30話 ただ異空間に放り込むだけの簡単なお仕事
さて、亜理子を送った後、俺は、撤退?かどうか、判断できないが移動しようとしていた巫女達のもとへ転移した。
突如目の前に現れた俺に対して巫女は腰を抜かしている。
そんで俺の目の前には五人、立ち塞がる障害があった。
白き竜を倒したとして英雄となった聖騎士「アーサー」
森の主と呼ばれる巨大熊を殺した狩人「ロビン」
麗しき吸血鬼の末裔を陥れ、王の側近になった魔術師「マーリン」
燃える森のドワーフを連れ去り、最強の剣を作らせた、王の家臣最強の剣士「シグルズ」
妖しき森の化物を倒し眠れる美女を救い出したとされる「ランスロット」
まあ、わかりやすく言えば、寝込みを襲った卑怯者アーサーに、森の主に毒を盛り罠に嵌めた卑怯者ロビン、ただの裏切り者マーリン、身勝手な誘拐犯シグルズ、そして勘違い野郎ランスロット……こいつはドンキホーテでもいいんじゃねぇかな。
それぞれの武勇伝を語るのもいいが、まずはミッションを成功させないとな。
それぞれ、武器を構えて威嚇している、前衛はともかく狩人と魔術師に至っては腰が引けている。
「お前らの相手は、俺じゃないんでな、じゃ、行ってこいや!」
転移を使い、相手の懐に飛び込むと胸ぐらを掴み、特別に用意した異空間に放り込む。
ここは単純作業なので割愛としよう、メインディッシュ……じゃねぇ、次は巫女だ。
こいつも特殊な異空間に放り込む、手筈にはなっていたがどうしても言いたいことがあった。
ちなみに、五人を消した時点で巫女の護衛は逃げ出して丸腰の巫女さんが一人取り残されている。
「おい、巫女さん、お前の名前なんだっけ?」
そう名前を覚えていないんだよな、俺。
「わ、わた、私は――――」
答え終わる前に消えた……否、桜色の袖と白い手のひらがかっ攫っていった、桜だな、待ちきれないのかよ。
『違うわ、この巫女の洗脳魔法は名前を覚えさせることで発動する、つまり今まで巫女の名前を覚えられなかったのは私が貴方を守っていたからよ』
なるほど――――ちなみに今のは桜の契約特典、『天の声』である、簡単に言えば念話ってやつだが。
契約特典、後々聞いた話だが、魔族系、ああ桜は女神だが出身は魔族だ。
魔族と契約すると契約特典なるものが発生するらしい。
例えば、一番身近というか、身に感じている特典は月子の『不老不死』だろうか。
他にはフィージュの『鉄甲』肉体を鉄のように硬化させる力、花子の『草聞話花』植物とコミュニケーションできるとか。
赤ずきんの『染血』自分の血を浴びた相手を呪うだとか、白ずきんの『発光』体が光って夜でも明るい……地味だな。
などなど。
そしてこれらは契約者と契約した全てに反映されるらしい、これを『契約伝播』という。
要するに俺と契約した奴はもれなく、月子の『不老不死』を受けるということだ。
これにより、紅白ずきんズは不老でしかなかったのが、不老不死となってしまった。
まあ本人達は別にいいって言ってたけどな……そういえばなんか忘れてるような――――まあいいか。
それよりもだ、五大英雄を飛ばした異空間の様子でも見てみるか、それぞれにフィージュ、花子、白雪、赤ずきん、白ずきんが待っている。
自分の因縁は自分でけりを付けるだそうで。
まあ様子見ながら今から魔王城に行って現魔王をとっ捕まえて、月子の待っている異空間にぶち込まねばならないんだが。




