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第2話 2通目の手紙

 拝啓 ミスター宇宙人様


 僕はこの星の人間だから、きっと君の星のひとたちと何もかもが違うのだろうね。姿、形から考え方、技術に至るまで、君たちは僕らの遥か先にいるのだろうね。今日はそのことでひとつ教えてもらいたいんだ。パワーバランスについてだ。

 僕たちの星では生物が生まれた時からずっと力のある者が力のない者を征服する性質が万古不易ばんこふえき続いている。きっとこの先も何もしなければこのパワーバランスは変わらないと思う。素直に聞くんだが、これってどう思う? 普遍的なことなのかな?

 いいかわるいかを尋ねているのではなく、宇宙では他にどんな秩序があるのか知りたいんだ。たとえば君の星では強者と弱者はある? いまでもある? あるとすれば両者はどんな関係? 強者は弱者にどんなふうに接する? 弱者は強者にどう対峙する? それともそんな区分などなく先進的な統治方法があったりする? あれば知りたい。このパワーバランスがここだけの統治方法だと思いたいんだ。

 僕はこの星のひきこもりといういわゆるところの弱者に分別されている。確かに一般的に見れば社会から逃げている力のない者だ。力のある者と出会わないように隠れている弱虫と見られるだろう。だが、僕の中ではそうではないんだ。僕は故あって積極的にひきこもり生活を選んでいる。攻撃的ひきこもりと自分では言っている。狭い部屋から力のある者をぎゃふんと言わせる強さを発揮したいんだ。それって強者が取っている統治と同じことだと思ってる? 力で強者をねじ伏せる逆転劇を僕が夢見ていると思ってる? 違うんだな。僕の考えるぎゃふんには力は関係ない。暴力も武器も法の支配もいらない。彼らと一片の関わりも持たずひきこもりのなかに僕だけの理想的な世界を創造するんだ。いいかいそこは何かに怯えたり誰かに搾取されたりなんて全くないんだ。社会じゃない。理想的な僕だけの住まいだ。もしかつての強者が理想的な暮らしをしている僕にアクセスしてきてそこに入れてくれと頼まれても僕は彼らを受け入れない。たとえ彼らが脅迫してきても僕は彼らを僕の理想世界に入れない。彼らがどう思おうが僕には関係ない。

 しかしそうなるためにはこの星の古い秩序でまだ突破できない壁がたくさんあると思う。どうすれば力のあるひきこもりになれると思う? 君の意見が聞きたい。

 ごめん。話が少し逸れたね。君の星では、或いは宇宙ではどんな支配が支配的なのかな? よければ教えて欲しい。


きくっち


 この手紙も僕はベランダから夜のしじまに飛ばした。閃光は確認できなかったけど。紙ひこうきは闇に消えて見えなくなった。きっと彼に届いている。返事はないけれど、彼は読んでくれている。


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