6話・綺麗なお姉さんと、突然の王命
ノアールと色々と食べ歩いてお腹が満たされて、集合住宅に帰って来るとアコダが先に帰って来ていた。
「よお。お帰り。迷子にならずに回れたか? サーラ」
「大丈夫ですよ。ノアールさんが手を引いてくれましたから」
「ほほう」
王都に来た初日に迷子になったのは確かだけど、ここでの生活に慣れてきたし、もう迷子になることなんてないのに。そう思っていると、アコダの後ろからストロベリーブロンドの髪の女性が現れた。瞳は緑色。ドレスを着ていたが、背が高くすらりとしている。髪は短く襟のあたりまでしかなかったが、生花の髪飾りをしていてそれが良く似合っていた。
「ノアールさま。お帰りなさいませ」
「カルロッタ。来ていたのか」
この女性は誰だろうと思っていると、彼女の方から歩み寄って来た。感じの良い人に思えた。
「あなたがジグルドの娘のサーラね? 私はアコダの妻のカルロッタよ。よろしくね」
「初めまして。サーラです。伯父さんには色々とお世話になっております。こちらこそどうぞ宜しくお願いいたします」
──この人が伯父さんの奥さん?
まじまじと見つめてしまった。カルロッタは綺麗な人だった。女王の護衛官の制服姿が良く似合いそうだと思う。アコダが「俺の妻はカッコいい」と、普段から自慢しているだけあって、凛々しくて見惚れてしまいそうになった。
カルロッタはアコダから私のことは聞いていた様で、好意的だった。
「ここでの暮らしには慣れてきた?」
「はい。伯父さんやノアールさんにも良くしてもらっていますし、家政婦さんのビルナさんも優しいです」
「それは良かったわ。私とも仲良くしてくれると嬉しいわ。伯母さんと呼んでね」
「良いのですか? でも、伯母さんだなんて──」
「嫌かしら?」
カルロッタからの提案は嬉しいが、呼び名が気になった。するとカルロッタが寂しそうな顔をしたので、そんな顔をさせたくなくて思ったことを口にしていた。
「いえ。カルロッタさまはお姉さんにしか見えないなと思って……」
「では、お姉さまでも良いわよ」
「はい」
「おいおい、それはさすがに──、ぐっ……!?」
何か言いかけたアコダだったが、何故かカルロッタからお腹に肘付きされて悶絶していた。大丈夫だろうか? ノアールは冷静にアコダを一瞥してからカルロッタに言った。
「カルロッタ。おまえがここに来たということは、あのお方から託されてきたのだろう?」
それを聞いてカルロッタは、顔つきが変わった。きりっと直立姿勢を取る。アコダも姿勢を正した。
「王命である。ノースデン山で12人の石工達が行方不明となっている。それを調査せよ」
「拝命仕りました」
この場に女王陛下がいなくとも、カルロッタから告げられたと言うことは、彼女は陛下代理として告げたと言うことなのだろう。ノアールや、アコダが深々と頭を下げているのを見て慌てて頭を下げた。突然、王命が下ったのでびっくりした。




