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42話・結婚式



 そして挙式の日。晴天に恵まれた。新婦側からは、体調を崩した兄のネスワルドに代わって宰相と、陛下や王妃殿下の名代としてフルバードが参加した。フルバードはホリーを同行者として連れていた。

 新郎側はノクティスの従兄のアコダと、その妻カルロッタ、数名の竜人たちが参加した。


 父王は最近、体の調子が悪く寝付くことが増えてきた。王妃はその看病で挙式の参加は見送ると返事があった。その為、新婦側の家族の参加者は特に期待していなかったが、竜王陛下の婚礼としては大変慎ましやかで、新郎側の親族から苦情が出るかと思われたが逆に「婚礼に参加までさせて頂いて……」と、涙ぐまれてしまった。


 どういうことかと疑問に思っていると、カルロッタが教えてくれた。竜人は番主義で、しかも独占欲が強い。特に王族となると、自分の愛する者を人前に出したがらない傾向が強いのだと言う。

歴代の王らは、番に会うとすぐに閨に連れ込むので、蜜月が終わるまでは相手の顔も知らずにいることが多かったようだ。


 挙式の後、ガーデンパーティーを開いたら、大勢のノーム達が着飾って参加していた。可愛らしい小人達が笑顔で「おめでとう!」と、祝ってくれる。そこに挙式に参列してくれた竜人たちや、その仲間と思われる人々も交じり楽しそうに会話していた。

 明らかに人外の者と思われる者達との交流に、叔父の宰相が臆していないかと思ったが、さすがは一国の宰相。打ち解けた様子でノクティスの従兄のアコダと会話していた。



「この度はおめでとうございます。陛下、アーシアさま」

「私達、親戚一同までお招きいただいて光栄です」



 帽子を脱いで、軽やかな足取りで挨拶するロージイと、チム。小さな紳士、淑女はとても様になっていた。



「ありがとう。チム。このような素敵な場所を用意してもらって嬉しいわ。ロージイ」

「喜んで頂けて幸いです。普段からお世話になっている陛下に貢献出来て、我々も嬉しいですじゃ」

 


 ノクティスは挙式の教会や、ガーデンパーティーの場所となるところを一族皆で作り上げてくれた。ロージイ達はノクティスに恩義を感じているそうで、ノクティスの意図を理解して用意してくれた。その彼らには感謝しかない。この婚儀の裏の功労者は彼らだろうなと思っていると、横からひょっこりフルバードが顔を出した。その隣にはホリーがいた。彼女は彼の影のように付き従っていた。



「誰かと思ったら、ノームじゃないか」

「あなたは──!?」



 突然顔を出したフルバードに驚いたのか、ロージイ夫婦はギョッとした様子を見せた。アーシアは紹介した。



「わたくしの弟なの。第四王子のフルバードよ。そんなに恐縮しないであげて」

「だ、第四王子さま?!」



 ロージイ夫婦はフルバードの顔を凝視していた。その態度に異変を感じてフルバードを見れば、普段は長い髪の毛で隠されていた彼の耳が露になっていた。耳の先端が長く尖っている。それを見て改めてフルバードは妖精なのだと悟った。

 ロージイ達には、フルバードが妖精の取り違え子だとは伝えていない。それでも何か伝わるものはあったようだ。どこか同情めいた目線を向けていた。



「ふたりとも宜しくね」

「宜しくですじゃ」

「宜しくお願い致します」



 フルバードは跪いて、ロージイ達に手を差し出した。二人は好意的にその手に自分の手を重ねていた。その後ろでホリーが微笑んでいる。



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