EP.47
和やかに続いた会話が、不意に止まった。
「さて、私はそろそろ帰ろうかしら」
ルイはそう言うと、立ち上がった。
「もう帰るのかい?」
ツナグが寂しそうに問う。
ルイが、微笑む。
「名残惜しいくらいがちょうどいいのよ。名残惜しいと、もう一度会う口実を作れるでしょう?」
叶奈たちも頷く。
悟は、ツナグに言葉をかけた。
「ツナグさん、貴方が繋いでくださったご縁です。『次』があるご縁だと、私は思っていますよ」
「悟さん……。そうだね、また会おう。必ず会おう」
二人の会話を聞いた涼太は、思い立ったように提案した。
「そう言えば、少し先になるけど、水瓶座δ南流星群が近くの川で見られるみたいだよ。皆で見るのはどうだろう?」
涼太の提案に、一同が賛成した。
「流星群、良いですね。ぜひ皆で見ましょう」
悟の言葉に、叶奈も頷いた。
「見たい! 流星群とかじっくり見たことないから、見てみたい!」
林太郎は笑顔で頷くと、言葉を発した。
「流星群という言葉は、私も聞いたことがある。流星雨のことらしいね。水瓶座でるた?というのは、初めて聞くが……。流星雨のひとつなのかい?」
林太郎の問いに、悟が答えた。
「数ある流星雨のうちの一つです。私達の時代では、流星雨を流星群と言うのが一般的です。その流星群に名前をつけて呼んでいます」
「なるほど」
二人の会話に、ルイが入る。
「時代と共に星の位置も変わるけど、言葉も変わっていくのよ。人も変わる。それが良い方向なのかは、その人次第ね」
ルイの言葉に、叶奈と涼太、そして剛が頷く。
「そうですね。私もそう思います」
「僕もそう思います。時の移り変わりと共に、物事は変わっていきますよね」
「そうだな……。俺は、人間は変われないと思っていたが……。だが、あんた達と出会ってわかった。変わることができる人間もいるということを」
剛の言葉に、皆が微笑んだ。
同時に、叶奈達の言葉に、ツナグが頷いた。
「そうだね。時が移ろうように、人もモノも変わっていく。僕は、それが良い方向であれば良いなと思うよ」
ツナグの言葉に、皆が頷く。
「さて、そろそろ帰りましょうか」
悟が微笑む。悟に続いて、叶奈も微笑んだ。
「そうですね。帰りましょうか」
「みなさん、お気をつけて。」
涼太の言葉に、ツナグ、林太郎、ルイがにこりと笑顔を浮かべた。
「皆! また会おうね! 必ず会おうね!」
「また会おう」
「また会えるのを楽しみにしているわ」
ツナグの言葉に、悟が返事をした。
「はい、必ずお会いしましょう」
ルイが、カフェの扉を開く。
扉の向こうには、ツナグの家の玄関が広がっている。
叶奈と涼太と悟が、四人を見送る。
「皆、おやすみなさい!」
ツナグが扉の向こうへ入る前に、三人を振り返った。
叶奈、涼太、悟が、口々に「おやすみなさい」と言って、四人を見送った。
林太郎とルイは微笑みながら、剛は仏頂面で、扉の向こうに行った。
ツナグは、笑顔で右前足を、人間が手を振るように振ると扉の向こうへ行った。
パタンという扉の音と共に、扉の隙間から漏れていた光が消えた。
「行っちゃいましたね」
叶奈が、少し寂しげに微笑む。
「そうですね。でも、またすぐ会えます」
悟が微笑む。続いて、涼太も微笑んだ。
「流星群、皆で見られるのが、楽しみですね」
「僕も楽しみです」
「そうですね!」
穏やかな空気が、残香のように漂う。
窓の外には、星が瞬いている。
輝く星は、月と共に、優しく街を照らしていた。
読んでいただき、ありがとございます。
とうとうお開きの時間になりました。
名残惜しそうなツナグ。
私も、人との別れ際は名残惜しくなります。
この楽しい時間が続けば良いのにと、常々思います。
でも、だからこそ、次会うのが楽しみになったりするんですよね。
ルイのあの言葉はいいなぁと思いました。
ルイのような考え方ができるようになりたいなぁと、時折思います。
さて、別れた後のそれぞれが気になりますね。
それぞれ、どんな時間を過ごすのでしょう?
引き続き、お楽しみいただけますと幸いです。




