61話 再スタート
名前決めを先延ばしするこの作者!
無能ですみません……でも俺の中の悪魔(正義)が書けと騒ぐんだ!
見せ場など作ったりはしないけど。
人はある種一定の幸福に達すると周りが見えなくなり、足元を掬われやすくなる、今回の事はそういうことなんだろう。
俺は、いや、俺と亜理子は今、禍々しい凶刃に貫かれている――――
俺はフィージュ達を召喚するに当たって、フィージュ達とその娘達を召喚する為亜理子からイメージをもらっている最中だった、空間魔法と時間魔法をゆっくりと調整していく。
亜理亜は、部屋の隅でつまらなかったのか寝入っている。
「もっと集中して、正吾君」
亜理亜を見てたら亜理子に怒られた、そんなこと言われたって気になるもん娘だし……いや他の娘たちも気にかかっている、早く会いたい。
しかし運命は残酷だった――――
「何か来る!」
亜理亜がパッと目を覚まして叫んだ……が、遅かった、その時にはもう、俺たちは貫かれていた。
「パ、パ?」
亜理亜は俺を見て言葉を失っている。
そして俺はこの凶刃に見覚えがある――――ドス黒く変色しているがこれは間違いなく、正義に止めを刺したあの聖剣……いやもはや魔剣といっていいそれは、俺の空間魔法と時間魔法に干渉しようとしている。
「あ、りあ……逃げなさい……」
亜理子は力なく、俺に寄りかかっているがなんとか生きている、つか俺達不老不死だしな――――おかしい、なんか傷の治りが遅い。
「な、んだ?これ……くっ、ありあ、後のことは頼んだ……」
幼い娘に何を頼む気なのか――――そんな事を考えながら俺は意識を失った、最近よく意識を失っている気がする。
気がつくと俺は小学一年生になっていた。
比喩でも何でもない、ガチでだ――――転生ってわけじゃないと思うが、なんか意識だけ過去に戻された?
理屈はわからないが、記憶はある、神様になった段階の記憶を持ったまま、小学一年ぐらいの時に戻っている。
無論――――魔法も何も使えない、フィージュ達との契約も何も、この時はまだしてないわけだし。
めんどくさい事になった、人生やり直すんなら自分だけでやれよ、正義……絶対あいつの怨念とかで動いてたろあの魔剣。
正直大変な事になってる気はするんだが、その割には落ち着いている、きっとただ単に昔に戻っただけだからだろう、ここは異世界ではない、世界アリスだ。
それの過去にいる以上、未来にどうにかして連絡を取ればいい、そういう話じゃないのか?
ぐらいに考えてたが――――そうだ、魔法が使えない。
どうしたものかと考えてたら。
「どーしたの?しょーごくん」
亜理子だ、亜理子も小学一年、というかこいつは記憶なさそうだな、まあこの時点では女神である自覚すらないはずだしな、亜理子はアテにならない。
「ん、いやどうもしない。」
今日は日曜日、亜理子ちゃんと公園で遊んでいる……ってとこか、そんで今日は正義と始めて会った日じゃね?
今、物陰からこっちを見てる男の子がいる、あれは昔のイケメンでもない正義だ、そうそう、この日俺達は出会ったんだ。
あの野郎物陰からずっと覗いてたから、俺から一緒に遊ぶかと誘ったんだ、そういう出会い方だったはず、つまり、ここで奴を誘わなきゃあんなことにはならなかった訳だ。
亜理子も気づいているが、ぶっちゃけ俺にべったりだ、この頃からかよ。
そして俺達は正義を無視して、日が暮れるまで遊び続けたさ、亜理子のお母さんが迎えに来るまでな。
翌日は月曜日、学校だ、小学生の勉強とか今更だな、昔はそんなに成績が良くなかった俺は、今は高校生レベルの知識ならある、小学校の勉強なんて授業を聞かずとも大体分かる。
俺は昼間学校にいる間に、誰にも分からないように、魔力と気力を鍛える訓練を行った。
何も出来ない状況ってのが嫌だ、このまま高校生になってまた桜に召喚されるまで過ごすとか勘弁して欲しい。
というわけで魔力と気力を感じる訓練からだ。
この訓練は前に白雪とフィージュに教わったものだ、魔力に関しては召喚された時からほとんど完璧だったが、今の俺はそのレベルにない、良かったぜ、魔力を鍛える方法もついでに習っておいて。
最初は体内の魔力と気力を感じ取れるようになれれば良かったはずだ、というかその感覚は知っているから、そう難しくはない……が流石召喚前の俺、どっちも数字で言えば三十あるか、ないか、だな。
召喚された後の俺は一万ぐらいだどっちも、神になったら無制限になったけど。
さて、放課後だ、授業中とか昼休みとかほとんど感じ取るのに使ったからこれからは扱って伸ばす訓練だ、といっても、動きに合わせて効果的に力を込める程度のことだ、走るときに足に気力を注ぎ、体の表面に魔力を纏い、風の抵抗を受け流し早く走る練習から始めた。
しかも亜理子を背負ってだ、気力と魔力で強化した俺なら簡単にできた――――何故こんなことをするかといえば、勿論ストーカーになりつつある正義を振り払うためだ。
俺は、亜理子を背負ったまま家まで全力疾走した。




