17話 資金調達
キロをメートルに修正。
デート、それは年頃の男女が二人で過ごす時間である――――と俺は思う。
そう年頃の――――痛たたた、痛い、痛い、ギブ、ギブだって――――
俺はフィージュに思いっきり手を握り締められた、全く折れるかと思ったぞ。
少なくともこれはデートではないだろう。
「自業自得じゃ、それに加減はしたからな」
綺麗な白髪に黄金の輝きを持つ瞳、そして俺とペアルックかというような黒い革のライダースーツのような服。
その悩ましいボディラインを際立たせていた。
「革の素材はマスターのグローブと同じ材質じゃ」
なんだっけ?悪魔竜の革だっけ?
「そうじゃ、まあ儂の場合服というより地肌に近いのじゃが、人の姿をしている間は服の様に脱ぐことも可能じゃ」
地肌って……じゃあフィージュは今全裸にも等しいというのか。
「そうじゃな竜として見るなら真っ裸じゃな」
痴j――――痛い、痛いって!
「マスターは学習能力が低いな」
こんなやり取りをしながら歩いているのは、地元の二つ隣の街の商店街だ。
今現在俺らは、おそらくだが行方不明者扱いなので万が一にでも見つかったらめんどくさい事になりかねん。
バレないうちにさっさと買うもの買って帰るのが一番だな。
黒ずくめのラブラブカップルが歩いていれば奇異の目で見られてもおかしくないのだが――――
生憎とほとんどシャッター街、二、三店舗開いてるようだが、ここも長くはないな。
まあ若いカップルが歩くような場所じゃないし――――
「おい、止まりな、兄ちゃん」
ふと声をかけられた、どう見てもチンピラなやつが路地裏から飛び出してきた!
手にはナイフを持っているが大した脅威じゃない。
「そういうのは間に合ってます。」
出会い頭に話も聞かずに顔面に一発、先手必勝である。
殴り飛ばした衝撃で後ろにふっとび、後頭部を強打し気絶するチンピラ君。
「またつまらん奴を殴り飛ばしてやった、後悔している。」
喧嘩好きというわけじゃないが、祭りと喧嘩はなんとやら、楽しいイベントだと思っている。
でもこういうのは、めんどくさいだけなんだよな、本当。
「で、こやつはどうするのじゃ?」
「ほっときゃいい、ここではそれが掟だ」
嘘だがな、知らんぞ今のこの街のルールなんか。
大体三百メートルは歩いた、商店街も終わりに差し掛かってきたところで、一軒の店を発見する。
『なんでも買います!金山質店』
こんな何もない商店街にきた理由はここだ。
二人で店内に入る――――狸の置物的な骨董品から、最新ゲーム機、貴金属類など幅広く取り扱っているこの店、俺はこの店に神殿の宝物庫から持ち出したレクスにあずけていない貴金属アクセサリーを売るためにやってきたんだ。
この世界の資金稼ぎはこの店って最初から決めていたからな。
「いらっしゃい、って、おい、正吾じゃねぇか!おめぇさん行方知れずになったんじゃなかったか?それになんだい、その別嬪さんは」
店主の金山金蔵氏だ、俺のちょっとした知り合いというか親戚なんだが、まあ相変わらずセコそうな顔してんな。
「色々あった。んでまあちっといいもん手に入れたから、売りに来てやったんだよ」
何カラットあるか素人じゃわからないが、結構大きなダイヤの指輪を三つ、店主に見せる。
「おお、おめぇ、まさか、やばいもんに手ェだしたんじゃねぇだろうな?」
「いや別に、まあ企業秘密だ、出せるだけ金をくれ」
それだけ言うと、店主は店の奥に引っ込んだ。
フィージュは大丈夫なのかと聞いてくるが、この金山氏、金銭が絡むと実に誠実な男に早変わりだ、義理人情を好む熱血漢だしな。
レクス並には信用できる。
「ほれ、これ以上の価値はあるがウチにも出せる限界ってもんがあるからよ、三十万だ、もってけ」
三十万円――――札束とか初めて見た、それを懐へとしまう、もちろん亜空間に送ったけどな、落とす心配もなければ盗まれることもない鉄壁の金庫だ。
まあこれだけの価値しかないわけがない、子供の俺でも分かることだ、が、まああまり大きな金は要らないし、恐らくは、この人のことだ、後で俺の銀行の口座に振り込んでおいてくれるだろう。
「ああ、ありがとな、また来るぜ」
男に言葉は無用――――それが俺とこの金山という男の絆だ、二、三言交わし、金を受け取り、さっさと店を後にした。




