八時限目『謎、トリック?』
〜 八時限目『謎、トリック?』 〜
獣耳学園合宿三日目、夜。
「あ痛たた…」
両足をベッドの上に放り出し、濡れタオルをその足に巻くケン。
「大丈夫か?」
ケンの両足は赤く腫れており、軽い火傷のような状態になっている。
「な、何とかな…」
出来るだけ他の物体と接触しないようにするがそれでも痛むらしい。
火傷特有のヒリヒリとする痛みがケンを苦しめる。
「ったく、無茶するからだ…」
「俺のせいじゃねぇよ」
「…そりゃまぁ、そうだよな」
さて、では何故彼の足がそのような状態になっているのかを説明しよう。
それは三日目の昼、つまり本日の昼間に行われたマラソンが原因だった。
『灼熱の熱砂を進め!!』
そう題されたそのマラソンは真昼の暑く熱された砂浜を駆けるという、ある種の耐久レースだった。
昨日のサメ騒動のためか、海はサメ探索のために使えず、学園側としては急遽そういうレースを組むのが精一杯であった。
このレースもまた集団行動が求められ、レースはリレー形式となった。
そうなると女子が4人もいるハヤト達のチームにはやや分が悪い。
そこで走る事にかけては自信のあるケンが残り4人分を補う事となったのだ。
さてさて、普段文句を言っているケンが何故そんな役割を引き受けたのか。
理由は簡単、そのレースには賞品があったからだ。
特上バーベキューセット。
三日目の夜はすでに献立がバーベキューと解っており、それを楽しみにしていたケンにとってその賞品は実に魅力的であったのだろう。
交代する距離は指定されていなかったので女子4人の走る距離を短くし、その分をケンが走る事となった。
ケンはスタミナもあるし足も速い。
何の問題もないと思われた策であったが、地形を考慮に入れてなかったのは誤算であった。
そう、熱いのである。
熱い砂浜を五人分走る。
それがどれだけ危険な行為かは今のケンを見てもらえれば解るだろう。
結局、優勝は他クラスの馬人チームが取得し、ハヤト達のチームはケンの根性によって辛くも賞品付きである3位を取得した。
もっとも、賞品の内容は通常のバーベキューセットに多少食材が追加される程度のものであった事がケンの苦しみに追い打ちをかけた。
「くっそぉ、ヒリヒリが収まらねぇ」
「今晩は我慢しろ、明日になったら引いてるさ」
「このままじゃ眠れねぇよ」
時刻はすでに11時を回っており、一応の消灯時間は過ぎていた。
一応である。
自由が売りの獣耳学園、そんな事で一々生徒の行動を束縛はしていなかった。
もっとも、昼間の疲れがあるせいで大抵の者は早めに眠っているらしく、そこら辺で学園側の用意周到さを感じられる。
ちなみにハヤトはこの犬人の呻き声のせいで眠るに眠れず現状に至っている。
「仕方が無いな、医務室にいってシップもらってきてやるから、それまでタオルで我慢してろ」
「すまん…」
動きたくても動けないジレンマがそうさせたのか、珍しく、ケンの口からそんな言葉を聞いた。
「失礼します」
そう言ってハヤトは一礼した後、医務室の扉を閉める。
その手には事情を説明してもらった袋詰のシップが握られていた。
「さて、早く戻ってやるか」
特に用もないのでまっすぐ部屋に戻ろうとしたハヤトだが
「…ん?」
ふと、何かに呼び止められるように足を止める。
「裏山…か」
窓からは裏山が見えた。
空には三日月、山はその月に照らされ薄く光ってるようにも見えた。
別段それ以外おかしな所は見当たらない。
だがハヤトはその裏山をじっと見つめて足を止める。
ト…
そのハヤトの前を人影が通った。
白い服に長い髪。
場所が場所、雰囲気が雰囲気なために一瞬幽霊かと思ったが、足がついて立っているところを見るとちゃんと生身らしい、付け加えるならそれは見知った人物だった。
兎人の少女。
「…ミユ?」
ミユだった。
ハヤトがそう問い掛けるがミユは返事をしない。
「どうしたんだ、こんな夜更けに?」
それでもハヤトはミユに近づきながら問いかけを続ける。
目の前の少女が普段から無口であまり喋らない事を知っているからだ。
けど、この場合はいささか状況が違うようだった。
ポフ…
「へ?」
ミユは前触れも無く、近づいてきたハヤトに抱きついた。
「お、おい、ミユ?」
突然の事態に混乱するハヤト。
だが、その混乱はすぐに収まる事となる。
ズル…
ミユの体は力が抜けたようにハヤトの体からずり落ちるように床に倒れこんだのだ。
「ミユ!?」
その体を寸前で抱き上げるハヤト。
どうかしたのだろうか、風邪か何かの病気ではないのだろうか。
様々な事を考えながらミユを見ると
「…寝てる?」
彼女は実に穏やかな寝息をしていた。
その様子からして風邪や病気の類ではなさそうだが
「何で?」
訳がまったく解らない。
いきなりこのような状況になっては仕方が無い事なのかもしれないが、この状況でただ一つ言える事は
「…で、俺はどうすればいいんだ?」
これが本当に困った状況であると言う事だ。
消灯時間の過ぎた夜遅い宿の廊下。
そこで同じクラスの女子を抱いている男子生徒。
見つかったらどんな理由があれ、停学か退学ものである。
更に困った事はというとその女子が眠っている事だ。
この場合の選択肢はおそらく4つ。
1.このままミユが起きるのを待つ、この場合誰かに見つかったらその時点でアウト。
2.念には念を入れて先程の医務室に連れて行く、この場合自分の立場は考えない。
3.自室に連れ帰りミユが起きるのを待つ、この場合ケンには知られてしまうがこの場所に留まるよりは危険性は減る。
4.女子の部屋に連れて行って事情を説明する、この場合信じてもらえれば最良、信じてもらえなければ最悪の事態となる。
「…さて、どの選択肢を選ぼう」
思案のしどころであった。
コンコン…
リズム良く、扉を軽く二回叩く。
時刻が時刻なので他所に聞こえないように大きくもなく、されど中の者達に聞こえるように小さくもなく叩く。
「……」
リアクションが無い。
仕方ないのでもう一度扉を叩こうとすると
「…ふぁい、どちらさまですかぁ?」
「あ、委員長、俺、ハヤトだけど」
すでに眠っていたのか、その声は眠たそうだったが、扉越しに聞こえてくるその声は間違いなくコゥのものだった。
ハヤトが悩んだ末にだした答えは、ミユを女子部屋に連れて行く事だった。
信じてもらえないほど自分の立場は悪くないはず、というのが彼の考えだ。
「…え、ハヤト君?」
「ああ」
予期せぬ来客者にやや驚いたのか、声の口調が普段のものへ戻るコゥ。
「あらやだ、夜這いするにはちょっと早いんじゃない、もう二時間か三時間してみんなが深い眠りについた方が…」
「悪いけど夜這いは趣味じゃないんだ」
「…ツレナイなぁ」
ケンの時もそうだったが、どうにも男性陣はリアクションが薄いようだ。
今度からこの対応はしないでおこうと思うコゥであった。
「…それに、この扉を開けたら夜這いの方がましな状況だと委員長も思うよ、多分ね」
「え?」
そう言ってコゥは
カコン…
そんな音を鳴らしてノブを回そうとするが
「待った委員長」
それを止めるハヤト。
「どうかしたの?」
「今、ひょっとして扉の鍵を開けた?」
「え、ええ、開けたけど、…あ、だからっていきなり飛び込んできて襲っちゃ駄目だか…」
「違うよ」
「……」
そのハヤトのあまりにツレナイ返事に、言ってる自分が恥ずかしくなってきてしまった。
今度こそ本当にこういう対応は止めようと思うコゥであった。
「そんな馬鹿な…」
「一体どうしたの?」
ガチャ…
今度こそ本当にドアノブを回してあけようとするが
「え、コゥちゃんそこにハヤトいるの?」
そんなミアの声が扉越しに聞こえてきた。
どうやら深い眠りに落ちていたらしく、今頃ハヤトの来訪に気づいたようだ。
バンッ!!
「ハヤトー、夜這いに来てくれたのね!!」
不吉な事を言いながら扉を開けてハヤトに抱きついていくミア。
普段のハヤトならばここでミアを蹴り飛ばしていたところだっただろうが
ガバッ!!
「あれ?」
ミアは何の障害も無くハヤトの体に抱きつけていた。
その後もミアはハヤトの体を何度もギューっと確認するように抱きしめるが、ハヤトはミアを引き離そうとせず、なすがままミアに抱きつかれていた。
「気は済んだか、ミア?」
「どうかしたの、ハヤト?」
普段の二人のやりとりとは違った微妙な間が生まれる。
「まぁ、ちょっとした荷物を背負っててな、あんまり動けないんだよ」
「荷物?」
ミアがハヤトの背にある荷物とやらを見ようとした時
「た、大変!!」
その行動を止めたのは遅れて現れたキユだった。
「ミ、ミユがいない!!」
「えっ!?」
「ミユちゃんが!?」
キユのその言葉にミアとコゥが驚く。
「どうして!?」
「私が聞きたいわよ!!」
「あー、おーい…」
現状を一番良く知っているハヤトはどう切り出していいものかと少し苦悩する。
「ミユならここにいるぞ」
とにかくその一言をまず言わなければ始まらないだろうと思い。
ハヤトは背中に背負っているミユを見せる。
『なっ!?』
何故?
何で?
それとも何でやねんだろうか?
何が「な」なのかは解らないがとにかく驚いているようだ。
まぁ、当然だろう。
そうなると続いて投げかけられる質問や疑問もある程度は予測できる。
ハヤトはその問いに対する答えを頭の中で予測し、用意するが
「ひ、酷いよ、ハヤト」
「そう、そうなのね、男がみんな狼だって言葉が本当だったなんて」
「まさかミアちゃんだけでは飽き足らずミユにまで…」
「…え、おい、みんな、ちょっと待てよ」
どうやら状況は台本通りとは行かないようだ。
「ハヤトに弄ばれたー!!」
「女の敵ー!!」
「ハヤト君、最っ低ー!!」
散々な言われようである。
「人の話聞けよ!!」
思わずそう声を上げてしまうハヤト。
「うん、じゃあ説明して」
「とにかく中にどうぞ、ここじゃなんだしね」
「大体ハヤト君にそんな甲斐性あるわけないもんねー」
「……」
騙された。
その言葉がハヤトの頭の中で浮かんでいた。
「…と、言うわけだ」
ハヤトは医務室を出てからの経緯を包み隠さず三人に説明した。
何故この選択肢を選んだのか、それは思慮の結果、この選択肢がハヤト自身ではなく、ミユにとって良い結果になりそうな気がしたからだ。
何より気の弱いミユの事だ。
ハヤトにおんぶされてたり、男子部屋や医務室に連れて行かれたりなどすれば間違い無く混乱する。
ならば彼女にとって波風たたない女子部屋に眠ったままの状態で連れて来た方がいい。
選択のかいあってか、当の本人であるミユは何も知らずにベッドの中で変わらない寝息をたてている。
「ふーん、本当に襲ったりしてない?」
「してねぇよ…」
ミアの言葉にうんざりそうな顔をしてハヤトはそう答えた。
「…で、キユ、ミユには夢遊病か何かそういう症状はあるのか?」
「ううん、そんなのないわ」
双子のキユがそういうのだから間違いないのだろう。
「いつも一緒に寝てるんだもん、そんなのがあったら気づくわよ」
「でもそれなら変ね、急に夢遊病になる事とかってあるのかしら?」
コゥがそう喋るが
「それは知らないけど、変な事なら他にもあるよ」
ハヤトがそう付け加える。
「何?」
「鍵だよ」
「鍵、…あっ!?」
「委員長、あの時間違い無く扉の鍵開けたんだよね」
「…ええ」
コゥは記憶を確認しながらそう答える。
「ねぇ、何の話?」
「俺がミユをつれて来た時、この部屋には鍵がかかってたんだ」
「え、待ってよ、それじゃおかしいじゃない、私達全員この部屋で寝てて、鍵だってここにあるんだよ」
ミアはテーブルの上におかれている部屋の鍵を指差す。
「ああ、だから変なんだ」
「どういう事?」
「解らない、現状じゃ判断材料が少なすぎる」
「そうね、どうなってるのかしら」
全員首をかしげるだけであった。
「変な事って言えばさ、ちょっと気になる事があるんだけど」
そんな中でキユがそう声をあげる。
「何だ?」
「ハヤト君、どうしてミユがミユだって解ったの?」
「え?」
ハヤトはその問いの意味が一瞬解らなかった。
「だって、ミユはすぐに気を失った、…って言うか喋らずに眠っちゃったんでしょ、だったらなんで私じゃなくてミユだと思ったの?」
「…いや、なんとなく…かな」
その問いに一瞬口篭もるハヤト。
「そんな気がしただけだ…」
「へぇ、すごいね、喋らなかったら私達の見分けって親でもつかないんだよ」
「そうなんだ」
キユにそう言われるハヤトだが他の家庭に口出しするのは何なので、あえてそう感想の声を漏らすだけだった。
「ふーーーーーん」
一方、その事が気に入らないのか、ミアが不満そうな声を上げる。
「ミア、そこで不機嫌になるな、話が進まなくなるから」
「だってさー」
「だってじゃない、確立は2分の1なんだからたまたまだよ」
それでも目の前の猫人の機嫌はなかなか直らなかった。
「…とにかく、まだ夜中だし続きは朝になってからしましょ、その時にはミユちゃんも起きてるでしょうし」
そう言って解散を促そうとするコゥだが
「今起こして聞いたほうが早いんじゃない?」
そう反論したのはミアだった。
やはり機嫌は直っていないようだ。
「駄目よ、今ミユちゃんを起こしたら余計なトラブルが増えるだけだわ」
「余計なトラブル?」
「夜中に廊下を歩き回って、男子の前で眠っておんぶされて、おまけにこんな夜更けに男子が女子部屋にいる状況、ミユちゃんがパニック起こしちゃうわよ」
「あー、なるほど」
そのコゥの意見にミアも納得したようだ。
確かに気の弱いミユがそんなコンボ技をくらったのではパニックを起こす事間違いなしだろう。
「さて、それじゃ俺は撤退するとしますかね」
そう言ってハヤトも立ち上がり、扉の方へ移動する。
「えー、どうせだったら一緒に寝ようよー」
そう声をあげたのは当然ミアだった。
「断る」
「一昨日は一緒だったじゃないー」
「そんな事あったかな、俺の記憶からはすでに消え去ってる事になっているから覚えてない」
宣言通り、ハヤトは当時の記憶を抹消する事に決めたようだ。
「それに女子部屋に男一人ってのは流石に色々とまずいだろ」
「ハヤト体裁気にし過ぎー」
「お前が気にしなさ過ぎなんだよ、大体、例え俺達が良くても他の面々に迷惑をかけるのは良くない」
ハヤトはそう常識的な事を言うが
「私達はあんまり気にしないけどね」
「そうね、今更って感じだしね」
「おいおい…」
女性陣のその言葉にハヤトは頭痛を感じた。
どうやらこの学園色に彼女達も染まってきているようだ。
花も恥らう乙女がそれでどうする。
「とにかくだ、俺は部屋に戻る、ミアも来るな、この前のあれは猫に噛まれたと思って忘れる、お前も忘れろ」
「普通は犬だよ、ハヤト」
ミアがそうツッコミを入れてくる。
「じゃあ犬でいい」
言葉の例えで言っただけなので、そう訂正した所で何の問題もないはずだったが
「え、ハヤトってケンといつもあんな事してるの!?」
ミアはハヤトの言葉を間に受け、とんでもない想像を思い浮かべながらそう言ってくる。
「大人しく寝とけこの馬鹿猫!!」
スッパァァーーーーン!!
「ふにゃんっ!!」
一撃。
どこからともなくハヤトの手に持たれた来客用スリッパでクリティカル。
ミアはあえなくその一撃で轟沈した。
「じゃーねー、ハヤト君」
「おやすみー、ハヤト君」
「ああ、おやすみ、キユ、委員長」
ハヤトはそう言って部屋を出て行こうとするが
「…おまけでミアもおやすみ」
「うん、おやすみ、ハヤト」
ハヤトのその一言だけでミアは嬉しそうに笑ってそう答えた。
男子部屋に戻ったハヤトは、遅く帰ってきたハヤトを恨めしそうに見るケンにシップを張る。
「…随分と遅かったじゃねぇか」
「ちょっと用事が出来てな」
赤く腫れた足に白いシップを次々と張っていく。
その度に少し跳ねるケンの姿が実に面白かった。
「はん、女子部屋に夜這いにでもいってたか?」
「そんな訳無いだろ、そう突っ掛かるなよ、遅れたのは悪かったって謝ってるだろ」
「けっ」
そう悪態をつくケンだが、ベッドの上でうつ伏せに寝ている状態では何を言っても大した効果はない。
「…なぁケン、お前もうちょい走り方変えたらどうだ?」
「あん?」
「お前の走り方は効率が悪い、天性のバネで走ってるから意識してないんだろうけど、もっと爪先に力を込めて重心を前に向けて走れば足への負担は減るし早くなるぞ」
ケンの足の腫れ具合を見てハヤトはそう言うが
「うるせぇ、そんなの一々気にして走れるかよ」
そう素直に意見を聞くケンではなかった。
「はは、でもそうすればこんな腫れ方しなくなるぜ」
ペタッ…
「はぅっ!!」
ハヤトが一番赤く腫れた所にシップを張るとケンはそう軽く呻き声を上げる。
「お、お前なぁっ!!」
「ふ、油断大敵だな」
動けないケンを思うようにいたぶるハヤト。
そのハヤトの責めをなすがままに受けつづけるケン。
この場をクラスの乙女達が見ていたら、さぞ派手な妄想ドリームを展開させていただろう。
「…あ、そうだ、ちょっと聞きたい事あるんだけどさ」
「何だ?」
「昨日の朝ってさ、お前起きた時には部屋の鍵ってかかってたか?」
「昨日の朝、ああ、お前がミア抱いて寝てた時か」
やや皮肉混じりにケンがそう言うが
「そう、その朝だ、…どうだった?」
ハヤトはそんな事すら気にせずケンに問い詰める。
「…ふむ」
どうやらかなり真面目に聞かれているようだ。
そうなると根が真面目なケンとしてはからかう事は出来ず、そのハヤトの言葉に答えるために少し記憶を回想する。
「…んー、かかってたぜ、開けた記憶もあるしな」
「確かか?」
「ああ、それがどうかしたのか?」
「おかしいと思わないか?」
「何が?」
「部屋に鍵がかかってたんなら、ミアはどうやってこの部屋に入ってきたんだ?」
「…あ」
言われて初めてケンはその事実に気づく。
「…なるほど、言われてみりゃその通りだ、確かに俺達寝る時にちゃんと鍵閉めてたもんな」
「どうにも、…嫌な予感がするな」
「お前のその嫌な予感って外れる事はねぇのかよ」
ケンがそう軽く突っ込むがハヤトは答えない。
まだ漠然とした予感だったので何とも言えなかったのだ。
ただ、その予感は後々思いもよらぬ形で的中する事となる。




