表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/149

54話・お茶会終了後



「彼とその彼女の結婚式が終わった後、あてどもなく彷徨い歩いて、気が付けば彼と出会った浜辺に来ていて……死のうと思いました」


 私の告白を陛下とカルロッタは神妙な顔つきで聞いていた。公爵は黙っていた。


「そこにノアールが通りかかって、自殺しようとした私を止めてくれたのです。その晩は月夜で、わたしの流した涙が真珠に変わったそうで、それを見てノアールはわたしが人魚の血をひくのではないかと思ったそうです」

「……そうだったの」



 私の話を聞き終えた陛下やカルロッタは、ようやく納得したような顔をしていた。カルロッタは、ノアールに深々と頭を下げた。



「ノアールさま。勘違いして申し訳ありませんでした。サーラの命を救って頂き感謝します」

「サーラちゃん。自殺なんて馬鹿なことを考えちゃ駄目よ」

「そうですね。今にして思えば、あの頃の私はどうかしていました。彼のことしか見えていなかったので、彼に捨てられたらお終いのような気がして……。でもノアールに出会って、自分はちっぽけな世界で生きていたことに気付かされました」



 隣の席のノアールが、膝の上に乗せた私の手に自分の手を載せてきた。大きくて包まれるような感じに安心する。私はもう一人じゃない。ノアールを見れば、琥珀色の瞳が見つめ返してきた。



「今はこの出会いに感謝しています。この世の中は自分が思っていたよりも広くて、不思議に満ちている世界なのだと知ることもできましたし、まさか自分が人魚の血を引くなんて思いもしませんでしたけど」



 こうして生きていて良かったと言えば、この場にいる誰もが私の言葉に頷き返してくれた。竜王陛下はノアールに言った。


「おまえの姫を守れよ」

「当然だ」



 父子の会話は短かった。彼女を連れて来た息子への父親なりの激励のようだ。それからしばらく他愛もない会話が続き、お茶会は終了した。行くときは相手に失礼がないようにと、ドキドキしていた私も、帰る頃にはノアールの両親に親しみを感じていた。



「ノアールのお母さまが陛下だと知った時には驚いたけど、気さくな人で安心したわ」

「母さんより、親父が怖くなかったか? 親父は無愛想だからな」

「気にならなかったわ。お二人は仲が良いのね」

「竜人は一途だからな」



 ノアールと二人で廊下を歩いていると、反対側から自分達と同じ年頃の男女が通りかかった。二人の後ろには侍女と近衛兵がついていることから、身分の高い相手だと知れた。 

 二人とも王家に多い、金髪と青い目をしている。もしかして──と、思う間もなくノアールが廊下の端に移動し、頭を下げる。そして小声で囁いてきた。


「ウベルト殿下と、アドリーヌ殿下だ」


ノアールに合わせて、二人が通り過ぎるのを待っていると、二人は立ち止まった。


「なんだ。ノアール。来ていたのか」

「お久しぶりですね。アイオライト公爵子息」


 面白くなさそうな顔で声をかけて来たウベルト王子とは対照的に、アドリーヌ王女は笑顔を向けてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ