EP.56
叶奈は、パチリと目を覚ました。
トイレを済ませ、顔を洗い、口を濯ぐ。コップ一杯の水を飲む。
「いよいよ今日だ」
叶奈は、嬉しそうに微笑んだ。
牛乳をコップに入れて、スーパーで買っておいたクリームパンを食べる。
良い意味で、もたっとした甘みが口に広がる。
今夜皆で流星群を見るのだと思うと、頬が自然と緩くなる。
「皆と会えるの嬉しいなぁ……」
叶奈はあまり友人が多い方ではなく、皆で集まって何かするという事が、新鮮だった。
そして、家族以外の人間と、夜通し一緒にいるという事も初めてだった。
叶奈は、牛乳で口の中を潤しながら、クリームパンを食べ進める。
今晩の天気を見るために、テレビをつけた。
「今日のお天気は、快晴になりそうです。降水確率は、十パーセント。佐藤さん、知っていましたか? 実は、今日は流星群が見られる日なんですよ」
「へぇ、そうなんですか!」
「水瓶座δ南流星群という流星群で、ペルセウス座流星群より早い時期に流れる流星群です。人気のペルセウス座流星群より時期が早いので、穴場かもしれませんよ〜」
「そうなんですね」
「しかも、運が良ければ、やぎ座α流星群も見られるかもしれません。ぜひ、見てみてください」
アナウンサー達が、流星群について話す。
やぎ座α流星群も見られるかもしれないという言葉に、叶奈はわくわくした。ほんの少し、クリームパンを食べるペースが上がる。
窓からは、眩しい日差しが降り注いでいる。この様子であれば、問題なく流星群は見られそうである。
「ツナグ君たちは、元気にしているのかな?」
牛乳を一口飲む。
叶奈は、クリームパンの最後の一欠片を飲み込むと、牛乳を飲み干した。
「さて、続きをしよう」
叶奈は、ノートパソコンの電源を入れる。
既に文章が入力されたファイルを開くと、続きを入力し始めた。
不思議な世界へ迷い込んだ主人公が、一緒に迷い込んだ人々と仲良くなる話。叶奈は、自分をモデルに創作を始めたのだった。
「この物語が完成したら、文学賞に応募しよう」
文章はまだ序盤。文学賞の締め切りは、来年の三月。それまでに完成させると意気込んでいる。
「文学賞、きっとハードルは高いけど、頑張る」
叶奈は、キーボードを打つ手を止めて、思案する。
今宵の流星群の話を入れることや、自分が迷子になった話など、入れたい要素はたくさんある。
流星のように、アイデアが流れてきては、消えていく。
叶奈の頭に、忙しなくアイデアが流れ込んでくる。
「一度、プロットを整理しなおした方が良いかもしれない」
メモしているファイルを開き、アイデアを書き足していく。
自然と笑みが溢れる。サラダバーネットの花が咲いた。
読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、叶奈の話でした。叶奈は、自分のしたい事を見つけて、行動を始めています。
サラダバーネットの花言葉は、陽気・楽しみという意味があるそうです。
叶奈の楽しみという気持ちを、最後に表現しました。
さて、次はいよいよ皆で流星群を見るというシーンへと移り変わっていきます。
皆がまた集まる事が嬉しいです。
ぜひ、続きもお楽しみください。




