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星降る夜にひとときの願いを  作者: 黒田真由


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EP.48

 ツナグは、窓から月を見ていた。満月は、優しくツナグの顔を照らしている。


「やぁ、ツナグ。今日は良い月夜だね」


 ツナグが声のする方を見ると、そこにはリスがいた。

 叶奈が会話したあのリスだった。


「こんばんは。良い月夜だね」


 ツナグは、リスに返事をする。


「今日は、向こうの世界の人たちと楽しんだとルイから聞いたよ。ツナグも楽しかったかい?」

「うん! とても楽しくて有意義な時間だったよ」

「それは良かった。向こうの世界の彼女は元気かい?」


 リスの言葉に、ツナグは頭にハテナを浮かべた。ツナグの様子を見たリスは言葉を続ける。


「あの流れ星と一緒にやってきた彼女だよ。名前はなんて言ったかな……。そういえば、聞いていなかったな」


 リスの『流れ星』という言葉で、ツナグは理解した。


「あぁ、叶奈さんのことだね。叶奈さんなら、元気にしていたよ。知り合いなのかい?」


 ツナグの問いに、リスが微笑む。


「一度だけ話をしたことがあるんだ。流れ星に導かれる人物の一人が、どんな人間なのか気になったのさ。あれから、彼女は自分の軸を見つけたのかい?」


 リスの言葉に、ツナグは右前足を自身の顎に当て、考える仕草をする。

 雲が、さっと満月を隠した。


「どうだろう? 小説を書きたいと思って、『うぇぶ』というものに載せているとは聞いたけど……」


 ツナグの言葉に、リスも少し考える仕草をした。しかし、すぐにニコリと笑みを浮かべた。


「小説を書き始めたんだね。良いじゃないか。彼女らしくて良い。きっと、彼女の軸になるよ」


 雲が流れて、また月が顔を出した。辺りが明るくなる。


「彼女の軸になるだろうか?」


 ツナグは、リスに問う。そして、リスをまっすぐ見つめる。

 風が、さーっと吹く。木の葉が、さらさらと揺れる。

 静かな夜に、風と木の葉の静かな音が流れる。

 生き物の鳴き声は、一つも聞こえない。静かな夜に、二人の呼吸だけが流れている。

 不意にリスが微笑んだ。


「きっと、彼女の軸になるよ。好きなことをしている人間は強い。彼女はきっと、自分の軸を作り上げて、自身の世界を広げていくよ」


 リスの言葉に、ツナグも微笑んだ。

 風が優しく流れる。月の光も空気も柔らかくなった。

 遠くで、フクロウの鳴き声がする。夜が更けていく。


「リスさんがそう言うなら、きっと大丈夫だね。君の見る目は本物だもの」


 互いに微笑み合う二匹。


「そう言ってくれて光栄だよ。そういえば、彼らとはどんな話をしたんだい? もっと話を聞かせてくれるかい?」


 リスはそう言うと、ツナグの部屋に入って窓際に腰掛けた。


「そうだねぇ……。こんな話をしたんだ」


 ツナグは、リスに叶奈達とのやりとりを、細かく丁寧に伝えていく。

 時折、リスが「ふふっ」と笑う。

 フクロウの優しく穏やかな鳴き声は、夜をゆっくり進めていく。

 濃藍色の空には、大きな月というコインが浮かび、星というダイヤモンドが散りばめられているようだった。

 月で餅つきをしているウサギも、心なしか笑っているように見えたツナグとリスなのであった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、ツナグとリスとのやりとりでした。

リスは、叶奈をちゃんと見ていたんですね。

リスのように気にかけてくれる存在があるというのはありがたいなぁと、最近思った私です。

そんなありがたさを感じていたら、このシーンを思いつきました。

優しい夜が、彼らを包みます。

引き続きお楽しみいただけますと幸いです。

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