↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄金のメルディーラ 〜魔石で大切な人を楽にしたい〜  作者: タルミア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/82

8.5 幕間 商人の呼び出し

「親父、本当に俺も行くのか?」


 俺は親父にそんなことを聞いてみた。親父は何を考えて俺を連れていくのかよく分からない。貴族との会合に俺のような、まだ所作もできてないやつを連れていくなんて。


(それに、店の荷物整理の途中で急に呼び出すとか、貴族は勝手すぎる)


 心の中で、俺は文句を垂れ流す。普通は数日前とかなのに。


「あぁ、そうだ、お前は魔力量は下級貴族並だ」


 淡く光る緑がかった青い瞳は真剣そのものだった。


「だけどよ、今回呼んできたのは、令嬢の五歳だろ? 恋とかわかんねーって」


 五歳なんてまだ子供だ、俺が十歳になってから、女に意識が行くようになった。女なら遅いと思うが。


「恋とかじゃなくていい。相手に価値があると思わせればそれでいい。それで、俺は貴族社会の商人になれるじゃないか」


 親父の言いたいこともわかる。商人は貴族へのコネを作れば平民街では、豪商の部類になる。そうなれば、店も大きくなる。でも、上手くいくだろうか。


「そのお嬢様が会合するんだろ? どんな無茶な命令をするんだろうな」


 そう言うと、親父は執務机にまた書き物を始めた。俺は近くにあった椅子に座り、親父の言葉を待つことにして、天井を見上げる。


「菓子だそうだ。あとは土産のようなものとか」

「はっ、子供らしいじゃん」


 やっぱり子供だ。俺は短い笑いを飛ばし、結婚作戦はやめた方がいいと考えた。


「侍女がおるだろ、その人と話が出来れば、上手く行けるかもしれん」

「まぁ、俺は喋んないからな、親父に任せるよ、俺は貴族にもなってみたいし」


 親父はふんっ、と鼻を鳴らして、書き物に集中した。俺は馬車の荷物を確認するため、執務室から出て、廊下を歩いていくと、女中のボナと鉢合わせた。


「ヒュールさん、今からどこへ?」


 俺の身長より少し高めのボナは少し屈み、視線を合わてくれる。この人はお姉さんのようで優しい。少し屈むと、胸元が見えそうになるので、俺はすぐに目線を外した。


「に、荷物の確認をしに行くところだ……」

「なら私も行きましょうか。色々教えますよ」


 多分彼女も暇なのだろう。だが、教わるほど知らないわけではない。「ついてこなくていい」と言って、そのまま立ち去った。話す度に屈まれると、目に毒だ。

 馬車は計三台。二台は荷物を入れ、最初の一台は親父と俺と、そして、ボナが乗る。


 荷物を一通り見たあと、親父が馬車の前まで歩いて、俺の隣に立ち止まった。


「魔力核はもうある。これで貴族街にいけるぞ」


 そう言いながら見せられたのは淡く黄色に光る魔力核。これがないと、貴族の森に抜けられず、何度も同じ道に戻るそうだ。貴族の資格……か。


「いいな、たらふく飯が食えるんだろうな」

「貴族街に行ったことがないからわからんが、朝にやってきた侍女らしき人は細身だったぞ。案外そうではないのかもな」


 親父はそんなこと言うが、それは侍女だ。俺も見たが、全体的に紫色のおばさんは貴族のような所作だった。貴族でも侍女になる事があるだろうと思う。


「あの紫のおばさん、どうやって来たんだ? 馬車なんて乗っていなかっただろ」

「貴族では空を飛ぶ魔術があるそうだ。まぁ、魔力量次第だがな」


 やはり、あの紫のおばさんは貴族で間違いない。なにか裏があるのかもしれない、と、用心することにした。


「金の話は親父、がんばれよ」

「誰に物を言ってんだ」


 親父はそう言いながら、俺の頭を拳でグリグリとする。地味に痛いが、これは親父の愛情だと分かっている。それは俺にとって嬉しいである。


「さぁ、乗るぞ、飯はもう食ったよな?」

「ああ、食ったよ」


 俺たちは馬車に乗り、いざ、貴族街へ出発することとなった。

 馬車にガタガタと揺られ、貴族の森を抜ける。その道中、魔力核から魔力が抜かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。