EP.60
涼太が喫茶店の出入り口の鍵を開けた。
「お待たせしました」
ぞろぞろと全員が喫茶店に入る。
「皆、ありがとう」
全員が喫茶店に入ったのを確認してから、ツナグが礼を言った。
「こちらこそ、ありがとうございました」
悟が、言葉を返す。それと同時に、他の全員も口々に礼を言った。
暗かった店内には、うっすら明かりが差し込んでいる。外の明るさで、互いの顔が見える。
「良かったですね」
叶奈が、穏やかな口調で言った。叶奈の言葉に、林太郎とルイが反応した。
「あぁ、本当に良かった。できれば、妻にも見せたかったよ」
「ほんとに。私も、夫に見せたかったわ」
二人の言葉に、叶奈は驚く。しかし、すぐに穏やかな表情を浮かべて、さらに言葉を続けた。
「きっとお二人のご家族の方々は、幸せになります。二人が笑顔を願っていたから」
叶奈の言葉に少し驚いた二人だったが、すぐに優しい表情に変わった。
「そろそろお開きにしますか?」
悟が、穏やかな空気を切った。一瞬の静けさが、喫茶店を包む。
外からの光が、徐々に強くなってきている。
「そうですね。そろそろ解散しましょうか」
涼太が、悟の言葉に続く。そして、ツナグと剛もそれに続いた。
「そうだね。そろそろお開きにしよう。眠らなきゃいけないからね。皆、今日は本当にありがとう」
「今回の集まりは良かった。ありがとう」
二人の言葉に、他の者達が頷く。
空気を温めるように、林太郎が明るく別れの言葉を口にした。
「では、また別の流星群を見に集まろう。ケーキなどを食べるために集まろう。私達は、友人なのだから。さて。ツナグ、戻ろうか」
ツナグは、目に少しだけ涙を浮かべながら、優しく微笑んだ。
「そうだね。叶奈さん、涼太さん、悟さん、また会おうね」
「えぇ、必ずまた会いましょう」
「もちろん。また会おうね」
「もちろんです。また会いましょう。ツナグさんに会えるのを楽しみにしております」
ツナグ達が、入ってきた出入り口に向かう。
扉の隙間から、光が差し込んでいる。ツナグが扉を開けると、扉の向こうにツナグの家の玄関が見えた。
林太郎が、叶奈、涼太、悟の方を振り返った。
「また会えて良かった。また会おう。そして、ありがとう」
林太郎に続いて、ルイと剛も三人に礼を言った。
「ありがとう。またキャロットケーキを持ってくるわね」
「ありがとう」
三人は、優しい笑顔で四人を見送る。
ツナグがもう一度振り返ると、人間が手を振るように右前足を振った。そして、最後にもう一度、三人に礼を言った。
「ありがとう。優しく温かい貴方達に、たくさんの幸せが訪れますように」
ツナグは、笑顔でそう言うと、静かに扉の向こうに消えていった。剛、ルイ、林太郎も後に続いて、扉の向こうへ行った。
カチャリ、という音と共に扉が閉まった。
「行っちゃいましたね」
叶奈が、少し寂しそうな顔をして言葉を発した。
そんな叶奈に、涼太と悟が声をかける。
「大丈夫。また会えますよ」
「そうですね。きっとまた会えます。ツナグさんが繋いだ優しいご縁ですから」
そして、悟は言葉を続けた。
「さて、私達も解散しましょうか」
悟の言葉に、二人は頷く。そして、叶奈は改めて礼を言った。
「ありがとうございました。三人でも良いので、また集まりましょう」
叶奈の言葉に、涼太と悟がにこやかに頷く。
「もちろん。必ず集まりましょう」
「そうですね。必ずお会いしましょう」
二人の言葉に、叶奈はにっこり笑った。
悟が扉へ向かう。叶奈もそれに続く。涼太は、出入り口まで着いて行き、二人を見送る。
叶奈と悟が、順に礼を伝える。
「ありがとうございました。では、また」
「ありがとうございました。またお会いしましょう」
「ありがとうございました。また、お店に来てください。お待ちしてます」
各々「はい」と涼太に返事をすると、二人で駅に向かって歩き出した。
涼太は、二人が見えなくなるまで見送った。そして、見えなくなったタイミングで、喫茶店の中に入った。
店内にある青いケシの花と日々草が、陽の光に照らされている。
涼太が水やりをすると、まるで楽しい思い出を輝かせるかのように、キラキラと陽の光を反射した。
庇から、白い鳩が飛び立つ。涼太は、窓からその姿を見つめた。
今日から、また新しい一日が始まる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
お楽しみいただけましたでしょうか?
途中で、作品が作れなくなってしまった日々もありましたが、無事に完結させることができました。
読んでくださった皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
読んでくださった貴方に、たくさんの幸せが訪れますように。




