22話 職務内容
「起きなさい」
誰かに体を揺さぶられながらそういわれたので、起きてしまった。
起こしたのはメイド長。
「あなた、なぜここで寝ているの?」
「そいつは早朝組の仕事手伝ってくれたんですよ」
なんと言おうか考えていたら、鍋をかき混ぜながら新人が台所の方から説明してくれた。
「またなんでそんな事を?」
「朝眩しくて起きちゃって」
「はぁ。変な人ね。まぁ起きなさい。これから屋敷を案内するわ」
そして一息おいて
「まず顔洗ってきなさい」
と一言。
特にに不満はないのでその指示に従う。
屋敷の内外を案内されて、諸々の説明を聞かされたがあえてここで書くことはない。
掃除の手順やら掃除道具の位置やら、仕事は二人一緒にやるのが基本よ。っといった事だったり。
屋敷自体は先に書いたように木と漆喰と石でできた二階建ての屋敷だった。
元々砦だった、というわりに部屋の配置はかなり規則的な作り。細長い廊下の片側に四角い部屋がくっついている感じ。
よくあるアパートと同じだ。
廊下の窓から外を眺めれば、屋敷よりあとから新設されたらしい先程までいた食堂。炊事場。トイレ。倉庫らしきもの。2階建てで平地なので、ちょっと遠くに昨日お世話になった豚小屋も見える。
「ここって兵隊の寮かなにかだったんですか?」
「宿舎ね、なんでそう思ったの?」
「他に砦を見たことがないのであくまでイメージですけど、なんだか砦って感じはしないなと思って。僕のイメージだとアパートとか寮とか、そういう集合住宅とか長屋みたいな作りに近いなっって思ったので」
「よく見てるわね。大昔はウェイバー様一族が住む専用のお屋敷があったけれど、戦災で破損しまったのよ。それで仮住まいのつもりで空いてたここに引っ越してきて、そのまま住み続けているって話だわ」
そういってメイド長は立ち止まり、右手を横に伸ばした。
「この屋敷はこんなふうに横に長い廊下に部屋が付いている形になってる。そして右と左、真ん中の3つの階段で区切られてる。真ん中の階段は親方様と客人ようだから使っちゃだめ。これは絶対よ。私達使用人は真ん中の階段からみて右(そう言って右手を下に振った)の一階に住むのよ。と言っても住み込みじゃない人も多いんだけどね。あなたも本採用になったらどこか部屋を見繕って上げるわ。で逆にその上(右手を上に降る)はたまに遊びに来る貴族様用のスペースと娯楽室があるわ。狩や休養で都会の貴族様が来るから、その時は礼儀正しくね。で反対に左側(右手をおろして代わりに左手をあげる)の部屋はすべて親方様一族のスペースよ。だから仕事がないときや親方様に呼ばれてないときはいっちゃだめね、向こうには親方様専用のお手洗いや食事スペースもあるけど、私達は外に見えてるあそこを使うわ。客人用のお手洗いもあるけど、そこはお客様がいないときは使っていいわ。ただし使ったらしっかりと掃除すること。私達使用人が二階に上がるときは右か左の階段を使うことを心がけてね。わかったかしら」
「わかりました。で僕の仕事って何になるんですかね?」
「そうね」
メイド長はそういって少し考えた。
「あなた早起きは得意?」
「夜早めに寝かせてくれるなら」
「基本一番人手が足りてないのは食堂なのよね。お客様がいないと屋敷の掃除や洗濯、雑務なんてたかが知れてるから通いのメイドを使えばいいし。だから早朝組の食堂の方の手伝いをしてくれる?終わったら昼過ぎまで休憩して、昼から豚の世話ね」
「重労働っすね」
「暗くなる前には終わるように調整してあげる」
そうは言ってもね?




