第3話 3通目の手紙
拝啓 ミスター宇宙人様
君の星に遊びに行きたい。どうすれば行ける? ご存知だと思うが僕はもうずっとここから出ていない。飛行機にも新幹線にも長く乗っていない。乗りたくないし。
でも、君の星だったらUFOにでも乗って行ってみたい。UFOってこの星の人が作り出した君たちの乗る空飛ぶ円盤のことだ。僕の住む国では未確認飛行物体っていうんだがそんなかっこの悪い言い方じゃないよね、本当の名前は。それもさ、教えて欲しいんだ。だいいち僕は君の乗り物に幼少の頃とつい先日と二度も遭遇している。だから未確認じゃない。
名前はまた今度でいいとして、行き方だ。君が乗るおそらく光の速度を超えた超高速のあれに乗せてくれると嬉しいけれど、もしそれができないのなら他の代替手段を教えて欲しい。
僕に同じものを作れる技術があればいいのだけれど、高校も卒業できなかった僕にそんな知識があろうはずもなく、工作技術も身に付けていない。だからせいぜい紙ひこうきを織って飛ばすことくらいしかできない。そんな僕に君の乗り物を真似て作る力があるわけがない。でも僕はどうしても行きたいんだ。で、どうすればいい?
例えば、肉体から心を切り離してそいつだけ訪れるなんてのもありだ。その方が煩わしい疲労もないし、移動も楽だろうな。
遊びに行く目的は決して君の星の文明を持ち帰ろうなんてだいそれた考えじゃないよ。昔僕の国であった先進国に使節を派遣するみたいな自国の富国強兵を促進するなんてこと微塵も考えていない。ただ遊びに行ってみたいだけ。もしもこの星に帰れなくなるならそれでもいい。だから心配しないで、僕が行くのはこの星のためじゃない。君に会うためだけなんだ。よければ教えて欲しい。
きくっち
この紙ひこうきの返事もなかった。だけどきっと彼には届いている。せめて彼の星へ遊びに行く方法だけでも書いて寄越してくれたらいいのに。




