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炎の守り手3

時間差で他の集団が入場しているはずだが、アンナたちはニアミスすることなく順調に進み、地図を書き込んでいく。

魔物はエクレが言った通り、敵意を見せない限り襲ってくるどころか逃げ出す小動物型が殆どで、アンナとしては調子が狂う。当のエクレもキノコ摘みなどしつつ、フィールドワークを楽しんでいる風情であった。

(今のところいいとこなしか。宝箱でもあればちょっとは張りあいありそうだけど)

そう思ったのがいけなかったのか、二人の足元が眩く光り始める。

「!?」

無表情を崩さなかったエクレがここにきて目を見張っている。とは言え分析をやめる気配はない。

「転移陣?違う。発動条件は…キノコを摘んだ…のは関係ないか…」

「エクレさん!早くここから逃げた方が…‼」

「【隠しコマンド】…?」

アンナは早々に光る地面から飛び退くも、着地点できずに体がフワフワと浮き始める。エクレは浮きながらもブツブツと考察をしている始末。

頭上には屋内にも関わらず暗雲が立ち込め、渦巻く。

(初級ダンジョンだよね?こんなギミック、習ってないよ…)

「…逆さ蟻地獄か。本当にあったんだ」

「蟻地獄?ってことは…」

黒雲の渦から赤い瞳がちらりと覗く。

「飲まれたら食べられちゃうってこと?」

「どうだろう。ちょっと入ってみたいんだけど。ブラックホールの中とか、すごく興味ある」

「お願いだから巻き込まないでよ…」

アンナは妙に冷静になっている自分に気づく。

(この状態で剣で攻撃しても、足場が浮いててろくに力も入らない。となると…)

腰に挿したナイフを素早く抜くと、勢いそのままに渦の中心へと投擲する。

「ギャアアアあ‼??」

浮力が急に失われ、床に体を打ちつける。辛うじて受け身を取ったものの落ちてきたエクレに潰され、思わず「ぐえっ」と声が漏れる。

(う…師匠に腹筋バキバキになるまでしごかれまくってて良かった…)

「ごめん」

「大丈夫だよ!怪我がなさそうで良かった」

努めて元気に声を出す。すると、

「オメデトウございます‼」

とどこからか声がする。

見回しても声の主は見つからない。男とも女ともつかない主は続ける。

「貴女ガタの優しさと強さには心打たれました!感動した‼」

(なんかバカにされてる気がする)

エクレの方を見るとやはり同じ気持ちなのか、目が合う。

「イマから試験を行いまス!強制帰還の魔法陣はココにはありませんので死んだらそれまでです!頑張ってね‼」

「え、ちょ、勝手に…‼」

黒雲の次は、頭上が急に光を帯びる。

「…召喚魔法?読めない公式?でも…どこかで見たことあるような…」

「今度こそ逃げよう?ね?」

エクレの手を引いて駆け出そうとするも、見たこともない魔法陣に釘付けで動けそうにない。

頭上の魔法陣からはゴーレムと思しき巨体がじわじわと降りてくる。よくよく見ると、宝箱の集合体のようだ。

(ああ神様、欲張ってごめんなさい。お父さん、先立つ不幸をお許しください。お母さん、今そっちに行くからね…でも…)

冷や汗でわきがグッショリしている。恐怖はとうに通り越した。

(エクレちゃんだけは、絶対無事に帰さなきゃね)

ありったけの覚悟を持って、アンナは再び正眼に剣を構える。


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