第8話 8通目の手紙
拝啓 ミスター宇宙人様
今日は人種についてお尋ねします。
君の星では人種ってありますか? 同じ種類の生物なのにちょっとした違いで扱いを区分けするようなことです。例えば僕の星では大きく分けて、肌の色で3つ、住んでいる陸地で6つ、宗教で4つか5つ、出生で3つか4つ、だいたいそんな分け方ができます。細かい分け方をすればそりゃあもう無数です。人の数だけ分けられるかもしれません。つまり総人口ですね。でもね、この人たち、いずれも同じ星の人間です。
この人種というのも優劣をつけたがる僕らの性質が生んでいて違う人種に対して基本対立で構えます。これまで僕が君に書いてきた手紙の元もここから出ていると思います。
人種というやつが僕たちの星特有のものなのか、それとも君の星や他の星にもあるものなのか、僕はそこが知りたい。僕の想像範囲では分け方はそれぞれであっても文明が発達すれば優劣は当然あるものだと考えてしまいます。それなくして光速を超える乗り物なんて発明できないでしょう? しかし僕は人種みたいな下等な分け方を超えた発展を君の星に期待しているんです。そこには富める者も貧する者もいなくて優劣では作れない優れた文明があるんだと想像するんです。
だからこそ、君は僕の前に姿を現さないのではないですか? 僕たちは優劣に染まった不浄です。下等な僕たちの優劣社会に君は関わりたくはない、しかし何らかの調査のため君は僕の星を訪れている。それは僕たちとの友好が目的ではない。違いますか?
そうだとしたら、僕はどうすれば君と友好的に付き合えますか? 僕はこの星の人種からスピンアウトした劣勢人間です。どこの種にも混じっていません。だったらいいじゃないですか、僕と接触してくれても。それこそ人種を超えてこの星の人としてでなく、僕は僕として君と会いたいと思っています。
どうか僕の願い汲み取ってください。
きくっち
何故か、この手紙は彼によそよそおしくなっている。彼からの返事が来ないことへの焦りなのか。ぞんざいな表現に彼が気を悪くしていると思ってのことか、僕は彼に対しても迷っている。




