五時限目『ザ・湯煙の中にて』
〜 五時限目『ザ・湯煙の中にて』 〜
「おー、流石に良い部屋じゃねぇか」
開口一番、ケンがそう感想を述べる。
先刻の食料争奪バトルロイヤルの結果、ハヤト達は見事満点を取り、宿内の最上級の部屋をあてがわれた。
部屋の中は広く、和式に整っているが近代文明の匂いもするという実に高級感溢れる内装だった。
「何か二人だけで使うのもったいない気がするなぁ」
同じく室内に入り、部屋を見渡したハヤトがもらした感想はそれだった。
「何だハヤト、お前貧乏性か?」
「違うよ、俺は贅沢とかする気が無いだけで貧乏は嫌いだ」
ハヤトはそう言って持っていた鞄を壁際に放り投げる。
「…あ、でも、物を買ったり金を使うのも好きじゃないから、貧乏性っていうよりただのケチって言った方がいいのかな?」
「そういやお前の部屋あんまり私物とかなかったな」
以前ケンがハヤトの家に訪れた時、もとい、尾行した時。
彼の部屋には必要最低限の家具、要するに生活必需品しかなかった。
私物と言えばせいぜい本が数冊程度。
それはハヤトが転校したてのためだと思っていたが
「まったく、人族ってのはどいつもこいつもお前みたいに変わり者なのか?」
「俺が知るか」
そっけなくハヤトはそう答える。
「とにかく、俺は適度に普通の生活がしたいんだ、こんなに広いと逆に居心地が悪い」
「俺はこれぐらい広い方がいいな」
ケンはそう言うと広い部屋の中央で大の字になって寝転がる。
「意見の相違だな、まぁ、広さ云々は別として、ミアと別の部屋ってのは良い条件だ」
流石の校長もそれはまずいと思ったのか、高い部屋のはずなのに男女別々に同じ部屋を用意してくれた。
「散々文句言ってたけどな」
「挙句の果てにはお前と代われとか言い出すもんなぁ、ミアの奴」
「へっ、俺はそれでも良かったんだけどな」
からかうようにケンがそう言うが
「だとするとお前は委員長達と寝る事になったんだぞ」
「うっ…、そ、それは…」
ハヤトの言葉にケンは一瞬言葉を失う。
どうやら先の一件で委員長に対する恐怖心というか服従心が芽生えたようだ。
まぁ、無理の無い話である。
「…なぁ、ハヤト」
「何だ?」
「この話はお互い無かった事にしよう」
「異議なし」
痛い所を突きあっても仕方が無い。
ここは別の話題を振るのが最善の策であろう。
「そういやここの風呂、露天風呂だってよ」
どこから仕入れてきたのかケンがそう話題を振ってくる。
「へぇ、露天風呂か、うーん、どうせなら冬に入りたかったな」
「まぁ、そっちの方が風情があるわな」
「ケンの口から風情とか言われてもなぁ」
「何だよ、これでも俺は犬人の中ではワビサビの解る方なんだぞ」
「はは、良く言うぜ」
ケンの言葉に苦笑するハヤト、だが
「…ん、露天風呂」
「どうした?」
「いや、今嫌な予感が…」
ダッダッダッダ…
廊下を誰かが駆けて来る音だする。
「…どうやら、お前の嫌な予感って奴が当たったみたいだな」
バンッ!!
「ハヤトー!!」
部屋の戸を開け、飛び込んできたのは言わずも知れたミアである。
「一緒に露天風呂いこー!!」
「断る!!」
「そんで一緒に背中を流し合って裸と裸の…」
「人の話聞けよ!!」
強引に話を持っていこうとするミアに対して、ハヤトは頑として拒否を続ける。
「本当にあいつの嫌な予感はよく当たるなぁ」
少し離れた所で二人を見て、傍観者を決め込んでいたケン。
「本当よねぇ」
「げっ、委員長!!」
だがその隣に突如コゥの姿が現れケンはビクッっとする。
「あら、なーに、その反応は?」
「い、いえ、何でも…ありません」
まさしく、服従した犬である。
「あーあ、あっちもこっちも何やってるんだか」
「キユ、ミユ」
ケンの視線の先には兎人の双子が立っていた。
「ま、端から見てて面白いから別にいいんだけどねぇ」」
突然の乱入のために気づかなかったが、女性陣はすでにその衣装を学園の体操着から浴衣姿へと移行していた。
これまた同じ衣装のはずなのにシルエットはまったく異なっていたのは言うまでも無い。
「おいミア、そんなに暴れると浴衣が着崩れるぞ!!」
一方、ハヤトとミアの乱戦は未だ続いていた。
「へーきだよー、だってこれから露天風呂だもーん」
「理由になってねぇ!!」
「お風呂は裸と裸の社交場だよ、だったらここで見られても全然問題ないじゃない」
その強引な理屈に顔が引きつるハヤト。
「ん、おーい、ミア、お前何勘違いしてるんだ」
「ミアちゃん、ここの露天風呂は混浴じゃないわよ」
そんな時、珍しくケンとコゥの二人が助け舟を出す。
「え、嘘っ!!」
これはびっくりと驚くミア。
「露天風呂ってみんな混浴じゃないの!?」
実に間違った知識である。
「ふ、残念だったな、ミア」
「むー」
これにはミアも意表をつかれたらしい。
「委員長達もこれから風呂なのか?」
「ええ」
「じゃあ、ケン、俺達も行くか、男湯に」
好機と思ったのか、ここぞとばかりにその言葉を強調して言うハヤト。
その言葉に考え込むミア。
「さ、風呂に行こうか…」
「あ、そうだ!!」
「ん?」
露天風呂の準備をして出発しようとした時にミアがそう声を上げる。
「ハヤトが女湯を覗きに来てよ!!」
ズガンッ!!
畳の踏み所が悪かったのか、見事に滑って転ぶハヤト。
その言葉にコゥ達も呆気を取られる。
ミユなどはミアのその言葉を聞いただけで真っ赤になっていた。
「そうすれば何の問題も…」
「大有りだ、この馬鹿猫ぉぉぉぉ!!」
ゲシィ!!
またも炸裂するハヤトキック。
ボフ…
「ふぎゅー…」
今度のは前回より威力が高いのか、押し入れの中にある布団の山に突っ込んで目を回すミア。
「ケン、とっとと行くぞ!!」
「あ、ああ…」
「私達もミアちゃんが起きたらすぐ追いつくから」
「ゆっくりでいいぞー」
コゥにそう言うとハヤトとケンは露天風呂を目指して部屋を出た。
IN、男湯
カポーーン…
『ふぅーーーーー…』
しっかり肩までつかって露天風呂を満喫する二人の学生。
年齢を考えるならばかなり歳よりくさく見える。
「いいねぇ…」
ちゃんと手ぬぐいを頭に置いてルールを律儀に守るケン。
「ああ…」
同じく、手ぬぐいを頭に置いてそう答えるハヤト。
二人以外に人はおらず、貸しきり状態のためか自然と気分もよくなっているようだ。
「なんつーか、こう、風呂は、特に露天風呂は開放的でいい」
ケンはそう言ってさらに体を沈めていく。
どうやらこの犬人は海だけでなく風呂もお好きのようだ。
「はは、確かに、こう、ぶわぁって感じでいいよなぁ」
「ぶわぁ…か、なかなか面白い表現だな」
「んー、まぁ、受け売りなんだけどな」
それでもハヤトは実際にそんな感じで風呂を満喫していた。
「しかし…」
「ん?」
「いや、あの馬鹿猫が覗きに来いとか言ってただろ」
「ああ…」
「あれ、覗けるか?」
「…んー、ちょーっときついかな」
ハヤトとケンが上を見上げるとそこには竹柵に囲まれた場所があった。
問題はその高さだ。
軽く10メートルはある。
その切り立った崖を何の装備もしていない素肌で登るとなると相当な覚悟が必要であった。
反面、上からこっちの様子は丸見えである。
IN、女湯
「おー、広い広い」
「これだけ広いと泳げそうよねぇ」
ミアとキユは素直にその広さに感動しているようだ。
「こらこら、それは流石にマナー違反よ」
そこは委員長、きっちりと二人を制止する。
『ちぇー』
しかし二人も流石にと思ったのか素直に従う事にした。
「残念って言えば、ハヤト結局覗きに来なかったなぁ」
一人、脱衣所にてまだかまだかと脱衣が遅かった猫人がそうぼやく。
「まだ言ってるし…」
ノリの良いキユもすでに呆れモードである。
「そうだ、脱衣所が駄目でもまだここがあるんだ」
ミアはそう言うと立ち上がって周囲をキョロキョロと見回すが。
「ちぇー、いないなー」
残念そうに湯船に沈むミア。
「そんな事したら犯罪よ」
「もー、ハヤトの意気地なしー!!」
そう、大声で叫ぶミア。
IN、男湯
「ケン…」
「何だ?」
「…何か、今嫌な幻聴が聞こえたよ」
「奇遇だな、俺もだ」
IN、女湯
「ほらほら、ミアちゃん、それぐらいにしとかないとミユがのぼせちゃうわよ」
「え…、わぁっ!!」
コゥの言葉を聞いてミアがミユの方を見ると
「ごめんねー、ミユちゃん!!」
気の弱いミユは覗かれているかもと、そう考えるだけで駄目らしい。
すでに耳まで真っ赤にして倒れようとしている。
「やれやれ…」
その様を見てコゥがそう溜息をつく。
「…でも、ミアちゃんの言う事にも一理あるわよね」
のぼせようとしているミユを湯から出しながらキユがそう言う。
「え?」
「ハヤト君よ、何であそこまでミアちゃんを避けるのかしら?」
「それはこっちが聞きたいよー」
愚痴るようにミアがそう言うと
「…もしかして」
コゥの少し深刻な声が響く。
「え、何々、何か心当たりがあるの?」
「ハヤト君は女性に興味が無いのでは…」
ゴゴゴ…
「そ、それって…」
「ええ…」
「ま、まさか…」
場に妙な緊迫感が走る。
「そう言えばハヤトってやたらとケンの事気に入ってるみたいだけど…」
と、ミア。
事実、ハヤトは以前からケンの事に関しては比較対応が甘めである。
もっともそれはミアとケンを比較しての話だ。
「それにハヤト君って猫より犬が好きだって言ってたのよね」
と、キユ。
事実、確かにハヤトは犬好きだと言っていたが、それは単に犬好きと言っているだけである。
もっともこの現状でその意見は取り入られる事は無かった。
「そう言えばハヤト君とケンっていつも一緒に居るわよね」
とコゥ。
事実、ここ三ヶ月程、二人は行動を大抵共にしていた。
もっとも、同じクラスで男子が二人しかいないのだから仕方が無い話である。
『……』
ゴゴゴゴゴ…
「そ、そんな、ハヤトとケンがそんな関係だったなんて」
「男と男、そして種族を超えた禁断の関係、これは…スクープね」
「なら、今の下の状況はかなりデンジャラスなのでは…」
そう、まさしく目下、裸の男二人が同じ湯につかっているのだ。
絶好のシチュエーションである。
乙女達の脳内でディープな妄想ドリームが展開されはじめるが
「駄目、駄目よ!!」
流石にそこはそれ、自称ハヤトの恋人のミアはその妄想ドリームを振り払う。
「ハヤトをケンに渡すわけにはいかないわ…」
どうやらミアの中ではケン×ハヤトのようだ。
「ハヤトの初めては私のものなんだから!!」
更にハヤトは総受けらしい。
どこに向かって叫んでいるのか、ミアは岩に片足を乗せ、腕を振り上げてそう叫ぶ。
「…ぁぅ」
チャポン…
度重なるミアの発言にミユがとうとうノックダウンしてしまい、その身を水中へと沈めていく。
「ああっ、ミユ!!」
「ミユちゃんにはちょーっと過激だったかな…」
そんなミユを介抱し始めるコゥとキユ。
しかし、ミアはそんなみんなの姿すらすでに瞳に移して居らず
「そうと決まればこうしちゃいられないわ!!」
そんな場合ではないとばかりにそう大声を出していた。
IN、男湯
そんな猫人の大声が聞こえたのか
「…状況は良く解らんが、どうやら、撤退した方がよさそうだな」
ケンがそう提案してくる。
「ああ、そうみたいだ…」
同じようにハヤトも考えていたためか、あっさりとその提案を受け入れる。
そうと決まれば長湯は無用、…もとい、長居は無用。
二人は脱衣所に向かって移動するが、そこれはそれ、他に客はおらずとも湯を荒立てるのはマナー違反というものだ。
チャパチャパ…
そうやって二人がゆっくりと移動していると。
カランカラン…
上空から微量の石が音を立てて落ちてくる。
「ケン…」
「何だ…」
「すっげぇ嫌な予感がする」
ハヤトがその言葉を言い終わると同時に
ガタンッ!!
上方より何かが外れる大きな音がする。
「ひゃぁぁぁっ!!」
最早、言わずとも予想できよう。
竹柵を乗り越えようとして足を滑らせた猫人が落下してきたのだ。
「離脱っ!!」
「あ、ひでぇっ!!」
言うや否や、ケンはすでに離脱行動を取っており、一足先に湯船から立ち退く。
一方ハヤトは余計なツッコミを入れたために逃げ遅れ。
「ハヤトーー!!」
「だはあぁぁぁーーーーー!!」
バッシャーーーーン!!
まさしくダイブインである。
見事なまでのフライングアタックでミアはハヤトに直撃した。
客観的に見ればハヤトがミアを受け止めようとしたようにも見えたが、真実は闇の中である。
ジャバァ…
やがて水没したミアがその姿を浮上させ、姿を表す。
「けほ、ふにゃぁ…」
プルプル…
湯が耳に入ったのか、仕切りに頭を振るって水を払おうとするミア。
こうしてみれば彼女が猫科の種族である事が良く解る。
「…あれ、ハヤト?」
続いてミアは周囲を見回すが、湯煙のせいで視界が悪い、だがそれでも周囲に人がいたら解るぐらいだった。
しかし、どこにもハヤトの姿が見当たらなかった。
さてさて、ではハヤトはどこにいったのか、受け止められた者が水没していたのだから、受け止めようとした者が湯船の底に沈められていてもおかしくはない。
実際、ハヤトは水中にいた。
バシャバシャ…
現状が把握できず、とにかくもがき、やっとの事でハヤトは水面に顔を出す。
「ぐ、げほっ、ごほっ、おいミア、お前何やっ…」
とりあえず、原因は解っているので、まずは文句の一つも言ってやろうとするハヤトだが
「ひゃっ!!」
「ぇ…」
悲鳴を上げるミアに絶句するハヤト。
なかなか見られる光景、見られるシチュエーションではない。
それもそのはず、彼らの立ち位置と目線の高さを考えれば無理も無い話である。
ミアはハヤトを探すために真っ先に立ち上がり周囲を見渡していた。
ハヤトは水面から上半身を起き上がらせ所謂尻餅をついた状態である。
そして、ハヤトが出現した位置はミアの調度真ん前。
落下してきて水に飛び込んだのだ。
タオルなどあろうはずもない、要するに…
「な、な、なっ…」
丸見えである。
「ハ、ハヤ…ト?」
まさに露天風呂の持ちうる黄金律が成せる回避不可の強制イベント。
『……』
お互いどう反応してよいのか一瞬解らず、一瞬の間が空く。
「あ、わ、どわぁっ!!」
先に反応を見せたのはハヤトだった。
彼の人柄もあったのだろう。
彼は兎に角立ち上がり、反転してミアとの距離を取ろうととするが
バシャ…
「にゃっ!!」
ハヤトが立ち上がったところで、ミアがそう小さく驚きの声を漏らす。
何故だろう、いや、すでに説明の必要はないのかもしれない。
ミアが落下のショックでタオルを失っているのだ。
当然、彼のタオルもミアとの激突のショックで何処かヘ行っている。
そう言う訳で、無防備なハヤトの体を前にし、ミアの視線は一点に集中された。
「…え?」
点、点、点。
ハヤトがミアの凝視する視線の矢印を辿り、その先を見る。
「っっっっ!!!」
全身の毛が逆立つとはこのような時に使う言葉であろう。
「どわぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!」
バッシャーーン!!
ハヤトはエスケープするように、再び水中にリターンしてしまう。
「す、すまんっ!!」
とりあえずその場所を手で隠し、ミアと反対方向を向き現状を把握しようとするが
「(っていや、何で俺が謝ってるんだ、そもそも、男湯に飛び込んできたミアが悪いんじゃないか、だ、だからあんな…、いや、そうじゃなくて、まずはこの状況を、えーっと、えーっと…)」
見事なまでにハヤトは混乱していた。
「(と、とにかく、この場は…)」
逃げろ!!
ハヤトの中で何かがそう叫んだ。
ハヤトもその言葉に従い、意を決してミアと反対方向に走り出そうとするが、それが悪かった。
戦場に置いて敵に背を向けると言う行為は死に繋がる。
この場合、ミアに背を向けたハヤトは彼女に対して完全な無防備状態。
キラン…
ミアはニヤっと小さく笑い、目を光らせる。
それはさながら獲物を見つけ、仕留められる事を確信した獣のようであった。
「ハヤトーっ!!」
そんな無防備なハヤトの背中に思いっきり抱きつくミア。
ムニッ…
「なはあぁぁぁぁぁーーーーー!!」
装備無し、防御力0。
おまけにバックアタックで回避不可。
文字通り素肌にフィット、文字通り新感触。
ある意味究極の攻撃である。
「ふ、あ、は、離れろぉぉぉ!!」
ハヤトが必死に抗議するがこの状況に置いてそれは逆効果。
ミアは更にハヤトに強く抱きつく。
「もー、ハヤトってばぁ、そんなに照れなくていいのにー」
そう言ってミアが動く度に背中にあたるその感触がリアルタイムで変化し、ハヤトに伝わっていく。
「お、お、お前馬鹿だ、絶対馬鹿だ、馬鹿に決まってる、この馬鹿猫ぉぉぉーーー!!」
そう叫ぶがハヤトの立場は明らかに劣勢であった。
「にゃははー、何て言われてもいいもーん、ねーねー、そ・れ・よ・りー」
「わ、ど、どこに手ぇ伸ばしてんだよ!!」
ミアの手が背後から徐々に体を伝わって迫ってくる。
「えー、決まってるじゃない」
ミアの眼光が一層怪しく光る。
だが…。
「こ、このぉ、調子に…乗るなぁぁぁぁぁーーーー!!」
「にゃああぁぁぁ!!」
バッシャーーーン!!
ミアの優勢は束の間。
哀れ、猫人の少女は水面にその姿を浮かべる事となる。
とは言え、流石のハヤトも今回ばかりはかなりピンチだったらしく。
「はぁはぁ…ぁぅ…」
バシャーーン…
結局、二人とも湯船の中で緊張と興奮と暴れまわったせいでのぼせ、ダブルノックアウトと言う結果に終わった。
追記。
一目散に逃げ出したケンはその後コーヒー牛乳を飲みながらその光景を眺めていたと言う。
同時刻、女湯のみなさんも二人のそのやりとりを上から眺めており、一部始終を目撃していた。
後日、心無いクラスメートがこの一件を言いふらし、尾ひれが付いてまことしやかに学園中に広まったのは言うまでも無い。




