31話 それぞれの戦い、フィージュの場合
前回ハーレムじゃなくなった!というかハーレムでもなかった!
と書きましたが、苦情がきましたが。
もうちょっと、こう、なんかイベントあって惚れたって形にしたかったので、今回の戦いで、ちゃんとしたハーレムになっていきますのでご了承ください。
後、今回残酷な描写?的なものがあるように思います、気をつけてください。
さて、魔王城とやらに転移するまで、暇つぶしに、ゲート・ヴェルダンディアイでそれぞれの異空間を覗く。
それぞれの異空間は時間の流れを少しずつ変えてある、だからもしどこかピンチになったら俺が乱入出来る様にしてある。
まあその必要はほとんどないだろう、俺の見立てでは、五大英雄は全員弱くて卑怯、自分の得意な空間でなきゃ勝てない。
まずはフィージュさんだ、色々とお世話になった、生きている間ほぼ寝てる花子や、ほとんど人として暮らしたことがない桜では、持ち得ない年齢を重ね――――おっと殺気を感じる……まあ経験豊富な彼女には色々助けられたしな、どうなっていることやら。
異空間に侵入したら、まだ二人は睨み合ったままだった。
「久しいな、小童」
フィージュが腕を組み見下すようにしてアーサーを睨んでいる、俺が年齢について考えたときの睨みの十倍は鋭いように見える。
ありゃ本気だな、まあ俺はフィージュの本気は見たことがないんだが。
「ふん、低俗な魔族風情が、さっさと斬り殺しておけば良かったな、今すぐにここから出せば見逃してやる」
偉そうに、お前なんか片手で一捻りだぞフィージュなら――――
今更後悔してももう遅い、強がりを言ってどうにか逃げようと考えているみたいだがもう遅いのだ。
「いや、そうもいかんのでな、皆、自分の過去とケリをつけるというのだ、私もそろそろ昔の自分を捨てて今に生きてもよかろう?」
儂じゃなくなった!昔を捨てるってそこかよ。
でも新鮮だな、正直あの口調じゃなきゃそんなに年寄り扱いはしなかったのに。
「それにな、私のマスターは世界一なのだぞ?仮に私を倒せようとも貴様に明日はない、御託はいいからさっさとかかってくるんだな」
そう言うとフィージュはこちらを一瞥し光に包まれる、光が膨張するそして光が収まると、竜の巨体になっていた、初めて見たけどかっこいいな。
白魔竜――――白き鱗が輝き、白き翼は、天を包み隠すようだった。
「ぬ、抜かせ魔族が!」
激昂したアーサーは剣を振り上げ飛びかかった、あの剣一応竜殺しの能力あるらしいが、大丈夫か?
無謀にも飛び込んでいくアーサーに俺は、終わったなと思ったのだが、フィージュは微動だにしない。
「はぁぁぁあああああ!」
――――縦にひと振り、たったそれだけの動作で、フィージュは真っ二つになった……。
血を吹き出し、肉塊へと変わり果てるフィージュを見たとき俺の中の何かが弾けた。
「――――あの野郎、殺す!」
俺はブチ切れて、アーサーの背後に転移した。
あのクソ野郎は、間抜けにも小躍りしてやがった、だから、あいつがこっちに気づく前に俺は全力の拳で奴の右肩を打ち貫いた。
比喩でもなんでもねぇ、俺の腕は奴の右肩を貫通した、人間ってこんなに脆かったか?
奴がこちらに気づいた、その顔は恐怖にか、それとも単に血が……
さっき腕を引き抜いたからドバドバ出ててそれで血が足りないから、こんなに青い顔してんのか?
まあ奴はこれでも死んでない、そりゃそうだ、不老不死のフィージュの生き血を浴びたんだ、この程度じゃ死なないんだろう。
いや死なれては困る、こいつにはもっと惨めな死をくれてやる――――。
「そう、私は不老不死なんだ、マスター――――私の為にそこまで激昂してくれるのは有難いが、生憎私は生きているぞ?」
は?俺はその声に、振り返った、真っ二つになった竜の肉塊の上に一人の少女が立っていた……あーうん、だと思った、そうだよな、フィージュが簡単に死ぬわけ――――ってかなんか幼くね?
そう思い目をこすりもう一度見直した、そこには全裸の白い少女がいた、まあ色素的に見ればフィージュなんだろうけど。
「うむ、あまりにもマスターが歳の事ばかりいうのでな、一度生まれ変わっておこうかと、要するにただの脱皮だ、これこそ何千という時を生きた竜の究極の姿、龍神じゃ」
若々しいはりとつやのある肌、絹糸のような白銀の神、太陽が輝くごとき黄金の瞳、身長縮んだのにボリュームを変えていない、いや少し大きくなっているんだがあの胸。
ふじやまーとか言ってたのがエベレストになっちまった感じだ、しかし不思議と違和感はなく、自然体だ。
芸術というのはああいうのを言うんだろうな、全裸だというのにエロさなんて感じない。
「それはそうじゃ、生まれたてほやほやじゃからな、私」
「あーいいから服を着ろ、いくら見慣れてるとはいえ、他の男が見ていいもんじゃねぇ」
そうだ今、ここにはもう一人いる、そいつを始末しないと俺の気は収まらない。
俺はアーサーを睨む、奴は肩の傷が既に塞がっていた。
「そうじゃな、まあ前に言ったと思うがあの服は私の肌と同じだと、まあこの竜も白魔竜と呼ばれているが、見よ、鱗を剥がせば黒い皮なのだ、まあ今回はこの皮ではなく、こちらの逆鱗を使うとしよう」
そう言うと、真っ二つになった前の肉体から、唯一傷一つ付いていない鱗を剥がすと――――身に纏ったのである。
硬そうな鱗が一瞬にして布になった。
ローブとでも言うべき服を纏ったフィージュは俺に近寄ってくる。
「さて、私もさっさとこいつを倒してマスターと共に帰るとしよう」
そういうとフィージュはアーサーの……いつの間にあんな近づいたんだ?さっきまで俺の真横に立っていたはずなのに。
おもむろにアーサーの剣を掴む、フィージュ、その剣を掴んだまま、服の形になった鱗に突き付け、自分から剣に刺さりに行った。
マゾか!魔族だけになぁ!
いや冗談だ……剣は粉々になったんだが、どんだけ硬いんだあの服。
「さて、お前は私の血で不死に至ったようじゃが、私も前世では何度か不死殺しをやったものじゃ」
結構グロいことになっているので簡潔に言おう、フィージュがアーサーの頭部を掴み、胸部に腕を突っ込み、脳と心臓を同時に握りつぶした。
当然血とか脳漿っていうのかアレ、結構飛び散ったぞ、でもフィージュは一切浴びていない。
気がついたら俺の真横に何もなかったかのように立っていた。
そしていきなり、そういきなりだった、俺も避けられはしなかったさ。
キスされた、ファーストではないがな、アレは小学校の頃亜理子がふざけてしてきたからな、今思うとふざけていたのか疑問だが。
あれはあれで抜け目ないからなー。
「おい、マスター人が折角気持ちを伝えようとしているというのに、他の女の事を考えるのか?」
は――――心読まれた。
「まあ良い、どうせ既に私を入れて七人いるのじゃ、後何人増えようが構わん、だから言うぞ」
「私はマスターの事が好きじゃ、ああ家族だからとかいう建前はもうない、しがらみなどはあの肉体に捨ててきた、私はそなたを愛している」
おっと衝撃告白!なんかな今日はモテ日か。
「ふむ、そうじゃな、この後六人にも告白されるのじゃ、覚悟しておくがいい」
なんか今妙なこと聞いた気がする。
というかフィージュさんネタバレとかやめて!
というか、そうか、みんな俺のことを……俺はそれにきちんと答えてやれているのだろうか?
「良いではないか、良いではないか、まあいずれ分かることじゃ、それにマスターは常に私たちのことを思っていてくれている、今はそれだけで十分じゃ」
つまりは、こういうことだった、フィージュ達は俺に恋愛感情などないとは言っていたものの、自分の過去と決別さえ出来れば後は自由だと。
ふむしかし困った、これは修羅場になる未来しか見えてこないんだが、亜理子VSフィージュ達とかありそうで怖い。
いや、でもハーレム容認発言したような、気もするし大丈夫か?
そんなことを考えながら俺は白雪の様子を見に行くことにした、フィージュは前の肉体を処理するとか言って、ここにまだ残るそうだ、終わったら『天の声』で呼ぶだってさ。
俺はフィージュをこの場に残して、異空間転移した。
修羅場回など永遠にやってこないがな!
ああ、やってほしいとか感想に書かれてたらやりますけど。
ストーリー上何の問題もないので。




