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魔道士と整理係  作者: 春隣 豆吉
魔道士と整理係-番外編-
98/98

番外編9.魔道士とハロウィン

ランス様はお茶目さん。の巻


デルレイとナナオが結婚して間もない頃です。

83話とエピローグの間くらい。

 ランス様の行動には慣れて・・・・いや慣らされていたはずだった。しかし、俺もまだ甘かったようだ。

「デルレーイ♪トリック・オア・トリート!お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ~」

 ランス様のノックに不吉な予感を覚えつつドアをあけると黒いとんがり帽子と黒いローブ、なぜか小さな黄色いカボチャ(目と鼻、口らしき形をくりぬいてある)を持ったランス様が立っていた。

 俺が黙って扉を閉めようとするより、ランス様の出した足のほうが速かった。

「待て待て待て。デルレイ、これはアレンから教わったナナオの国の行事だぞ」

「は?」

「なんでもなあ、10の月の最後の日にこのようにカボチャをくりぬいてろうそくを中に入れてランプのようにしたものを飾って、仮装して人の家にいって「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらうらしいのだ。で、もらえなかったら報復としていたずらしていいんだと」

「ランス様。ここはブレドン王国で、叔父上のいるナナオの国じゃありません。」

 冷たく言い放つものの、そんなことをランス様が気にするわけがない。

「で、お前。お菓子持ってないのか?ないならいたずらするぞ~?」

「そんなもん・・・」ありません、と言おうとして思い出した。そういえば・・・俺は今朝、ナナオから受け取ったものがある。


「デルレイ。昨日アレンさんがね、今日はデルレイにお菓子を持たせたほうがいいって言ってたの。だから、これ」

 そういうと、ナナオは小ぶりの袋を差し出した。

「叔父上が?なんでだろう?」俺が不思議そうにいうと、ナナオは意味深な笑いをした。

「アレンさんがね、デルレイにあとで連絡するって言ってたわ。きっと謝罪ね」

「謝罪?ランス様には迷惑を被ってるけど、叔父上からは何もないのに?」

 ナナオはそのあたりを知っているようだけど、言うつもりはないらしい。まあ、いいか。それは帰ってからじっくり聞こう。

 俺はようやく結婚にこぎつけた愛しい妻に、行ってきますのキスをすると小ぶりの袋を持って家を出たのだった。


「デルレイ?いたずらしちゃうぞ~。いいのかあ?」

「はいはい。ちょっと待ってくださいね。ナナオが叔父上に言われたからと用意してくれたものがあるんですよ。はい、どうぞ」

 俺が小ぶりの袋を渡すと、ランス様は「なんだよ~。つまんねえなあ~~。せっかくデルレイにおおっぴらにいたずらできるチャンスだったのに。は~、残念残念」残念そうに言いつつも、小ぶりの袋を持って立ち去るランス様・・・・・。

 普段からいたずらに近い奇襲を受けている俺としては、これ以上何をするつもりなんだと言っていいだろうか。

 俺がため息ついて書類が山積みになっている机に座ると、タイミングよく叔父上から連絡が入った。

「デルレイ。ランスは来たか?」

「ええ。黒いとんがり帽子に黒いローブ。それにカボチャの変なものまで用意してました」

「・・・すまん。デルレイ。ランスにうっかり“ハロウィン”というイベントのことを教えたら乗り気になってしまってな」

「大丈夫です。ナナオがお菓子を用意してくれました。それにしても、どこで用意したんでしょうか、あれ。」

「・・・私に聞くな。まあ、ランスならどこからか取り寄せても驚かないが」

「かぼちゃの変なものとは“ジャック・オー・ランタン”と言って、魔よけだぞ。ろうそくなどを中にいれて飾るものなのだ。ハロウィンのシンボルだな」

「そうなんですか。」

 そのあと、俺はランス様からハロウィンについていろいろ聞いた。話を聞けば聞くほど、ランス様が好きそうなものだということが分かった。


 家に帰ると、ナナオが「おかえりなさい」と笑顔で出迎えてくれる。

「おかえりなさい、デルレイ。あの袋は役に立った?」

「ただいま。ランス様が黒いとんがり帽子に黒いローブ、ジャック・オー・ランタンを持ってトリック・オア・トリートと言ってきた。ナナオにもらった袋をあげたら残念そうにしてたな」

「・・・・役に立ったみたいでよかったわ。ランス様は魔法使いの格好をしたのね。ふふ、ちょっと見たかったかも」

「は?あれは魔法使いか?」

「私のいた世界では、魔法使いはたいてい黒いとんがり帽子と黒いローブなのよ。」

「へえ・・・。そうだ、ナナオ」

「なに?」

「トリック・オア・トリート」

「へ?」

「お菓子がないなら、いたずらするぞ。だよな?で、ナナオはお菓子を持ってるのかな?」

「え??ええええっ?」ナナオが焦ったような声を出す。どうやら俺の言葉が予想外だったようだ。

「ふうん・・・お菓子はないんだな?そうか、じゃあ。いたずら決定だな」

 そういうと、俺はナナオ言うところの「お姫様抱っこ」にナナオを抱きかかえる。

「ちょ、ちょっとデルレイ??」

「暴れると落ちるぞ。」

  その後、俺はナナオにたっぷりいたずらをしたのだった。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


久しぶりの「魔道士」です。

ハロウィンにちなんだ番外編をUPしてみました!

ちなみにハロウィンに関しては「ウィキ○ディア」を参考にしました。

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