67話 不穏な遠足
そろそろ、そろそろ、そろそろ……完結したい。
いやもう打ち切りっぽいので終えようとしてるので後数話お付き合いを。
運命を変える――――そんなことすればただじゃ済まない、らしい。
俺が戻りたい元の未来へとは違う別のより良い未来……それを望んだ俺は、待ち望んでいたはずの未来を永遠に失ってしまった。
それは、響也が転向してきてから一月経った時のことだ。
地域の子供会の行事で遠足イベントがあった、それに参加したのは俺と響也と鹿子。亜理子は実家の用事で参加できず他の連中も居ない、子供は多いが全く知らないか鹿子のクラスメイトが何人かいるぐらいか。
年長組は俺と響也だけ……いやもう一人同学年の女子が居たっけ。話したことないし
遠足こそ大したことはない、昔……いや前というべきか? 参加したときはただ山登りして山頂で遊んで帰る……帰る?
何かとても引っかかるが思い出せない、基本的にこの時代に来てからこういう事はなかったと思うが……。
「よぉ、どうしたんだよそんなシケたツラして」
バスでの移動中俺の右側、通路側に座っている響也が俺の顔を覗き込んで来た。
「別に……ってか、顔近ぇーよ」
「おう、わりぃ……でもせっかくの遠足なのになんでそんなに不機嫌なんだよ、なんか嫌なことでもあったか?」
「別に……ただなんかある気がするんだよな」
「何かってなんだよ」
「いや、俺とお前がもう会えなくなるような?」
「なんだよ、それ……」
俺の言葉に響也も不安そうな顔をする、まあ普通はこんな話笑い飛ばすところなんだが、俺の発言だ。二度目の小学”生”において記憶頼りの行動や発言は響也にとっては絶対的な物だ。
この一月の間にそれだけの修羅場をくぐり抜けてきた俺らはもはや親友を通り越して戦友という間柄だった。
その俺がこれだけ不安がっているというのは響也にとっても気が気じゃないんだろう。
「とりあえず気をつけてくれ、もちろん鹿子ちゃんもだけど……多分お前が鹿子ちゃんを助けた結果……かな」
うろ覚えだが多分そんな感じだった、思い出したくもないのか具体的にどうなるとは分からないが経験則とこの状況ではバスが事故るってのを想定するのは容易だ。
今の魔法の力の使える俺でもバスの事故原因が分からなければ対処しようもない。
つまり俺が抱えている不安というのは自分の力でどうしようもない、例えるならば運命としか言いようのない絶望的な状態に対するものだ……とは言え小学生だしどうしようもない。
「鹿子は俺が守る……けど、大丈夫だよな?」
「まー遠足中はなんもない、と思う……問題は帰りだな、というか既に運転手の具合悪そうなんだけど」
俺達は結構前のほうの席で運転手の様子が見えるが、なんか眠たそうに欠伸をしている……誰かの保護者だった気がするが。
「吉岡の親父だ」
「吉岡?」
「ほら、隣のクラスの女子だ、一回だけ話したことあるんだ」
シスコンの響也にしては珍しく同学年の女子といつの間にか知り合いになっていたか。
「好きなのか?」
珍しさに釣られてついついストレートに聞いてしまった。
「ばっ、ばっかじゃねーの! そんなわけないだろ!」
怒鳴りながら俺の顔面に右ストレートを叩き込もうとする響也、それをなんなく躱すと、その右手は窓ガラスを強打して響也は思わず手を引っ込めて悶える。
「何やってんだよ……」
取り乱しすぎだ、みんなこっち見てんぞ……というかそんなあからさまな反応するかよ。響也もちゃんと男の子なんだな。
「てめぇが変なこというからじゃねーか……」
「とにかく吉岡の親父さんだっけ? なんか疲れてそうだし、保護者同伴ってのはわかるが運転があるんだし休んでもらったほうがいいな……ってなわけでお前吉岡誘えよ」
吉岡の親父さんを休ませるなら、その吉岡って子の面倒見てやんないと休んでもらえないだろうし。
「なんで俺が……俺は鹿子がいるし、お前は今日は亜理子いないんだからいいじゃねーか」
「ダメだ……そうするとあいつは気づく、そして怒る……一応お前が誘ったっていう体があれば渋々だけど納得はしてくれる」
というか、既に怒ってるけどな……遠足参加できないことと、だったら亜理子の実家の用事に一緒に行かないかという誘いを俺が断った事に対して。
いや親戚のおうちに遊びに行くってのに家が隣で家族ぐるみの付き合いがあるとは言え他人である俺を連れて行こうとするのはどうかと。
「じゃあせめていっしょに、それがだきょーてんだ」
ふっ……中々可愛いところもあるじゃないか、ワイルドショタだけど。これが俺と響也の人生初ナンパ、そう思うとなんか緊張してきた……。




