せ、ゴブッ!!ハァ、ハァ……せ、ッ、せいらに……ッッッ、あわなぎゃ……ッ!!」
『……そうか。もう眠れ。貴様は確かに勇者だった』
同郷の慈悲として、首を刎ね介錯をしてやった。
イーラは目が濁っていく同郷の勇者の亡骸を見下ろしながら一人で考えていた。
(……俺の憧れた異世界転移のチート勇者ってのも実に呆気無いモノだ。
しかし、やはり同じ異世界転移や異世界転生を果たした者が相手となると話は変わってくるみたいだな)
勇者は死に、副団長も何時の間にか絶命していた。
近くに居た兵士達は殺すつもりは無い。生き証人として、イーラの強さを広める為の広告とする算段だった。
イーラは自身の魔力を広く拡散する。近場の人間だけでなく、この大陸の全ての人間へ向け念話を繋いでしまった。それ程までの魔力を生後数日で持ち合わせていた。
『聞くが良い、哀れな人間共よッ!!
我の名は新たなる魔王、イーラである!!
リュミエール王国が無謀にも我が魔王城へと侵攻させた、異世界転移勇者は我一人で滅したッ!!
そして、我々魔王城への侵攻をしたリュミエール王国の行為は明らかなる敵対行為であると認め、今此処に、リュミエール王国は我々の明確な「敵」である事を宣言するッ!!
これまで我々魔王軍は、貴様ら人間に明確な敵対行動をされなかった為、直接的な争いは避けてきた!!
しかし、此処までやられて只々指を咥えて黙っていられる程、魔王軍は甘くは無い!!
――我々魔王軍は、正式にリュミエール王国への侵攻を開始するッッッ!!!!
しかし、即日開始するものではなく、我々の新体制が整った上で侵攻するッ!!
逃げ出したい者達は逃げよッ!!猶予は与えたッ!!
だが、降伏は認めぬッ!!
侵攻時、リュミエール王国の領地に残存する人間は、何者であろうと全ての生命体は等しく殲滅する!!
殲滅した後、我々の新たなる領土として統治する!!
今、この瞬間よりリュミエール王国へ、他の国・他の国の者共が僅かにでも手を貸した場合!!その国も同罪とみなし、リュミエール王国同様に侵攻対象にするモノとするッ!!
話は以上だッ!!
精々足掻くが良い、脆弱な人間共よッ!!』
魔王イーラの念話が世界中の人間の脳へと直接届き、人々は恐怖に震えた。同時に『余計な事をしてくれた』と、リュミエール王国は他の国々から敵意を向けられる事になる。そして、無関係のリュミエール王国の国民達からも、それは同様だった。
「……流石です……イーラ様」
パチパチパチパチ。
上空でフルブルプルが静かに拍手をしていた。
今この時、魔王イーラが正式に誕生したのである。
設定
ハジメの『虹』
『賜り物』。全属性の耐性と特効を付与するチート能力。ハジメは剣にだけ付与していたが、本来自身の肉体や鎧にも付与すべき能力。ハジメがゲーム等の知識が無かった事、覚醒したのが戦闘中だった事、唯一付与した剣が折れていた事、全てがハジメの敗北に直結してしまった。
更にイーラの黒い光は『聖』と『闇』の両極端な属性が混じった特殊なもの。『虹』の効果では耐性も特効も意味をなさない。
ブラン・リュミエール
ヘリオスの四男にしてリュミエール王国騎士団の副団長の一人。剣の実力と甘いマスクで男女共に人気のある美青年。白銀のロン毛はサラサラ。
白銀の魔力で剣の刀身を伸ばした奇襲が得意技。あくまで魔力の塊の為、振るう速度は変わらない為強力。
リュミエール王国騎士団
ブラン以外の同行した団員達は全員使い物にならなかった。対低級から中級モンスターしか相手にしてこなかった人間達。魔王軍との直接的な戦闘は無く、国同士の諍いも経験してこなかった為、強者であるイーラとの対面で全員が『騎士』では無くなってしまった。




