番外編07 エサの始末は女王に【sideマックス】
「……フェルディナントの死を女王陛下にはお伝えしたのですか?」
「…あぁ」
フェルディナントは荷馬車の護衛の仕事中、崖から落ちて死んだ。
ゾフィー王女と袂を分かったフェルディナントには、もう監視は必要ないとみて、監視者はその日が最後の仕事になるはずだった。
彼は同じく護衛として潜り込んでついて行ったが、途中で山賊の襲撃にあい、ヤツが山賊の一人ともみ合って崖下に転落したのを確認している。
ゆうに40m以上あった崖で、遠目に血まみれで倒れているのが見えたが、動きがないので死んだと判断したらしい。
後で秘密裏に遺体を回収するため、護衛が一人足りないと言う商隊長に『全員いる。早く出発しよう』と促して立ち去らせたらしい。
だが、そこから悪天候続きでなかなか回収に向かえず、結局4日後現場に行くと、遺体はすでに獣に食い散らかされたあとで……
『遺体の一部でしたら持ち帰れますがどうしますか』と連絡があったが、もう監視対象から外れた男だったので『そのまま埋めておいてやれ』と答えた。
「処刑の準備はお前に任せる。大道芸や屋台も呼んで、派手にやろう」
「承知しました。……ゾフィー王女も処刑を?」
「それがな。ゾフィー王女は残党どもの誘いをきっぱり断ったんだ。だから今回拘束はしていない。エサとしての利用価値も無くなったから消したいところなんだが~~~それより問題はアンナの方だな」
王女の娘、フェルディナントとの子だ。
「もしまだ残党どもが残っていたら、誘拐されて洗脳されたら厄介だ。子どもを洗脳するのは簡単だ。狂信的に新王朝を憎まれたら面倒なことになりそうだしな」
「殺しますか?」
「そうだな」
「お待ちください!」
そこに側近のカーチャを連れたマティルデ女王が入ってきた。
「…まだ7才だと聞いています。何とかなりませんか」
「盗み聞きとは良い趣味だな。ひよっこ女王」
「わたくしが聞いていたことなど、ご存じのくせに。イヤな方ね」
「ははは。じゃあ処刑の名義はお前でいい…」
「話題を変えてごまかさないで! そんな事よりアンナ嬢のことです! 何とか殺さずに済ますことはできませんか」
甘っちょろいことを言う…これだから子持ち女は。
「アンナはフランツの2才年上だ。旧王朝の血を引く最年長の子どもで、女でも王位につける」
「それはそうですが、あの子には何の罪もありません」
生まれてきたことが罪なんじゃないか?
「確かにあの子をこのままにしているのは危険だとわたくしも思います。……ですから修道院に入れるのはどうでしょう」
修道院って…!
人里離れた修道院なんてあっという間に誘拐されるぞ?
「…あの国のあの修道院です」
あの??
どの??
「……ふーん。…ふんふん。いいんじゃないか」
さも面白そうにクロノス陛下が笑う。
「え!?」
思わず声が出てしまった。
「そしてその引導を王族の生き残りとして、母親として、ゾフィー王女にやらせます。そこでゾフィー王女の始末もつけます。わたくしに二人の処遇を任せてほしいの」
「くくくくっ。いいだろう。ひよっこ女王のお手並み拝見といこうじゃないか」
では、早速準備にかかるわと女王は執務室から出ていった。
「……いいんですか?」
振り返ってクロノス陛下を見ると、陛下は俺を睨みつけていた。
「お前、マティルデを侮るな!」
態度に出ていただろうか……
「すっ、すいません!!」
「アレはお前が思うより、ずっと怖い女だぞ?」
「…はぁ」
「特に母親は、自分の子を守るために鬼にも蛇にもなるからな」




