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7話・休暇中なのに同行?


「サーラちゃん、驚かせてごめんなさいね。陛下よりノアールさまへと言伝を頼まれたものだから」


 ノアール達が頭を上げたのを見て、私も頭を上げるとカルロッタが済まなそうに言ってきた。いきなり始まったので驚いたけど、仕方ないことなのかもしれない。でも、ノアールは不服そうだった。



「誕生祭だって言うのに。ラーウル地方まで行かなくてはならないとは……」


「ラーウル地方?」


「ノースデン山はラーウル地方にある」



 誕生祭を楽しもうと思っていた矢先の仕事に、彼はツイていないとでも言いたそうだった。私も少しだけ残念に思った。もっとノアールと色々と見て回りたい思いがあった。それでもどこかで聞いたような地名が出た気がして、聞き返すとノアールが教えてくれた。そう言えば、ダニールがスターシャと、その夫がラーウル地方の田舎町から王都に出てきたと、言っていたような気がする。そのラーウル地方へ向かうことになる?



「じゃあ、スターシャさんの故郷へ向かうことになるのね」


「スターシャさん?」



 アコダが何の話だ?と、言う顔をするので、スターシャが噴水前の広場でおかしくなっていて、その原因が夫のステパンとの別れにあるらしいと話すと、神妙な顔をしていた。



「あの婆さんにそのような過去があったとは。大変だっただろうな。お腹に子供がいたのに夫がいなくなるなんて……」


「本当にね。許せない話よ」



 アコダに説明している中で、スターシャの夫を許せない気持ちが再発した。



「そうしていると、サーラはシグルドに似ている。あいつも正義感が強かった」



 懐かしむようにアコダが言えば、カルロッタさんもそうそうと頷いた。



「カルロッタさんも、父のことを知っているのですか?」


「勿論。私はアコダの許嫁だったから、彼の幼い頃から交流があったのよ。ジグルドが少年の頃は、それは、それは可愛い男の子だった」


「何か焼けるな」


「妬かないでよ。相手はあなたの弟よ」



 アコダがカルロッタの腰を引く。カルロッタはアコダの額を軽く弾いた。仲が良さそうだ。目も当てられないと言うのは、こう言うことを言うのだろうか?



「サーラ。済まないが陛下から王命が下りた。明日にはラーウル地方へ向かわなくてはならない。今回は二人で仕事となりそうだ。よろしく頼む。さっそくだが出かける支度をしてもらえるか? 私は自分の分は用意するから、きみの分だけでいい」


「分かりました。ラーウル地方へは何日くらいかかりますか?」


「そうだな。馬車で……」


「夜中の飛行なら一時間程度で済むぞ」



 ノアールに聞いていたら、アコダが割り込んでくる。ノアールは顔を顰めた。



「二人は休暇中だろう?」


「いえ。同行せよと陛下より命じられております」


「同行?」


「はい。私もクリュサオルの仕事の手伝いをするようにと言われました」



 目を丸くするノアールに、カルロッタが自分達も同行することになっていると言い出した。



「今回は賑やかでいいな。四人でラーウル地方か。カミさんの背には載せられないが、二人は俺の背に乗って行けばいいさ」



 唖然とするノアールの隣で、鼻歌でも歌いそうなほど機嫌のよいアコダが提案する。私には意味が分からなかったけど、カルロッタと目があうと彼女も嬉しそうな顔をしていた。その意味が分かったのは一時間後の事だった。

 支度が出来たか? と、アコダが呼びに来て、建物の屋上に連れ出され大きな竜となった彼の姿に驚くことになった。


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