66話 現役幼女と超シスコン
痛みを覚悟し歯を食いしばるが目だけは離さずじっと響也を睨みつける。
すると響也の拳は俺の顔面のギリギリ手前で止まった、所謂寸止めってやつだ。
「コラッ! 何やっとるか!」
先生が今の凶行を見ていたらしく怒鳴るが、俺はすかさず「大丈夫です」と響也が「ごめんなさい」を同時に言う。
「悪かったな、試すみたいなことをして。なんかお前なら真っ直ぐ受け止めてくれる気がしたんだ」
小学生のセリフではない……恐らく昨日の夜にテレビでやっていた映画のセリフだった気がする。
「ああ、それ昨日見たやつじゃん、アレ面白かったよな……」
「あ、お前もそう思う? 俺もああいうの好きなんだけど妹は分かってくれなくて最後まで見れなかったんだよ」
「そうなのか、じゃあ今日うちに見に来るか? 録画してあるぞ」
「マジか、行く行く!」
何気に盛り上がる会話……先生も呆れて教室を出て行ってしまった。
「え、じゃあ私も行くね。あ、私は嘉成亜理子ね」
「お、おうよろしく……」
突如会話に入ってきた亜理子に面食らって普通に挨拶する響也……女子に弱かったっけか? まあいいや。
適当に話し込んでたら一時間目のチャイムが鳴り先生が教室に入って来たので俺の教科書を響也に貸してやり俺は亜理子に見せてもらう。……なおこの間、正義が近くで色々と喋っていたが俺も亜理子も無視していたからか響也も無視していた……というより気が付いてなかったかもしれない。正義は響也を自分のグループに取り込もうとしてたっぽいが見事に玉砕された。
その後授業中は何事もなく……いや正確には正義が介入しようと試みたが、亜理子と響也のダブルブロックで阻止され、多分諦めたと思う。
放課後、俺達は一緒に帰ることになった。
響也の家の方向がたまたま一緒だったみたいでそういう風になった訳だがちょっと妹を迎えに行ってくると下級生の教室に向かってからまだ戻ってこない。
「きょーや君おそいね」
「そうだな、結構立つけど……何かあったか?」
正義絡みで。
気になった俺達は響也を探しに教室を出て、下級生の教室に向かう……何組かは聞いてないけど近くまで行けばどうにかなるだろう。
廊下を早足で歩いていくと何やら下級生の教室があるあたりが騒がしいな。
人集りをかき分けて進むとそこには正義と、響也が対峙していた。響也の背後には鹿子が居るのが分かる……というか姿かたちが未来で会った時とほぼ変わらないんだがこんな頃から幼女してたのか……いや今は現役幼女か。
「てめぇ、妹に何の用だ」
にらみ合いを続けていたような、響也が俺らが来たのに気づくと正義に向かって吠えた……別に俺らが来るのを待っていたわけじゃないよな?
「いや、だからさっきからずっと言っているだろう、俺はお前の妹には興味はないし、お前に用があるからついて来いって」
どうやら無視し続けられた正義が諦めきれずに仕掛けてきた感じらしい。
一触即発の雰囲気になっているので俺は亜理子の手を引き響也の元へ向かう、その際に正義の脇をすり抜ける際に軽く肩をぶつけて、接触時に魔力をちょろっと流してやると、正義が突如失神してその場に崩れ落ちる。
野次馬は阿鼻叫喚だが、俺はこれを無視して響也に「行くぞ」と声をかけ周りに捕まらないうちに下駄箱まで向かう。
下駄箱についたらさっさと上履きから靴に履き替えてそのまま外に出る。
そして校門を出て、すぐ近くにある公園まで着くと近くにあったベンチに座る……この間亜理子達は黙って俺に付き従っていてなんだがRPGみたいな感じだった。
「で、さっきのはなんだよ?」
ベンチに座ると響也が早速先ほどの正義にした魔力流しについて問い詰めてきた。
「別に、なんだっていいだろう、それよりも俺の家にいって録画したやつ見るんだろう?」
「まあいいけど、妹を家に送ってからでいいか?」
そういえば妹のせいで最後まで見れなかったって言ってたな、確かに一緒に連れて行ったらマズイか。
「ああ、いいぞそれじゃあ後でこの公園に集合な」
そういって俺と亜理子は先に帰宅しようとベンチを立ち上がると……。
「あ、あの……おにいちゃんのおともだちですか?」
今まで黙っていた鹿子が急に口を開いた。
「ああ、そうだけど?」
「わたし、いもうとのしかこっていいます……おにいちゃんのことよろしくおねがいしますっ」
中々兄思いの現役幼女だった。なので俺もつい――――。
「ああ、よろしく頼まれた」
って言いながら鹿子の頭を撫でたんだけど……。
「うちの妹に気安く触るんじゃねぇ!」
響也がキレて殴りかかってきた、目が尋常じゃないほど血走っている……そういえば、こいつ重度のシスコンだったかもしれない。




