36話 VS世界王
もうすぐ終わりますね。
王城まできた。
瓦礫の山だったさ!
ただ――――なんか半裸マッチョのおっさんが立っていた。
裸オーバーオールである。
多分オーバーオール以外何も着てない、履いてない。
まあただ王様の矜持か、王冠は被っていた。
「世界王、あんたにゃ恨みはないが、倒させてもらう」
主に桜のためにだ。
「御託は良い、さっさとこい」
やだ、男らしい、いいね、こういう相手を待ってたんだよ。
「行くぞ!ゲート・埋葬拳!」
拳にゲートを纏わせ、世界王の腹筋に打ち込む――――というか避けなかったなこのオッサン。
微動だにしないが、これでいい――――その瞬間オッサンは消えていた。
今頃地下数百メートルのところに埋まっている頃だ。
世界王の魔法、最後まで見ることがなかったな――――確か威圧魔法だっけ?
誰もが皆、勝てないと思い込んでしまう魔法だとかいう、桜は気をつけろと言っていたが……
ドッ――――ドッド――――
何か地面が揺れる、何かを砕く音もだ。
ま、まさかな――――?
ドンッ――――!
地面から逞しい腕が生えている。
「ふーむ、ぬかったわ、その風体で魔術師とはな、だが、ワシには聞かんぞ」
恐怖――――これが威圧魔法ってやつか。
考えろ、こいつから逃げる方法を、いや倒せない、そう認識させられてしまった。
こうなってはもう奴の独壇場か、異空間に放り込んでも戻てきそうだ……どうすれば。
「もう終わりか?」
来る、奴が――――、奴は殺る気だ、俺は不老不死にはなっていたが、未だ死んだことはない。
それに、不死殺しという物も知っている、脳と心臓の同時破壊……あの筋肉なら可能だろう。
――――いや逃走はありえない、こいつならどこまでも追いかけてくるはずだ。
敵は世界王、初代は俺らと同じ日本人、そして力士。
そしてそいつはあるものが好きだったはずだ――――それが伝わることはなくとも、伝承として残ってさえいれば、まだ可能性はある――――
「これでも喰らえ!」
俺はゲートを使い異空間に繋いだ。
そこからは黒い液体が噴出され、世界王の顔面を直撃した。
世界王は硬直している。
俺は一度ゲートを閉じ、奴の反応を見てみた――――
泣いていた、ああ、そうだろうとも、いくら味わったことがなかろうとも、奴の遺伝子にはしっかりと受け継がれていたんだ『コーラ好き』がな。
というかそこまでコーラ好きならヒレカツ丼じゃなくコーラを使った名前にすれば桜の怒りもまだ軽かっただろう――――いやそんなことないか。
っと、うまくいったかに思えたが次の瞬間、俺は胸ぐらを掴まれて持ち上げられていた。
――――苦しい。
「おい、貴様……今のはなんだ?」
「……」
「今、ワシに飲ませたのはなんだと聞いておる」
「こ、……コーラだ」
「何ぃ!」
世界王は俺を放した。
俺はうまく着地できずに尻餅をつく、いってぇ……このオッサン身長たけーな、三メートルあるって、おい。
「……よこせぇ」
は――――?なんて言ったこいつ……
「コォーラを!よこせぇ!」
闘牛のような突進を地面に座ったままの俺にかましてくる。
「げ、ゲート!」
俺は以前、『我が家』を作った際に水道水が無限に出る謎について考えてた時期がある。
水道料金が発生するわけでもないのだが、何がどうあればこれだけの真水が確保できるのかと。
答えは――――わからなかった、まあ俺もそこまで頭がいいわけじゃない。
そんなある日、俺は遊び半分でその地獄を生み出してしまった。
その名も『コーラ地獄』人が一人入れる程度の空間に、無限にコーラが湧く泉を作ったのだ、コーラの泉は成功した。
無限に出続けるコーラに感動した俺は大量にコーラを飲んだ、しかしだ、空間が狭すぎた……今にして思えばなんであんな馬鹿なことしたんだろう。
翌日、ゲートを開き泉に行こうとした俺が見たものは――――コーラは空間を満たすほどに湧いていたんだ、そんでさっき世界王の顔面にぶち込んだ。
高圧のコーラの噴出に、俺は耐え切れず死にかけた。
俺はその日より、その空間を『コーラ地獄』として厳重に封印した。
今、俺はその地獄に、世界王を転移させ、閉じ込めた。
コーラを味わいながら窒息するがいい!
俺は誰もいなくなった大地に寝転び、勝利を確信した――――。




