19話 次の街へ
翌朝、俺はあまりの寝苦しさに、飛び起き――――れなかった、何かにのしかかられて居る。
なんだと首をあげてみると――――そこには全裸の白雪、赤ずきん、白ずきん、花子、フィージュが居た訳で、まあなんだいつの間にか布団に潜り込んでいたらしい。
俺の衣服が変に乱れてたりズボンとかパンツがどうにもずらされた形跡があったりするが何もなかった――――と思いたい。
自分で言うのもなんだが、一度寝ると、朝までぐっすりで、寝てる間に何されても絶対に起きないのだ。
昔なんて、額に肉、頬にヒゲ、瞼に目を描かれていたこともあったし、別の服を着せられていた……なんてこともあった。
だから昨夜何かがあって俺が何かされていたとしても、俺には知る術は――――あったな、そういえば。
「ゲート展開、視覚野拡張、時間操作、過去、昨晩――――ゲート開門」
これは過去視という術で、その場で過去に何が行われたかを知るための魔法だという。
昨晩、俺が寝た後、どうやらフィージュのやつがみんなを起こしたらしい、何か言っているが俺は読唇術が使えるわけでもないのでよくわからない。
白雪がなんか激昂してる、ずきんズは顔を赤くして慌てふためいていたりするが、フィージュと花子が服を脱ぎやがった。
全裸で何か力説し始めるフィージュさん、……目のやり場に困っていると、空間が歪み、大事なところは見えなくなった。
まあ何を力説していたのか知らんがそれによって他三人も脱ぎ始め――――俺は、見るのをやめた。
そろそろみんなが起きそうになっている、俺は咄嗟に異世界側に転移して、その場から逃げたのであった。
フィージュさんが「ヘタレめ」などと言ってた気がした。
「全くなんだって言うんだよ……これが噂のチョロインか」
俺はあいつらが起きて完全に着替えるまでの時間……などわからんから、しばらく外で暇を潰すことにした。
まあ暇を潰すというか、少しでも先に進む事にする。
レクスから買った、地図を広げる……ここから近い街は……海辺の街サルサマリンか、方角は南南西と。
俺は南南西を向き、手を前につき出して。
「ゲート展開、遠隔、視覚野、開門!」
遠見の術、どんどんと遠くへ視野を飛ばしていく。
野を超え山を超え、海が見えてきて……街が見えてくる。
「ここか――――ゲート固定、転移準備――――転移開始!」
俺はゲートに映る景色へと、ワープしていった。
潮の香りがする、海辺に街がある、港街というわけではなさそうだ、街は砂浜の上にありそこから桟橋が立てられていて、何隻かの小舟があるだけだ。
まあ漁村という規模でもないが、とりあえず中に入ってみよう。
中にはすんなり入れた、というより誰もいない――――いや家の中にいるっぽいんだけど、こちらの様子を伺っていて出てくる様子がない。
よそ者には厳しい街なのか?
そんな風に考えて進んでいたんだけど、何かこちらへ向かってくる。
あれは――――馬か?
シルエットは馬なのだが、全身に鱗があり、目は真っ赤でヘラジカのような角を持った謎の馬が背に誰かを乗せてやってくる。
「そこの貴様!止まれ!」
騎士風の男が俺に静止を求めてきた、それにどうやら囲まれているらしい、建物の影から甲冑騎士がぞろぞろと出てきた。
とりあえず、言うとおりに立ち止まってやる。
「おい、貴様、人間だろう!一体人間が何をしにここへやってきた?」
俺を人間、という彼は、甲冑の隙間から鱗などが見える、兜の形も少し変だし、まあ総合してみたら蜥蜴人ってやつか?
「ああ、もうこの辺って魔族の支配地域なのか」
「魔族!我々を魔族などと呼ぶな!我々は誇り高き、竜の末裔!リザール人だ!」
蜥蜴騎士が槍を天に突き上げると周囲の騎士達も各々の武器を掲げてる。
すぐに襲ってくる感じはしないが、どうしたものか。
「で、そのリザール人が俺に何の用だ?」
なるべく、刺激はしないほうがいいだろう。
「決まっている、人間、貴様を拘束するためだ!」
槍をこちらに向けてくる蜥蜴騎士、めんどくさい事この上ない。
「決まっているって、無茶苦茶だな……つか蜥蜴っていうならあいつの知り合いかもしれないな。」
召喚――――フィージュ!と念じる。
「呼んだか?マスター」
フィージュはすぐに現れた、……良かった裸ではなくいつもの服装だ。
「ん?真っ裸の方が良かったか?」
「やめろ痴j――――すみません」
睨まれた。
さて、この魔族モドキを名乗ったフィージュがいればもしかしたら連中の対応も変わるかも知れない、俺は期待を込めて蜥蜴騎士を見た。
固まってた、何か反応があると思ったんだが――――
「ま、まさか……白魔竜――――ニーベルリユウム様?」
おう、なんか凄そうな名前が出てきた、意味はわからんがなんか凄そう。
「ふむ、久しいな、鉄突騎士、ガウラ」
どうやらフィージュさんの知り合いだったらしい、俺の人選は間違っていなかったようだ。




