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黒頭巾の神撃〜Black hood's divine attack〜  作者: 南斗家那乱下
第一章 地上編

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四闘開戦

四方に散らされた四人は、立ち込める土煙の向こう側に、自分を狙う「漆黒の仮面」を見据えていた。

すると、四つの分身が、それぞれの対戦相手が最も信頼する「仲間の姿」へと変貌した。

しかし顔の部分だけは黒の仮面を被っている。


「……フッ、まずは己の力、そして絆の脆弱さを味わえ」


[剣一サイド]


剣一の目の前のカオスは、漆黒の闇をまといながらアリスの姿へと変貌した。アリス特有の炎を彷彿とさせる魔装(マジックドレス)近接形態(コンバットスタイル)が形作られ、彼女の癖も完璧にトレースしている。


「くっ……やりにくい相手を模倣しているのか」


剣一は魔剣を低く構え、冷汗をぬぐう。一ヶ月間、毎日のように拳を交えてきたからこそ分かる。目の前の偽物から放たれる殺気は、本物のアリスが限界突破リミットバーストした時のそれと寸分違わない。


「……何を迷ってんの、剣一? あたしのスピード、見切れるわけないでしょ?」


アリスの声で、アリスの口調でカオスが囁く。

直後、爆炎の推進力を利用した超高速の踏み込み。カオスの姿が視界から消え、剣一の死角――背後から、空気を焦がす熱波が迫った。


「(……いいや、迷う必要なんてない!)」


剣一は振り返ることなく、直感だけで魔剣を背後へ回し、カオスの拳を受け止める。

凄まじい衝撃が腕を痺れさせるが、剣一の瞳には強い光が宿っていた。


「アリスならもっと速いし、もっと重い! 絆を弄ぶお前の浅知恵……その仮面ごと叩き斬ってやる」


魔剣から溢れ出す闘気が、偽りの炎を押し返した。


[アリスサイド]


一方、アリスの前に立つカオスは、黒のローブを纏い仮面を隠すようにフードを被った剣一の姿へと変わっていた。


「……へぇ。一番戦いたくない相手を選んだつもり? 悪趣味じゃん」


アリスは拳を打ち鳴らし、自身の炎をさらに強く燃え上がらせる。

目の前の「剣一」は、彼が得意とする鉄壁の守りの構えをとっている。


「アリス。お前の速さでは、俺の剣には届かない」


カオスが剣一の声で告げる。その手にある魔剣が不気味に脈動した。


「……あんたが本物の剣一なら、そんなこと絶対に言わない。あたしは、剣一をずっとそばで見てきた……剣一をバカにするなっ!!」


アリスから漏れ出ている炎が、怒りでさらに膨れ上がる。

神が作り出した最強の盾(剣一)と、仲間の想いを背負った最強のアリス

互いを熟知しているからこそ成立する、矛盾の戦いが幕を開けた。


[真白サイド]


真白の目の前に立つカオスは、漆黒の魔力をまとい、背後に巨大な影の大剣を浮かべたシロミの姿へと変貌した。一ヶ月間、誰よりも近くで導いてくれた憧れのお姉ちゃんの写し鏡。


「お姉ちゃん……のフリをしたって、無駄なんだからっ! 私はもう、泣き虫な子供じゃないっ!」


真白は震える足で地を踏みしめ、レイピアを強く握りしめた。カオスが操る影の大剣が、容赦なく真白の頭上から振り下ろされる。


「どうしたの、真白ちゃん? 私の力、怖くなってしまったかしらぁ?」


シロミの声で、冷酷に囁くカオス。しかし、真白はその影の圧に屈することはなかった。彼女がこの一ヶ月で学んだのは、魔法の技術だけではない。


「……本物のお姉ちゃんは、そんな悲しい声で笑わないっ! 聖霊王アマケシカ、私に力を……みんなを守るための、本当の光をっ!」


レイピアから溢れ出したのは、これまでの訓練とは一線を画す、澄み渡った純白の光。

真白の瞳には、かつての弱気さは微塵もなかった。憧れを超えるための、覚悟の光が混沌の闇を照らし出す。


[シロミサイド]


一方、シロミの前に立ちはだかったのは、幼い真白の姿をしたカオスだった。小さな手でレイピアを握り、聖霊の光を纏うその姿は、シロミが守り抜くと誓った家族そのもの。


「ふふ、私の可愛い妹の姿で私を殺そうなんて。……地獄に堕ちても足りないわね、カオス」


シロミの周囲の空気が、凍てつくような殺意で塗りつぶされる。魔族の姿となった彼女の背後で、巨大な影の大剣が、怒りに呼応するように激しく脈動した。


「シロミお姉ちゃん、どうして戦うの……? 私と一緒に、ずっとここにいようよ……」


カオスが真白のあどけない声で、シロミの心の隙間を突くように語りかける。だが、シロミはその言葉を冷笑で切り捨てた。


「……500年の孤独を知る私を、そんな安い言葉で惑わせるつもり? 滑稽ね。あの子はね、自分の足で天空を目指すと決めた強い子よ。お前のような虚無とは、魂の輝きが違うわ」


シロミの指先が、カオスの胸元を指し示す。


暗黒王ダークキング影武者シャドウが、カオスの化けの皮を剥ぎ取るべく、無慈悲な一撃を解き放った。

怨念ではなく、今を生きる家族を守るための誇り高き闇が、偽りの聖霊王の力を真っ向から粉砕せんと唸りを上げた

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