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4-5.新しい毎日

それから数分後。


フィオナとエリオスは、騎士団長ユルゲンスに連れられ、駐屯地の設備室にいた。


騎士団の様々な活動を支える、大型の魔法機器が広い室内を埋め尽くしている。


「この設備室は、騎士団の活動の傍ら団員たちが持ち回りでメンテナンスしているんだが…いつ出動要請がかかるかも分からない中、どうしても後回しになりがちでな。あちこち、魔力が滞ってしまっている」


魔法機器が効果を発揮し続けるためには、動力源となる魔法植物・鉱石の補充のほか、定期的に魔力を流して力を循環させる必要がある。この作業は通称、魔力の『錆取り』と呼ばれる。


次々に舞い込んでくる任務に追われ、食事の時間も満足に取れない中、団員たちも仕事の合間に魔法原料を補充するのが精一杯で、とてもメンテナンスまで行っている余裕はなかった。


しかしこの『錆取り』を怠ると、魔法機器は徐々に出力が衰え、最悪機能が停止してしまう。


必要なメンテナンスをこまめに行う分には、魔力の負担は微々たるものだ。しかし、一度『錆』が溜まってしまった魔法機器を正常な状態に戻すには、かなりの魔力を消費することになる。


「我々騎士団は、有事に備えて出来る限り魔力を温存しておく必要がある。とは言え、これまでのツケが溜まり溜まったこの魔法機器も、これ以上放っておけば故障してしまうかもしれない。そこで…」


ユルゲンスがフィオナに視線を向ける。フィオナは、笑顔で頷いた。


「分かりました。ここにある機械、1つずつ確認しながらメンテナンスしていきますね。」


言うなりフィオナは早速、一番手前の装置から状態を調べ始める。


ここに置かれている機器は全て、高度な魔法技術がなければ扱えないものばかりだが、フィオナはそれらを少し見ただけで、あっという間にメンテナンスを終えてしまった。


「素晴らしい。どの機器も見違えるように動きが良くなった」


設備室をぐるりと見まわし、ユルゲンスが感嘆の声を上げる。


「これで当面の間、ここの機器類はもつだろう。エリオス、事務官たちに言って謝礼を準備してきてくれ」


「い、いえそんな、謝礼だなんて…」


フィオナは慌てて断ろうとするが、エリオスは。


「遠慮することはないさ。整備費を支払うのは当然だろ?」


「これだけ専門性が高い機器を整備できるとは、フィオナ殿は余程優秀な魔法使いと見える。相応の報酬は用意させてもらおう」


エリオスとユルゲンスの言葉に、フィオナは恐縮しながらもひとつ頷くと。


「そ、それならば、もう少し作業させていただいてもよろしいですか?」


「…と言うと?」


ユルゲンスが首を捻る。


「魔法原料の補充状態を調整したいんです。…例えば、この機械にはベニヒナギクの油とユキナラの葉が使われていますが、この2つの原料は3:2の割合で調合すると一番効率よく働いてくれます。今はおそらく、そういった配合割合は気にしていないのではないでしょうか?」



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