18話 デートなどなかった。
結構な大金を持って、俺達は近くにある大型ショッピングモールへとやってきた。
「なあ、マスターよ、あれは何じゃ?」
「ありゃ――――」
さっきからこんな調子である、異世界人であるフィージュにとってここは未知の宝庫、知らないものばかりである。
はっきり言っていちいち説明するのが面倒である。
「仕方のないマスターだ、質問はまた今度にしてやろう、それよりも、一体何を買うのじゃ?」
そういえば人の考えを読めるんだったな。
「まあ食料品やら食器とか生活用品だな」
米や調味料、コーラやらスナック菓子に、アイスとか……せっかく冷蔵、冷凍庫があるんだから、それにたくさん買っても全部亜空間に放り込んでおけばいいし。
「やけにたくさん買うつもりだが、金子は大丈夫なのか? 先ほどの紙切れがこの国の貨幣だと言っていたが、その紙切れにどれぐらいの価値があるというのだ?」
異世界人からしたら貨幣の価値感はやはり原材料の価値みたいなところがあるらしく、お札はただの紙切れとしか思えないらしい。
「あーこれは一万円札と言ってな、まあ大体そっちの金貨十枚に等しいらしい」
計算自体は適当だが、まあ近い数字になるとお思うんだが。
この世界についての価値観とかを教えながら買い物をして、必要なものを大体買い揃え、亜空間に入れてから、俺たちは少しデートをすることになった。
まあデートなんて買い物したりすること、なんて思ってたんだが、食料品の買い出しなどは違うとフィージュさんが激怒したため、今に至る。
ソフトクリームを買ってやったんだけど――――
「っ……体が冷えるから要らぬ、すまんのう」
とソフトクリームを渡してくる、竜らしいとは聞いていたが変温動物なのか?
いや、そもそも竜って変温動物というか爬虫類扱いでいいのか?
そんな他愛もないやり取りをしていると、もう日も沈みかけていた、いや今日一日なんか長かったな、ようやく沈むか太陽よ。
まああっちとこっちで時差的なものがあり、向こうで昼過ぎ、こちらについたのが昼前だったからこんな状態なんだろうけど。
「さてと、帰るか」
フィージュの手を握り締め、俺は異空間に作った我が家へと意識を傾け、転移を念じた。
家に帰るとまだ四人とも寝てやがった、まあまだ日は……ってここ太陽も何もないじゃん、家が一軒だけある謎空間じゃねぇか!
俺は買ってきたものを冷蔵庫や棚などに収納し直してから、二階に上がった。
二階の奥のの突き当たりの部屋、俺の、実際の実家での、俺の部屋だ。
ここは百パーセントの再現率になっている。
机、テレビ、ゲーム機にパソコン、それから――――ちょっとアダルトな本とかもベッドの下に置いてあった。
なんでこんなんまで再現されてんだか、正直そっくりそのまま、切り取って召喚されているかのようだった。
「ここにいると、異世界に召喚された、なんて嘘みたいだな、まあ、こんなことができているって本当にチートだよな」
全く、自分が自分で恐ろしいぜ……などと考えながら、俺はこの日は、そのまま寝ることにした――――部屋に鍵をかけるのも忘れて。




