EP.46
「ふふっ」
不意に、ツナグが笑った。
「どうしたの?」
ルイが、不思議そうにツナグを見て、声をかける。
ルイの言葉に、ツナグは嬉しそうに答えた。
「ふふっ。皆と楽しくお話することができて、とっても嬉しいんだ」
ツナグの言葉に、より一層空気が柔らかくなる。
叶奈は微笑みながら、言葉を口に出した。
涼太と悟も、続いて言葉を発する。
「私も嬉しい。皆と会えたことが嬉しい」
「僕も嬉しい。皆が自分の店に来てくれたこと、それから、こうやって話ができたことが嬉しい」
「私も嬉しいです。林太郎さんにも会えたことが嬉しいです」
悟の言葉に、林太郎が嬉しそうに笑った。
「私も、自分の子孫に会えて嬉しいよ。そして、ありがとう」
林太郎の言葉に続いて、剛もぶっきらぼうに言葉を発する。
「俺も、今日は皆に出会えて良かったと思う」
ルイは、剛の言葉を聞いてから、満面の笑みを浮かべた。
「私も嬉しい。人との出会いは、やっぱり楽しいわね」
ルイの言葉に、叶奈も同意する。
「私もそう思います! 良い出会いばかりではないですが、今日みたいなあたたかい出会いがあると、楽しいなって思います」
ルイと叶奈の会話を聞きながら、剛は苦い顔をした。
「俺は、出会いが楽しいとは思えない。今日は、確かに楽しい。だが、楽しくない出会いもたくさんある」
剛の言葉に、悟が続く。
「そうですねぇ……。たしかに、良い出会いばかりではないでしょう。だからこそ、良い出会いを大切にできるのではないでしょうか?」
悟の言葉に、一瞬の間が生まれた。
すぐに、ツナグが剛に語りかけるように話し始めた。
「たしかに、出会いは良いものだけではないね。でもね、僕は思うんだ。良い出会いも、良くなかった出会いも、結果として自分の人生の方向を決める一つになると。少なくとも、僕は君たちとの出会いで、世界が違っても、種族が違っても、考え方が違っても、歩み寄りができることがあるとわかったよ。もちろん、そうもいかなくて戦争やいじめや仲違いもあるわけだけど。だけどね、それでも僕は、できるだけ出会いを大切にしていきたいよ。そう思わせてくれたのは、君たちだ」
ツナグの言葉に、叶奈が続く。
「そうね。私もそう思う。この出会いが、人との出会いが楽しいって、思い出させてくれたから。だから私も、出会いを大切にしたい。出会った人たちを、これからも大切にしたい」
涼太、悟、林太郎は、うんうんと頷く。
「俺はまだ、人を簡単には信じられない」
剛はそういうと、緩くなったアイスコーヒーを飲んだ。
林太郎が、剛に声をかける。
「何も今すぐ信じろとか、出会いを大切にしろと言っているわけではないさ。どう思うかは、君が決めると良い。ただ、頭の片隅に、『今日の出会いは悪くなかった』ということが残ってくれると私は嬉しい」
林太郎の言葉に、剛以外の全員が頷く。
剛は、ぶっきらぼうに答えた。
「たしかに今日は、悪くなかった。覚えておく」
剛の言葉に、皆が微笑んだ。
少し重くなっていた空気が、また軽く穏やかになった。
話は尽きない。
心地良い緩急のあるリズムで会話が進んでいく。
気付くと、外は日が傾いていた。
紅掛空色の空を飛んでいた鳩が、涼太の店の屋根に止まった。
まるで、彼らのいる空間を象徴するかのようだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
さて、今回は皆さんよく語ります。
この話を想像しながら、「意外と皆語るなぁ」と、ぼんやり思った作者です。
私も、出会いは楽しいものだと思うことが多いです。
いろんな人に出会って、「しんどかったなぁ」と思う出会いもありましたし、「めちゃくちゃ楽しかった!」と、いつ思い出してもニコニコする出会いもありました。
私は、人との出会いに恵まれてきたので、出会いは大切にしたいなと思っています。
そんな私の考えが伝わっているかはわかりませんが、読んでくださったあなたが、人との出会いを楽しんでくれると嬉しいなと思います。
引き続き、お楽しみいただけますと幸いです。




