表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/113

2-7.出会い

「でも、予想以上に雨足が早かったのと、ちょっとしたトラブルが――そうだ!」


ここでエリオスはハッとして、ジャケットのボタンを開ける。


「こいつを助けたこと、すっかり忘れてたよ」


そう言って前を開くと、そこには――


「…子猫、ですか?」


フィオナが目を丸くする。


エリオスのジャケットの内ポケットですやすやと寝息を立てる、小さな子猫。ずっと懐に入れてもらっていたためか、ふわふわの毛はほとんど濡れていなかった。


「帰り際、こいつが崖下で鳴いてたんだ。助けるのに手こずってる間に、雨が降り始めちゃってさ。」


「そうだったんですか…」


顔に冷たい空気を感じたのか、子猫がくりくりとした両目を開ける。周りを見回し、不安げにみゃあと声を上げた。


「大丈夫。ここは怖いところじゃないよ」


フィオナが優しく話しかけ、エリオスは子猫を床へ降ろしてやった。


子猫はまだ覚束ない足取りで、部屋の中を探検し始める。


壁や床をくんくんと嗅ぎまわりながら進む子猫。そんな様子をそっと見守っていた2人だったが、やがて子猫は戸棚の下から木片を見つけ出し、がじがじと嚙み砕き始めた。


「こら。それは食べ物じゃないぞ」


エリオスが慌てて子猫を拾い上げ、口の中から木片を掻き出す。


「お腹が空いてるんでしょうか…困ったなぁ、お弁当はさっき食べちゃったし…」


呟きながら、フィオナは苦肉の策で、備蓄庫の扉を開けて中を漁る。


「…この干し肉、お湯で戻して柔らかくしたら、食べられるかも…」


「やってみよう」


こうして2人はこの後、子猫の空腹を満たすために悪戦苦闘することになる。


嵐は夜まで降り続き、フィオナたちは外が明るくなるのを待って、スノウに乗って森を出た。


フィオナはそのまま学生寮の前まで送ってもらい、子猫はエリオスが引き取ることになったのだった。



☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ