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黄金のメルディーラ 〜魔石で大切な人を楽にしたい〜  作者: タルミア


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4.5 幕間 レオネットの情報収集

 メルディーラお嬢様は見慣れないご令嬢とお話をしていました。しっかりやれているのでしょうか。

 ご令嬢の侍女が動き出し、カリーレと話はじめました。おそらく、お茶会のお誘いが来たため、その予定合わせなのでしょう。


「レオネットの主人である、メルディーラはリュンレルテ様とお話しておりますのね、なんのお話でしょうか?」


 そう尋ねてきたのは、昔馴染みの侍女家系のブリオーナ様です。彼女は上級貴族の侍女に選ばれ、その主人を慕っています。


「リュンレルテ様はどのお家のご令嬢なのでしょうか?」


 私は表情を変えず、ブリオーナ様に聞いてみました。うふふと笑い「相変わらずの無表情ですね」と、前置きをしたあと、言葉を続けます。


「リュンレルテ様はどのような家系一族なのか、未だに分からないのですよ。あの両親すらも頑なに家系を言わないのです」


 ブリオーナ様は穏やかの笑みをしたまま、リュンレルテ様の両親であろう二人に目線だけを向けます。私も、その目線を辿って見つめました。いかにもお二方は近寄り難い雰囲気でした。


「分かりました。後でどんな話をしたのか、情報共有をいたします。感謝しますよ、ブリオーナ様」


 彼女に礼を述べ、メルディーラ様の方へ歩き始めます。背中で聞いたのは「まったく、昔のようにしてくれればいいのに……」と、ブリオーナ様が言っていましたが、私はそれを聞かなかったことにして、歩みを止めません。


 ちょうど、メルディーラお嬢様が一人になっていましたので、後ろから付き添い、離れないように見守りましたが、どうやらお友達ができたのは、リュンレルテ様だけのようでした。


(寂しい思いをしているかもしれませんね……)


 そう心配しましたが、メルディーラお嬢様は「まあいいですわ、帰ります」と言って、そそくさと馬車に乗ってしまわれました。悲しんでおられるのではないかと思い、お尋ねしました。


「リュンレルテ様のことどう思われますか?」


 無表情のまま、メルディーラお嬢様に語りかけ、お嬢様は「素敵な方ですよ、わたくしとお友達になりたいと言ってくれました」と、おっしゃいました。


(そうですか、よかったです)

 

 少し安心した自分と、どの家系なのか分からない不安が、同時にやってきました。

 そう考えていると、マミーユがメルディーラお嬢様の頭脳を欲しがっていると言いました。たしかに、メルディーラお嬢様は五歳にしては賢すぎるところがございます。なので、それを利用するものが出てくると思っていましたが、やはり、出てきましたか。


(これは早急に情報収集が必要ですね)


 私は馬車を降り、後のことはカリーレとマミーユに任せることにしました。あの二人なら報告のことは問題なくやってくれるでしょう。


 早足で自室に入り、質素な雰囲気の部屋の奥に魔道具が置かれております。これは、遠くの人と会話ができる魔道具です。水晶の中に陣が刻み込まれています。


 それに手をかざして、魔力を流し、会話する相手の顔を思い浮かべます。


「何の用だ?」


 その水晶から、少し怒り混じりの声が出てきました。お仕事の邪魔をしたのでしょうか。


「リュンレルテ様のことを教えていただきたいと思います」

「リュンレルテか、あぁ、あれか。何があったのだ?」


 どうやら記憶にはなかったようです。私は苦笑しながら、言葉を発します。


「リュンレルテ様とメルディーラお嬢様がお友達になりました」

「何!? それは事実か? 記憶は? どうなっている!」


 そう声を荒らげて質問してきます。少し落ち着いていただきたいです。もちろん、全部答えるつもりです。情報が欲しいのです。


「記憶は昨日失っております。もしかしたら、メルディーラお嬢様かもしれません」

「そうなのか、だとしたら由々しき事態だ。リュンレルテは王族に組みする情報家系だ。あれが知られれば、喉から手が出るほど欲しがるだろう」

「そうですか、どうしましょう」


 これはすぐにいい案が出る案件ではありません。あの子の存在が知られるのは魔術学院に入ったあとでもよろしいと思います。その頃にはもっと意志が強く育って欲しいものです。


「気をつけろ。あれは誘拐されることも視野に入れておけ。我が領地の宝だ」

「元からそのつもりです」

「うむ」


 そういうと水晶の光は消えていった。それよりも、誘拐される可能性が出てくるほどとは。対策を考えるため、机に向かったところ、ドアを強く叩く音が響きました。私は「どうぞ」と答えると、すぐにドアは大きく開かれた。立っていたのはカリーレで息を切らしていました。


「優雅にしてくださいませ」

「も、申し訳ありません……じゃなくて、お嬢様がいません!」


 私は目を見開き、さっきの声が頭をよぎります。「誘拐されることも視野にいれておけ」と、その言葉が胸いっぱいに広がっていき、カリーレを強く睨みつけてしまいました。ですが、まだ決まった訳ではありません。


「カリーレ、マミーユと料理長とともに窓の確認を。カリーレは先程までどこにいましたか?」

「庭で魔術を教えておりました」


 お嬢様は太陽が苦手です。それは記憶を失う前はそうですが、おそらく今もそうでしょう。そうすれば屋敷内のどこか。いなかった場合、誘拐と決めましょう。

 私は思わず、足はやに屋敷中を探し回り、厨房の方からなにやら割れる音が聞こえました。少し覗いてみると、ちょうどメルディーラお嬢様が椅子によじ登ろうとしていましたので、慌てて後ろまでに行きました。落ちたら大変です。


(誘拐ではなくいてくれて、ありがとうございます)


 メルディーラ様の後ろで、安堵の息を吐きました。そして、周りの状況を確認し、私は口を開きます。


「メルディーラお嬢様! 何をしているのですか? お怪我はありませんか!?」

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