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09 フェルと3年ぶりの再会【sideマティルデ】

「フェル」

 ハインリヒ様が声をかけると、その金髪の青年は小さく息を吐いた。


「兄上」


「おかえり。ずいぶんと身長が伸びたねぇ。父上と変わらないんじゃないか?」



 額をあらわにした17才のフェルディナント様の美貌は輝くようで、洗練された青年貴族に見えた。



「お…おひさしぶりです。フェルディナント様」


 優雅に淑女らしく、余裕の笑みで挨拶するつもりが、どもってしまった!


「あ、うん。久しぶり…」


「ほら、フェルのヤツびっくりしてるぞ! 作戦成功だ!」


 確かにフェルディナント様は、目を見開いたまま人形のように動かない。


「綺麗になっただろうティルデは。前から美少女だったけれど、今や小さなレディだ。特に今日は婚約者のお前が帰ってくるからと、おめかしをしているから美しさは2倍だ。なぁティルデ」


 もう! ハインリヒ様は最近、少しいじわるだ。


「おいフェル。こんな時、婚約者に言う言葉があるだろう?」


「…マティルデ……その…すごくきれいだ」


 王都で綺麗な女性をたくさん見ている彼が、そう思ってくれているのなら本当に嬉しい。

 髪を少し大人っぽく結い上げてもらって良かった。


「ありがとうございます。フェルディナント様もとても立派になられました」


「……ありがとう」





 侍女がお茶を入れなおしてくれて、そこから3人での談笑が始まった。


 大人びた彼と話すのは最初は緊張したけれど、昔話に花を咲かせていたら、次第に打ち解けてきて、気安い口調になり、3年のブランクは一気に消えてしまった。


 そう思っていたのだけれど……。




 次の日から何故か彼は、私と距離を取り始めた。


 そうしてしばらくすると彼はハインリヒ様とも距離を取り始めた。



 そういえば図書室でハインリヒ様と二人きりで勉強をしていたところをフェルディナント様が見ていたような……


 その時、私はどんな行動をしていた? 

 どんなことを喋っていた?

 誤解されるようなことをしていなかったか。



 その事をハインリヒ様に相談すると……


「私たちの仲なんて、誤解していないよ。私とフェルとは…そのちょっとした言い合いをしてしまってね。ティルデは何も心配しなくて大丈夫だよ」


 そう言われたが、フェルディナント様には一線を引かれたままだった。




 ぎこちない雰囲気が屋敷を包んでいたある日。

 王都にいたグリフ伯爵が、勢い込んで領地に戻ってきた。



「エッケハルディン侯爵からフェルディナントに素晴らしいお話を頂いたんだ」


 興奮気味の伯爵が、玄関に入ったとたんの第一声がこれだった。


 お父さまから? なんのお話?


「詳しい話は談話室でしよう。立ちっぱなしはハインリヒが辛いだろうから…」


 みんなで移動し詳しい話を聞くことになった。





「フェルディナントが近衛騎士団への入団を許された」



「「「えっ!?」」」


 みな驚きの声を上げた。


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