第5話 5通目の手紙
拝啓ミスター宇宙人様
僕は君と会話がしたい。僕の手紙が君に届いていることはわかっているけど、君からの返事がこないのはきっと僕の手紙のぐずぐずしたひとりよがりの表現を君が正確に理解できていないじゃないかと僕は疑っている。君にはあらゆる星の生物の言語を解読できる技術がすでにあってこの星のお粗末な言語なんて簡単に翻訳できているんだろうね。僕たちのお粗末な言語はね、そりゃあ隅から隅まで数えればもう無数にある。形として、ひとつの国家の共通言語はひとつかふたつだったりするけど、それは上辺のことで本当は人によって言っている意味や使い方がかなり違う。家族だって共通言語なんて使えていない。現に僕の家族がそうだ。僕の言語と父母の言語はほとんど一致を見ない。だから僕は家族との交渉も絶っているんだが。
こんなことだから僕の手紙を君が理解できていないのは容易に想像ができる。翻訳上は理解できてもぐずぐずした意図までは理解できていないんじゃないかな? だって僕は君ほど上手に言語を使えていないから。
そこでだ。僕は君と会話ができる方法を知りたい。言語でなくてもいい。僕が君の星の言語らしきものを習得できるのだったらいいのだけど多分僕には無理だろう。僕は英語だって話せやしないしないんだから。僕のお粗末な言語の意図を君に伝える方法と、僕が君の高度な言語らしきものの意図を僕の理解できるレベルまで落とせる方法、それらがあるなら知りたい。或いは、それを翻訳してくれる機械を貸してくれるのもありだ。
つまり、僕は君ときちんと会話がしたいんだ。僕は何をすればいいかな。
きくっち
この手紙の文字は念のため全部ルビをふってみた。バカにしていると怒るかな彼は? 怒って返事くれたらそれでもいいんだけど。




