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17 建国記念式典の夜会【sideマティルデ】

 学院の雰囲気はあい変わらずだったので、とにかく勉強に集中することにした。

 日々の授業はもちろん、土木、農業、酪農、法律、会計など伯爵夫人として知っておいても無駄ではない知識はたくさんある。


 噂話などに耳を傾けず、フェルディナント様の言葉を支えに努力を続けた。

 そうすると一時(いっとき)は19番にまで下がっていた成績も3番となり、それからはずっと高順位をキープできるようになっていた。




 そうして日々は過ぎ、社交シーズンが終わる晩秋に、我がノルトハルム王国の建国記念式典が開催された。


 そして1週間に渡る式典の最後に行われる、王宮での夜会の夜になった。






「すごく綺麗だ」


 玄関ホールには、私を迎えにきてくれたフェルディナント様が立っていた。


 今日の私の装いは、彼の瞳の色に似た鮮やかなブルーのドレス。


 ふんだんに使われたレースが幾重にも重なり、縫い付けられたガラスビーズがキラキラと輝き、私の銀髪にも良く似合う幻想的な装いだ。


 対するフェルディナント様は私の髪を模したシルバーのスーツに、クラバットは私のドレスと同色のスカイブルー。派手な装いのように見えるがフェルディナント様が着るとまるで氷の王子様のようで本当によく似合っている。


「フェルも素敵だわ」


 彼が手を差し出し、馬車までエスコートしてくれる。

 初めてのレディとしてのエスコートにドキドキが止まらない。



 馬車に乗ってからも彼は私の手を離さなかった。


「結婚式は4月11日に決まったらしい。聞いた?」


 私の学院の卒業は2月。そして私の誕生日、18才になった日に私たちは結婚することになった。


「結婚式は王都のサレジオ神殿で、王太子殿下もご臨席されるそうだ。披露宴の1回目は王宮で、2回目はグリフ領で行う予定だ」


「ええ。衣装も年内には完成するそうよ」


 ちゅっ。

 私の手をすくい上げ、彼がその甲に唇を落とす。


「俺は3月になったら近衛を退団する予定だ」


「え!?」


「元々5年で退団するつもりだったが、1年早めることにした。結婚式が終わったら領地に帰って、本格的に父上から領地運営を学ぶつもりだ」


「フェル……」


 きっと王女のことで、親たちから退団を強要されたんだろう。


「だから……今までごめん。結婚したら夫として次期領主としてきちんとするって約束する」


「…ええ分かったわ」



 あと半年で私たちはグリフ領に帰る。

 そこにはもう、王女様はいない。

 信じてはいたけれど、これでやっと私の憂いは消える。


「今日はきっと素敵な夜になるわ。楽しみましょうね」


 夜会会場の王宮に向けて、馬車は滑るように進んでいった。


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