表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/149

38話・たまには外に出てみないか?



「恐らくネスワルド殿下の指示だろう」


「兄上が?」


「あれは早くからそなたの存在に気が付いていた。それで保険をかけたのだろう」


「保険?」


「母親たちの抗争に巻き込まれて、王子らは何度も危険な目に合ってきた。王妃の目を逸れているそなたならば、生き残れるかもしれないと可能性にかけたのだろう」


「もしかしてわたくしに教養を授けたのも?」


「ネスワルドの意向もあっただろうな。いくら叔父とはいえ、宰相と言う臣下の身で離宮のことを整えられるはずがない」



 20歳に生贄として捧げられるというのに、毎日何かしらの勉強をさせられて教養をつけさせられたのは、万が一、兄達の身に何かあった後を託す為に? 兄のネスワルドは不器用な人だ。外見からしてとっつきにくいものを感じさせるが、誰よりも家族思いなのかもしれない。



「僕はアーシア姉さまが気に入ったから、加護を授けようかと──」


「いらぬ。シアには我が付いている。シアは簡単に死なない」


「そうだよね。史上最強の竜王さまがついているから余計なお世話か」



 フルバードが嬉々として言いかけたのを、ノクティスはぶった切った。アーシアはフルバードが何を言いかけたのか分からなかったけど、彼の表情がだいぶ明るくなったので気にしないことにした。二人はアーシアを挟んで、なんだかんだ言い争っていたけど、案外二人は仲が良さそうだ。



 数日後。ネスワルドから引き継いだ執務の間にため息を漏らしていると、ノクティスから誘われた。



「たまには外へ出てみないか?」


「それ、いいわね。少し息抜きがしたいわ」


「それならいい場所を知っている」



 ノクティスに促されて王宮の廊下に出ると、彼は指を鳴らした。すると懐かしい場所にいた。王宮に来てから何度か気にしていた。王宮から馬車なら片道三日もかかる所へ、何の魔法なのか一瞬でたどり着いていた。



「ここは……ノースデン山?」



 周囲を青紫の竜胆に取り囲まれていた。ここはある晩、ノクティスに連れられて来た離宮からそう遠くない竜胆畑だ。


「離宮に連れて行こうかと思ったが、あそこは今、閉鎖されているからな」

「そうね。離宮に行っても誰もいないのでしょうね」



 離宮はアーシアが王宮に来ることが決まってすぐに閉鎖された。使用人達は麓の街に皆降りたと聞いている。誰もいない離宮に行ってもつまらないだろうと、ノクティスがこの思い出の竜胆畑に連れて来たのに違いなかった。



「あの時も素晴らしいと思ったけど、見事な竜胆畑ね」

「お褒めに預かり最高です」



 かがんで竜胆を見ていたら声がした。それと同時に「あ、馬鹿っ」と、制止するような声も聞こえた。



「だ、誰?」



 立ち上がって周囲を見渡すも、誰の姿も見えない。キョロキョロと捜してしまった。ノクティスが不機嫌な様子を隠さずに言った。



「出て来い。ノームども」

「はい……」

「ロージイのところの息子どもか」


 ノクティスの声におずおずと姿を見せたのは三人の小人達だった。アーシアは目を輝かせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ