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目覚めたらカードゲーム世界!?~やめろ私に近づくなメインキャラ!~  作者: 蒼井茜


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入学~アニメ特有の晒上げ~

「ここ空いてるか?」


 入学式会場でそんな風に声をかけてきたのは特徴的な髪型の少年。

 二代目主人公君である。

 名前は龍馬だったはず。

 歴代の主人公の名前には必ず龍の文字が入っている。


「どうぞ」


 本当はお断りしたかったけれど、ここで波風立てて変な印象を持たれるのもよくないので承諾しておく。

 よく見れば取り巻きキャラの昇平君もいるじゃないか。

 彼はいわゆる成長枠キャラ、今は弱いけど今後強くなっていくという設定の出世魚みたいな立ち位置だ。


「そんじゃお邪魔するぜ」


「ありがとうございます……」


「お気になさらず」


 まぁセールストークでこの場を凌げば問題ない。

 少し汗のにおいがするのは龍馬が遅刻しそうになったからだろう。

 入学式に遅刻しそうなタイミングで初代主人公の龍戯とぶつかって、なんだかんだでカードを貰うという流れがあるからだ。

 うん、この様子なら問題なく受け取れたんだろうな。

 【天使クリエル】のカード。

 彼のデッキは英雄を主軸としたテーマデッキで、ジョグレスというカードで上級モンスターを特殊サモンするのが基本戦術となる。

 一方で【天使クリエル】はそれらのカードと一切シナジーが無いのだが、フィールドから墓地に送られた時そのターンの間ライフダメージを0にできるという効果を持っている。

 また【天使覚醒】というカードで自身をコストにすることで相手フィールドのモンスターをすべて破壊して、その打点の合計値をダメージとして与えるというワンキル性能の高い効果を持つ【大天使クリエル】と言うモンスターになるというのも強みだが、いかんせんサーチ手段に乏しいので運命力で引き当てる以外ない。

 一応私みたいに墓地に落としてから蘇生と言う方法もあるけれど、2枚カード使って蘇生するには少々物足りないし、その後ダメージを与えるにしても追加で【天使覚醒】のカードを握ってなければならない。

 壁にするにしてもそもそものステータスが高いモンスターを呼べばいいので択としてはかなり薄いんだよなぁ……。


「あんた強そうだな。クラスは?」


「え? あー……どこだったかな」


 そう言えばアカデミアにはクラスがあった。

 何組と言う単位ではなく、実力を示すカラーリングだ。

 信号機カラーで青、黄色、赤の順番で強いと言われているのだが龍馬と言う例外が存在する。

 基本的に彼は赤のクラスで3年間を過ごして、なおかつアカデミア最強と呼ばれ続けるのだ。

 ちなみにプロになる生徒が多いので黄金世代などと揶揄される事もある、と言うのは設定資料で読んだ。


「赤ね、あなたは?」


 生徒手帳を見ればわかった。

 校則とかも乗ってるけど、どうやらこの後配られるネクタイでクラスがわかるようになるみたいだ。

 ……正直色味としてはワインレッドみたいな深みのある赤のネクタイだったはずだが、龍馬はいつも緩めていたしここぞという時はネクタイ投げ捨ててたなぁ。

 青も深い色でなかなかにおしゃれだったが、黄色だけ金ぴかで芸人かと思った事もある。

 ちなみに黄色クラスはトップクラスの実力の外部生なのだが、扱いにくい設定だったためアニメ本編では影が薄かった。


「奇遇だな! 俺も赤なんだ! しかし妙だよなぁ、強い奴は青や黄色って聞いたんだが……」


「青は小学生の頃から進学してきた優等生だけよ。黄色は外部生の上位と進学生の中堅、赤は外部生の中堅以下と進学生の下位で構成されているの」


「へー、じゃあ俺は中堅扱いされたのか? なんか腹立ってきた……」


 龍馬のキャラはわかりやすく熱血馬鹿である。

 直情的と言ってもいいんだが、この熱血が雲らされるのは本当に美味しい設定だったな……。

 主人公として成長も見せつつ最後には初志貫徹させるというストーリーは素晴らしかった。

 途中妙なバトル展開とかあったけどさ。


「あ、始まるっす」


 昇平君の言葉に壇上を見上げる。

 校長と教頭が並んで眠気を誘う祝辞を述べてから、長い演説が始まった。

 半分くらいデッキの改造とか考えててろくに聞いていなかったが問題ない。

 入学シーン、アニメにおける1~5話は死ぬほど見たから全ての台詞を暗記している。


 そしてこの後の展開も知っている。


「ではこれより新人歓迎バトルを開始しマース!」


 共闘が声を張り上げる。

 独特のトーンと声色は、まぁ慣れてないと驚くよなぁ。


「ブルーからは主席の億ヶ崎君!」


 あ、おっくんだ。

 本来ならここで新入生を叩きのめして立場を分からせようとする三下だったんだが、何度も龍馬に負けて落ちこぼれて行って、そこから這い上がってくるタイプのキャラ。

 二代目はね、とにかくキャラの成長に焦点当ててるからパターンが多いのよ。


「レッドからは立候補者がバトルするのデース!」


「はいはい! 俺! 俺がやりたい!」


 晒し者にされる、大抵の人間はそう思うだろう。

 だがここで嬉々として突撃していくのが主人公だ。


 そしてバトルは終始奥ヶ崎が優勢に進めていったが、龍戯から貰ったカードで凌いでからは風向きが変わる。

 【ジョグレス】で特殊サモンしたモンスター、モンスターフィールド全体に効果を及ぼすカードと戦闘ダメージ、そしてバーン効果の組み合わせで奥ヶ崎のライフを0にした龍馬が壇上でガッツポーズをしていた。


 さてさて、ここから彼等の波乱万丈が始まるわけだが、私はモブとしてそれを鑑賞させてもらおう。

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