表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
53/79

51 夫になる男には2人の妻がいる【sideマティルデ】

「女王になります」


 1週間後。

 再び訪れた彼が、私室の椅子に腰かけた途端、私は言った。


「…良い判断だ」


 彼、ベルンシュトルフ公爵はその身を背もたれに預けていたが、私の言葉に前のめりになった。


「提案をしておいて何だが、女王になることを選んだ理由を聞きたい」


「……」


「お前の覚悟を知りたいからな」


「…もう一人の男を他人と奪い合うのにうんざりしたからです」


「ははっ。違いない」

 心底面白そうな声が響く。


「でもそれは小さな理由で……大きな理由は国民の復興の手助けをしたいからです」


 彼の顔が真顔になった。


「今回の戦争の発端には少なからず私も関係しています。だから私が女王になることが国民を救うことになるならば、その道を選びたい」



 何度も後悔した。


 私なら、フェルディナントと王女の駆け落ちを止めることが、できたのではなかったかと。

 戦争を止めることが、できたのでなかったかと。


『どうしてあの男を止めなかったのよ!』

『貴女があの男と上手くやっていれば』


 派兵の送別会での令嬢たちの言葉を思い出す。




「戦争はお前のせいではない」


 公爵の言葉に顔をあげる。


「俺たちは攻め入るため、お前の国のあら捜しをしていた。そこにまんまと阿呆二人がやらかしただけだ。お前は悪くない」


 その声音は意外にも優し気だった。


 涙がこぼれそうになるのを、ぐっと耐える。


「…ただ、心配事は閣下の奥方様たちのことです」


「?」


「私の夫となって、閣下の奥方様が、お辛い気持ちにはなられないのかと心配です」


 男の整った顔を見つめる。

 立派な体躯に軍の最高責任者。

 美貌の王弟の妻たちが、私のように辛い気持ちになるのではないかと心配だった。



「あーはははっははは!」

 今度は爆笑された。


「その心配はない。くくくっ。大丈夫だ。二人共俺に興味がないからな」


 誰もが見惚れる外見のこの男に興味がない?

 やっぱりこの男はよほど性格が悪いのか、それとも妻をいたぶっていたのか…


 早まったかしら。



「一人目の妻、アーデルハイドの性欲の対象は美少年だ。それも毛も生えていないほんの子どものな」


 突然の私的な告白に驚いた。


「俺が10の時に結婚して、彼女との間には19になる息子と17になる娘がいる」


 私より年上の子どもが!?


「そんな……! 幼い子供の出産は危険だとされているのに、アーデルハイド様はご無事で…」


「聞いていたのか? アーデルハイドは美少年趣味だ。俺が10、アレが26の時に結婚した」


「……」


「当時、兄上の王太子としての立場は微妙でな。有力貴族の後押しを求めていた。そこで少年趣味の行き遅れの娘を持て余した公爵に目をつけたって訳だ。10才の俺は自分で言うのもなんだが美少年でな。アーデルハイドにはすぐに気に入られた。で、俺と結婚させる事を条件に兄上は公爵の協力を得たという訳だ」


 彼と王は14才年が離れていたと聞く。

 彼に逃げ道は無かったのか。



「媚薬を盛られて、毎日アレの相手をするのは大変だったんだぞ。そうしたら12になって毛が生え始めたら途端に興味を失ってくれてさ、助かったよ。今は公爵邸で少年たちを集めて楽しそうに暮らしているよ」


「……」

 言葉が出ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ