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第12話 飛べれば

 彼からの返事は音の出ないトランジスタラジオのようなもので現実としては何も発されていなかった。ただ僕には感じるものはあるんだが・・・。

 おそらくこの先も目に見える形での返信は待っていても来ないと思う。それで満足できればいいのだけれど、僕が、ずれはあっても宇宙全体からみれば未発達のこの星のひとだからか、彼との明瞭な形のある交信を求める山っ気は消せない。

 しかし、彼には僕が書き連ねた手紙は届いているし、彼はそれを拾いにここまで来ているのだから僕がそれを望むのも仕方のないことだと思う。

 返信のない主だった理由に彼がどう返信していいかわからないことを僕は期待している。だとしたら彼に僕の手紙の意図を正しく伝えれば、返信を引き出す余地が残っているから。そのためにも僕は彼に会わなくてはならない。闇のポストに投げ込むような間接的な方法ではなくて・・・。


 そこでだ。僕は彼にじかに遭遇する方法を考え始めた。遭遇だから別に彼の星を訪ねる必要もない。宇宙船建造計画も捨てた。僕には作れない。材料も技術も持っていないし第一彼の星までの地図がない。作れたところでどこを向いて飛んでいけばいいんだかわからない。

 ならば僕自身が彼に見つけてもらえるようにこの星で飛んでいればいいんだ。彼は何かの理由でこのマンションの中までは入って来ないのだから、僕が彼の通る道中で彼を待っていればいいんだ。ベランダから外に飛び出し彼と遭遇するのを待ち受けていればいいんだ。そこだと余計な人に会う心配もない。家族も、はりやんもやって来ない。ひまわりはもしかしたら付近を駆けているかもしれないけど彼女は元来が人馴れしていないので僕と彼に気付いても寄ってくることはないだろう。

 それだから僕さえ飛んでいればきっと彼も会いに来やすいのではないだろうか。紙ひこうきは彼に届くんだから僕も飛べば、それも大きな紙ひこうきを作るのではなく僕自身が紙ひこうきに代わって飛べば、彼に会えるじゃないか、そうすれば返信など待たなくても直接彼と話せるじゃないか。

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