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11話 これからの生活

 土日の休み明けの学院、榛香は当行と同時に旧友たちに質問攻めにあっていた。

 先日の街歩きをしていた姿を誰かに見られていたらしく、一緒に居たエルフィリアの事が気になっていたらしい。


「……と、言う訳で彼女は現在うちに居候中なの」


 異世界云々の話は抜きにしてエルフィリアは退魔執行官の修行の為に御巫家に居候しているという話にしておいた。


「え?彼女日本人じゃないのに陰陽系なの?」

「ううん、魔力と聖力持ちだから系統で言えば西洋魔術と神聖術になるのかな?ちょっと訳ありで姉さんの預かりになっていてそのまま鍛えられている感じ」


 当たらずとも遠からずといった答えで有耶無耶な説明をする。

 他にも、日本語は話せるのか、好きなものは、年齢は、退魔執行官としての実力は、等々上げれば枚挙に無い程の質問攻めにあう。


「私も、彼女と出会ってからまだ今日で三日目だからそこまで色々とわからないわよ」

「ん~、それもそっか……あ、そういえば年齢が同じって事は、学校はどうしているの?もしかして一緒の学院生活を送れたりする?」


 言われて気付く、そういえばどうするのだろう?

 そもそもエルフィリアはこの世界の人間では無い、元の世界に戻りたいと言っていたので必ずしもこの世界での勉学が必要という訳でも無いがいつ帰れるかの保証も無い為この世界の知識を入れるのは悪くは無い。

 しかし、異なる世界で生きてきたという事は常識や知識にも差異があるだろうし、率直にファンタジー世界で生きていたと考えると基本的で常識的な科学知識などは解らない可能性がある。


「そうね、本人と姉さんの意向もあるだろうし帰ったら聞いてみるね」


 想像してみたら、それはとても魅力的な提案に思える。

 エルフィリアと共に送る学院生活……うん、いいかもしれない。


---


「……学院?それはどの様なものなのですか?」


 エルフィリアが首を傾げながら訊ねてくる。


「そうね…普通科の学院であれば一般常識などや様々な学問を学ぶ教育機関といった所かしら。榛香が今通っている学院は普通科では無く陰陽科の学院だからそれらに加え霊的現象に関係する知識や技能を学ぶ為の国家主導で運営されている教育機関になるわね。国内で退魔関係の仕事に従事している人の殆どがそこのような教育機関の卒業生、もしくは実力のある現役生になるわね」


 詳しくはこちら、と言って雅が学院の入学案内の書類一式を取り出して見せる。

 この用意周到さ、最初から編入させるつもりで用意していたのでは?と半目で見るもニコニコと笑って此方を眺めているだけである。

 仕方無いと肩を竦めエルフィリアに視線を移すと学院に興味を惹かれているのか真剣な様子で学院案内のパンフレットを読み込んでいる姿が見て取れた。

 懸念は編入した所で退魔関連の事に関してはまだしも、通常の授業に関して、である。

 幸い、陰陽科の教育機関は退魔関連の教育に多くの比重を割いている為、通常の教育に関しては進学校程の学力を求められている訳では無いが、それでも平均的な高校生としての学力は必要とされている。

 こっそりと姉さんに確認してみると、その心配はしなくても大丈夫との事だった。

 此方の世界からかは判らないが、エルフィリアの居た世界にも転移者と呼ばれる人が少ないながらも存在しており、市井の者はまだしも王侯貴族のような政治に携わる者や学者は勿論の事、騎士のような一兵卒とは違う立場ある者たちは異世界より伝えられた学問を学び知識を持つ事が必要とされているらしい。

 榛香が学院に行っている間に退魔関連の座学の他に一般教養のテストもしていたらしい。


「正確には異世界人だけれども外国人という事でも間違いでは無いし、それを鑑みれば文化の違いという事で色々と誤魔化しも利くだろうし問題は無いと思うのよね」


 やっぱり姉さんは最初から編入を考えていたようで計画に穴が無い……


「あの様子だと本人も乗り気の様だし、それに二人が一緒の方が仕事に関してもプライベートにしてもサポートするのに都合がいいでしょ?」


 そう言い、どうかな?と話を振ってくる。


「私はいいと思うけれど……フィリア」

「?」


 集中しすぎて聞いていなかったようだ。キョトンとしている姿も可愛らしい。


「学院に通うのにフィリアの意向はどうなのかな?って」

「……興味はあります。差し支えなければ私もこのような場所で学んでみたいという気持ちはあります」

「そっか……だって、姉さん」

「ふふっ、決まりね。編入手続き一切はこっちで進めておくから一先ずは退魔執行官の試験に集中しておきなさい」


 そうして、あらたな生活を胸にこの日は過ぎていった。

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