表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】悪役令嬢に転生したけど前世で弁護士だったので第一皇子を訴えます!  作者: 雪丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/43

33条 代官ガルド

「護衛隊は南門へ集結! ただし、先に手を出すな!」


セドリックが即座に指示を飛ばす。


「はっ!」


 それを受け、騎士たちが駆け出していった。

 ヴィオレッタもすぐに立ち上がる。


「私も参ります」


「ああ、だが絶対に前に出ないように」


 二人は急いで南門へ向かった。

 そこには二十名ほどの武装した男たちが並んでいた。

 中央に立つ男は五十代半ば。豪華な外套を身に纏い、肥え太った体を揺らしている。

 その顔を見た村人たちがざわめいた。


「ガルドだ……」


「本当に戻ってきたのか」


「まだ諦めてなかったのか」


 男は不機嫌そうに鼻を鳴らした。


「相変わらず無礼な連中だ」


 その言葉に村人たちの表情が険しくなる。

 護衛たちが左右に展開する。

 ガルドは口元を歪めた。


「これはこれは、第二皇子殿下」


「元代官ガルド」


 セドリックの声は冷たい。


「何をしに来た」


「決まっております」


 ガルドは大げさに両手を広げた。


「私の名誉回復です」


 周囲がざわつく。


「名誉回復だと?」


「私は冤罪で失脚させられたのです」


 ガルドは堂々と言い放った。


「この地方を長年支えてきた私を追放した結果がどうです?」


 彼は工事中の山道を指差した。


「税金の無駄遣いばかりではありませんか」


 村人たちから怒号が飛ぶ。


「ふざけるな!」


「誰のせいでこうなったと思ってる!」


 しかし、ガルドは気にしない。むしろ余裕の笑みを浮かべていた。

 ヴィオレッタは違和感を覚えた。

 おかしい、今の状況で堂々と現れる理由がない。

 帳簿が見つかったことを知らないはずなのに、まるで何か確信があるような態度だった。

 その時、ガルドが懐から一枚の紙を取り出す。


「こちらをご覧ください」


 騎士が受け取り、セドリックへ渡す。

 内容を読んだ瞬間、セドリックの目が細くなった。


「王都の命令書……?」


 ヴィオレッタも覗き込む。

 そこには王都の印章と共にこう書かれていた。


『ラングレン地方復興事業の再調査を命ずる』


「どういうことですか」


 ヴィオレッタが問う。

 ガルドは勝ち誇った笑みを浮かべた。


「私への処分に不備があったとの訴えが認められましてね」


「誰が認めた」


 セドリックが低く尋ねる。


「王都の監査局ですよ」


 だが、その言葉を聞いた瞬間、ヴィオレッタは嘘だと気付いた。

 監査局の文書様式と微妙に違う。

 ヴィオレッタは小さく囁く。


「殿下」


「分かっている」


 セドリックも気付いていた。

 しかし、その場で偽物だと断定はしなかった。むしろ、静かに頷く。


「なるほど」


 ガルドが目を細める。


「ご理解いただけましたか」


「ああ」


 セドリックは淡々と答えた。


「ならば正式な手続きを取ろう」


「ほう?」


「三日後、この村で公開審問を行う」


 その言葉に全員が驚いた。


「殿下!?」


 護衛隊長まで声を上げる。

 だが、セドリックは続けた。


「お前が本当に冤罪なら潔白を証明できるはずだ」


「当然ですな」


 ガルドは笑った。


「その代わり」


 セドリックの声が鋭くなる。


「不正が証明された場合、お前の罪をすべて白日の下に晒す」


 一瞬だけガルドの表情が強張った。だが、すぐに笑みを取り戻す。


「構いませんとも」


「なら決まりだ」


 セドリックは背を向けた。


「帰れ」


 ガルドは満足そうに笑いながら私兵たちを連れて去っていく。

 その姿が見えなくなった後、護衛隊長が慌てて尋ねた。


「なぜ三日後などと!」


 セドリックは静かに答える。


「時間が必要だからだ」


「時間?」


 ヴィオレッタが頷いた。


「公開審問になれば、ガルドは必ず自分に有利な証拠や協力者を集めます」


「ああ」


 セドリックは続ける。


「そして、その協力者こそが本命だ」


 帳簿、偽造命令書、そして、私兵。

 これだけの準備をガルド一人でできるはずがない。


「三日で全員を炙り出す」


 夕日に照らされながら、セドリックは冷たく言い放った。


「今度こそ、根まで引き抜くぞ」


 その言葉にヴィオレッタも静かに頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ