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炎の守り手1

ダンジョン探索当日。

「リイシャちゃん、病欠かな」

「…」

集合場所の校庭には真新しい装備に身を包んだ生徒たちが集う。中にはアンナのように使い古した装備を身につけた平民の生徒も居たが、平民は平民同士組んでいるため、パーティによって装備にバラツキはあった。

エクレは制服にローブを羽織っただけという軽装で涼しい顔をしている。

(随分古いけど、うっすら魔力を帯びてる。何者なんだろうな、エクレちゃんって)

アンナは隣で佇むエクレを横目に見る。その視線に気づいていないのか、当の本人は相変わらずの無表情である。

しかし、いくら周囲を見渡してもリイシャの姿はない。

「先生、リイシャさんが居ません。3人揃わなかったらここで見学ですか?」

アンナは引率の教師に声をかける。

「うーん…一応低級ダンジョンだし、私たち教師陣もあんまり危険な場合には補助するけど…やってみる?」

特段悩む様子もなく、あっさりと提案する教師。パーティが欠けることは往々にしてあり、メンバー編成によっては他のパーティに編入されることが多い。アンナは前衛、エクレは中衛ということもあり、真っ先にその提案を出すことはしない。あくまで生徒の自主性に委ねるのが学園の方針であった。

逆にそこで教師になんとかしてもらおうとする姿勢を見せた場合には評価が大幅に下がる。そのことを知らない生徒が判断を教師に任せっきりにした結果単位を落とすことも多々あった。

(先輩から色々聞いといて良かった…)

アンナはエクレに目配せする。エクレは小さく頷く。

「2人で行きます。危険な場合にはすぐに引き返します」

小さい声だが、ハッキリと答える。

「よろしい。皆さん、それでは出発しますよ」


ダンジョンまでの道は整備されており、ダンジョンそのものも学園によって管理されていることがうかがえる。

「ダンジョンを探索、ダンジョンの地図を作成するのが今回の目的です。魔物を撃退した数などは評価対象にはなりませんので、無理に戦おうとせず、目的を達成するようにしてください。では、今列んでる順番で入りますよ」

「撃退数が評価対象じゃないってことは…」「後から入ったほうが魔物が少なくてラッキーかもね」

生徒たちはコソコソ話しながら後ろに下がっていく。気がつくとアンナとエクレが一番前に追いやられていた。

二人の眼前にポッカリと口を開ける、石で固められた入り口。

「…流石に切り込み隊長は…」

「危なかったらすぐに引き返す。撃破数が評価対象じゃなければ逃げるのも選択肢的に問題ない」

思わず固唾を飲むアンナを他所に、散歩するような足取りでダンジョンに入っていくエクレ。相変わらずの無表情。

「ダンジョン、初めてだよね?」

慌ててその背を追いかける。緩く編んだ三つ編みがエクレの腰のあたりでポンポン弾んでいるのを眺めながら―。

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