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黄金のメルディーラ 〜魔石で大切な人を楽にしたい〜  作者: タルミア


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66 光の可能性

 自分のお屋敷へ帰り夕食を終えると、魔石研究を始めた。

 ものすごく皆に止められたけれど、さすがに明日まで待つことはできなかった。


「カリーレ、分解してちょうだい」

「……はい。寝る時間になれば、強制的にやめますよ」


 その言葉には無言のまま笑顔で返す。カリーレはそのまま困った顔をしながら温水道の分解を始めた。

 マミーユは夜にお仕事をすることがあるらしく、今日は来ていない。魔石の糸作りをしてもらいたかったけれど、お仕事なので仕方がない。


「カリーレ、まだー?」

「少々お待ちください」


 ネジを必死に緩めては取り、その作業の繰り返しを眺める。


「カリーレ、まだまだー?」

「ちょっと待ってください」


 なんだかやけに遅いような気がする。寝る時間まで時間稼ぎをしているのかもしれない。そう感じた私は温水道に顔を近付け、何とかして水の通り道を見れないか奮闘した。


「あの、お嬢様。落ち着いてください、この魔道具は細かく作られているので時間がかかります」

「……はぁい」


 怒られてしまった私は自分の席に戻り、ペンを握ってどういう仕組みなのかを書き綴った。しばらくすると、カリーレが疲れ果てた様子で「やっと終わりました……」と言った。


「やっとね! さあさあ見せてちょうだい」


 居てもたってもいられずに、温水道の方へ駆け寄った。

 布の上には、細かなネジや水を通す筒、魔石を収める器が並べられていた。

 こうして見ると、本当に細かくできており、以前のものより、ネジの数が多かった。魔石に手を伸ばし、それを握ってみる。

 糸魔石で結われた水と炎の魔石を見ると、複雑にできている。前にも見たことがあるが、これに何かしらの細工はなさそうだった。


「他に何があるのかしら」


 そう呟きながら、他の鉄の部品たちを手に取って角度を変えながら見つめた。すると、水の通り道になる筒の内側に、何かが付着しているのが見えた。

 中の壁に何かが張り付いている感じのそれを、目に近づけ見つめる。


「これ、何かしら」

「お嬢様、見せてください」


 カリーレに渡し、その中を光に照らしながら見つめた。


「これ、キラキラしてますね、光の魔石ではないですか?」

「光の魔石? なぜそんなものが?」


 光の魔石と言えば、光ったり傷を治したりするものだと思っていたけれど、これに何かしらの細工があるかもしれないと思う。なので、私は光のナイフを作り出し、筒を直接切り裂こうとした。


「ちょっと待ってください、お嬢様! 温水道は一個しかないんです。壊されては困ります!」

「貸してカリーレ! わたくしは中身を見なければ気が済まないのよ!」


 頭上高く掲げられた筒を、頑張って飛び跳ねて奪い取ろうとするが、高すぎて手が届かなかった。その間のカリーレは私を頑張って止めようとしている。


「こうなったら、身体強化が必要ね」

「お嬢様!? 敵じゃないですから! 光の魔石だと判明した以上、実験して確認しましょう!」


 そう言われるとたしかにそうだ。しゅん、と私の興奮は一気に収まり、頭の中でどう仕組みを作りあげようかを考え始めた。


「落ち着いて良かったです。魔石をご用意いたします」

「ええ、分かったわ」


 光のナイフを消し、私は自分の席に座った。その際もどのように仕組みを作りあげようかを考えている。

 そして、魔力核と風と光の魔石、それから魔力増幅魔石が机の上に並べられる。なぜ風かと言うと、爆発して濡れないようにと、一番安全そうな風の魔石が用意された。


「今日はマミーユがいないから加工はできないけれど、並べるだけならできるわね」

「そうですね、本格的な実験はできないですけれど」

「どれも試せば実験よ、やればいいの」

「かしこまりました」


 魔力核には魔力を詰めてもらい、私は一番左に風の魔石、真ん中に魔力増幅魔石を置き、その右にカリーレが魔力を詰めた核を置いた。

 いつも通りの反応を示し、顔に風がやってくる。

 そして私は光の魔石をソッと風魔石に近づけてみると、光魔石は徐々に溶けていきながら、風が強くなった。


「これは……光魔石が効力をあげる役目を果たしているのね……」

「これは予想外でした。こんなこと、貴族の間でも知る人はいないと思いますよ」


 装飾品にしかしていないのだから、分からないのも当然だと思うけれど、これは知っている人は本当にいないと思う。どうやって見つけたのかが、ものすごく気になる。


「これを利用すれば、言い過ぎかもしれないけれど、なんでもできてしまう気がするの。もしも兵器などに使われたら、誰が止められるか……」

「お嬢様、もし兵器に使われたとしたら、それに必要な光魔石が足りません。鉱山で取れるわけではないですし、そもそも魔力量が何十人も必要なので問題ないかと」


 私の魔力量を基準に話していたところもあり、他の人達の魔力が盲点だった。けれど、これはすごい発見だった。

 魔石マスターの称号を与えたいと思えるほどに。


 そんなこんなで中身の構造はあらかた調べ尽くしたが、光魔石の効果以外の目新しいものはなかった。それにしても、あの光魔石はすごいと思う。


「メルディーラお嬢様、聞きましたよ。聖女の力を使って、カリーレから部品を奪い取ろうとした、と」

「あれはカリーレが悪いわ、ただ中身を見たいだけだもの」

「カリーレは何も悪くありませんよ。メルディーラお嬢様も聖女の力というのを十分に理解してください」

「はぁい」


 そうして、私は自分のベッドに放り込まれた。レオネットが灯りを消して出ていったが、寝ようにも寝付けない。光魔石がものすごく気になる。

 布団から手を出し、光の玉を作り出してそれを眺めてみる。


「これもそんな効果があるのかしら……」


 自分の目の前に作り出された光の玉を眺めながら、ぼんやりとそう呟いた。ずっと玉を見つめていると、眩しいのに逆に眠気が襲ってきて、そのまま目を瞑ってしまった。

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